はっぱのないき

幻中六花

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ぼくは木語がわかるんだ

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 ユウトくんは、小学3年生の男の子。今日も公園の砂場で遊んでいます。いつもひとりで遊んでいます。
 季節は秋。砂場の近くには、少し早めに散った桜の木が一本だけ生えていて、その木はすでにはっぱを落として冬支度を始めているようです。
「次! サッカーやろうぜー!」
「いいよー! ゴールここねー!」
他の男の子達は、友達同士でボール遊びをしているけれど、ユウトくんはいつもひとりで遊んでいます。

「ちょっと……あれ、ユウトじゃね?」
 サッカーを始めようとしていたグループの1人が、ユウトくんに気づきました。
「ホントだ! うちのクラスのユウトだ!」
 男の子達は輪になって、ヒソヒソと内緒話を始めました。ユウトくんには聞こえないように、話し始めました。

「どうする? 仲間に入れる?」
「いや、いいよ。あいついつもひとりじゃん」
「俺、話したこともねぇし」

 そんな子供会議が終わり、男の子達はまた、サッカーをし始めました。

 ユウトくんは、クラスメイトが同じ公園でサッカーをして遊んでいることに気づいていました。けれど、自分から仲間に入れてほしいとは言いません。
 いつもひとりで砂場にいるユウトくんを、いつも見ていた大きな木は、閉じていた目を片方だけ薄く開けて、ユウトくんの様子を見下ろしました。そして、すぐにその目を閉じました。

 時々吹く風が枯れた木の枝を揺すり、カサカサッと音が鳴ると、ユウトくんは大きな木を見上げます。
「淋しい声で鳴くんだね。キミもひとりぼっちなの?」
 もちろん木は喋りません。ですが、ユウトくんにはカサカサッと鳴った音が、この木の声に聞こえたのです。

「ぼくは木の言葉がわかるんだ。今、淋しい声で鳴いたでしょ?」
 ユウトくんは、何も言わない木に話しかけます。

 それを見ていた男の子達が、ユウトくんを気持ち悪がりました。
「あいつ、誰と喋ってんの?」
「木じゃね?」
「幽霊じゃね?」
「こわっ!」

 ユウトくんは、そんな心ないクラスメイトの言葉には耳を貸さず、木を見上げたり、砂場で遊んだりを繰り返しました。
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