最愛はすぐ側に

なめめ

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幸せはすぐ側に

幸せはすぐ側に㉚

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「律仁さんとサッカー観戦に行ってから興味出てきて、律仁さんが作業してる時とか偶に観るようになったんです。知らないよりは色々知ってた方が楽しいかなって」

 婚約者の一生懸命に自分の好きなものを吸収しようとする姿勢に胸を打たれながらも、今度は一緒に家でサッカー観戦もありかなと浮かれ気味でいると、明歩が渉太の肩にボールを当ててきた。

コロコロと渉太の後ろを通り過ぎていくボールを律仁は即座にそのボールを拾いに行く。

「おい、しょーた。俺、サッカーなんて知らないもん。それにコイツはサッカー選手じゃないんだろ‼」

 律仁と渉太が楽しそうに会話をしているのが余程気に食わなかったらしい。頬を膨らませて律仁のことを指差してきた。

「じゃあ、戦ってみる?」

 素直な子も好きだけどこういう性格がねじ曲がった子を攻略するのは律仁の得意分野だった。
むしろそっちの方が燃える性質なだけに、口角を上げてボールを差し出しながら明歩に問う。

「俺バスケのほうが好きだもん」

 案の定、素直に頷かない明歩はそっぽを向いてしまった。

「へぇー逃げるの?ニンジャマンは悪者と戦ってこそ平和守ってんじゃないの? 」

 律仁に見向きもしなかった顔がクルっと此方を向いた。

 正直、ニンジャマンとやらは知らないが、律仁自身を悪に見立てたことが、明歩には刺さったようで興味を此方に向けることに成功したようだった。

「俺を野放しにしてていいんだ?」

 ふくれっ面のまま様子を伺う明歩を更に踏み込ませようと煽る。

 すると明歩は「ぜったい倒してやるからな」と、律仁のボールを奪い取ると一本杉のある方角へと小さい足を懸命に鳴らしながら歩いて行った。

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