最愛はすぐ側に

なめめ

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最愛だから……

最愛だから……②

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「退院したら、渉太の両親にちゃんと挨拶しに行きたいなー……。お母さんには話せたけど、ちゃんと改めて挨拶はできてないから、彼氏としてちゃんとね?」

 自分は表情を崩さずに、彼の言葉に返事ができているか自信はなかった。右手を絡ませて握られる手にドキドキするのに比例して、辛辣さが増す。

 律仁さんがベッドの真横にあった丸椅子に腰を掛けても尚、離されない右手。傍から見たら唯のカップルのイチャイチャに過ぎない
のに、渉太の心はこの幸せに浸れるような、余裕はなかった。

「その前に、渉太に大事な話があるんだ。怒らないで聞いてくれる?」
「何ですか……?」

 更に右手に力が込められると手の甲が律仁さんの左手に包まれた。祈るように彼の額に近づけられて、瞳を揺らしながら此方を見てくる。

これから彼が話そうとしていることが、粗方予想がついている渉太にとって、彼の行動は狡く思えた。

まるで渉太に自分の決断を肯定してほしいと訴えているようで……。

「渉太……。渉太が退院して大学卒業したらさ、一緒に海外に住まない?」
「どうしてですか……?その話は、記念日の時にしたじゃないですか?俺は律仁さんと海外には行けないって……」

 彼が言おうとしていることは分かっていたが、彼から理由を話してくれるまで知らないフリをする。

じゃないと自分が冷静で居られないような気がしたからだ。

「そうなんだけどさ……。俺……、芸能界辞めようと思うんだ」

 いつか律仁さんの口から聞かなければならなかったこと。社長さんが来てから、何度も頭の中でシュミレーションした。彼の情に流されてしまわないように。

 渉太は小さく呼吸を整えると律仁さんを見据える。

「それは律仁さんに他にやりたいことができたからですか?それとも俺のせいですか?俺がこんな目にあったからですか?」

「そうじゃなくて……。渉太、もしかして全部知ってる?」

 至って冷静に返答したことで、全てを悟っていることを気づかれたのか、律仁さんが瞠目しながら問うてくる。

「はい。数日前、社長さんが直接来て話してくれました。今、世間で起こっていることも、律仁さんが辞めようとしている理由も全部です」
 律仁さんは額に当てた手を下ろすと、「そっか……。ごめん」と呟いた。
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