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終わる関係
3
その後の栗山からの連絡は全て無視をした。
あのまま櫂が別れを告げたことに納得をしていないのか頻繁に来ていた連絡が鬱陶しくなり、遂にはブロックしてしまった。煙草の量も格段に増えた気がする。
きっとセフレを失くして溜まっているせいだと言い訳をしては、忙しさを理由に気を紛らわしていた。
催事の最終日。
慎文に会えるのは今日で最後だ。正直ここ最近は会う気などならずに、彼の売り場を通るのは避けていた。
しかし、会いたくない奴ほどよく出くわすもので、休憩所の中にある喫煙所から中の様子を眺めていると、御昼休憩に慎文が入ってきた。
その表情はやたらと嬉しそうに手作りと思しきお弁当を持って一番端の長テーブルの椅子へと座った。
きっと例の彼氏と昨夜は夜の営みでもしたのだろうと下世話なことを考えてしまう自分に嫌悪感を抱く。
慎文が本当に好きな人と幸せになれたのならそれでいいのに、虚しさはなくならない。
ふと、あの夜に告白してきた栗山の熱視線を思い出してしまい、慌てて首を振って払拭した。
再び慎文に視線を戻すと、お弁当をつつきながらスマホ画面をじっと見つめていた。綻んだ表情に腹の中の悪い虫が収まらない。
櫂は吸いかけの煙草を灰皿に押し付けると喫煙所から出ては慎文の背後へと回った。
スマホの画面をそっと覗くとカズくんの不意をつかれたような表情をした顔写真。四六時中、慎文の頭の中は和幸でいっぱいなのことがあからさまだった。
「彼氏をオカズに飯くってんの?」
「せ、先輩……」
背後から声を掛けてみると、慎文は慌ててスマホの画面を落としては此方を振り向いてきた。相変わらず、櫂を見るなり決まりが悪そうな表情をみせる。
「お前やたらと嬉しそうだな。あの後、カズくんとでも盛り上がったのか?」
すぐに下世話な話しを口にするから慎文を萎縮させて嫌な顔されるのだろうと分かっていても、自分の性格上彼との距離の詰め方がこれくらいしか出来なかった。
「違うよ。先輩には関係ない……」
大事そうにスマホを握りしめては、口を一文字に結んでそれ以上を話そうとしない。引き下がり時だと察していても、慎文相手だから歯止めが効かない。
「ふーん。じゃあカズくんにでも問い詰めてやろうか?俺さぁ、知り合いにカズくんの会社で働いているやつがいるんだよね。こないだ和幸は居酒屋で男とイチャイチャしてたって噂流せば会社中の腫れ物扱いになって……」
傍からそんなことするつもりなんてない。和幸と同じ会社だと言っていた栗山とは縁を切ったし、ただ単に慎文を脅して慌てる姿がみたいだけ。
「嫌だ……。カズくんには迷惑かけたくない……」
案の定、慎文は櫂の言葉を真に受けると顔面蒼白させて櫂の口元を両手で塞いできた。
その必死さが自分に向けられたものじゃない。途端に苛立ちを覚えた櫂は「放せよ」と塞がれた口を乱暴に払うと、慎文は正面に向き直り、もじもじと指先を擦り合わせていた。
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