74 / 118
第2章
第74話 エルフの里の混乱 解決?
しおりを挟む
屈強な魔物ですら倒し切るユウトの魔法。 直撃したダレスは無事ではすまない。
急いで容体と確認すると――――
「よかった。息はある」
どうやら、事前に服用していたレインの薬。それによる強化が、彼の命を救ったようだ。
「メイヴ、回復薬《ポーション》を――――ありがとう」と離れた場所に置いていた雑嚢から、メイヴが投げて渡してくれた。
「呼吸がきつくて飲めないか。仕方がない」
「応急処置だ」と言ってユウトは回復薬をダレスの体にかけた。
回復薬は込んで体内に取り入れることで、超常的な回復を可能とさせる。
だが、それだけではない。 体から浸透させる事で一定の回復能力がある。
「呼吸が落ち着いてきた。飲め……落ち着いて、ゆっくりな」
回復薬の超回復力。もはや、火傷の跡も残っていない。
「よし、これで大丈夫だろ」とダレスを横に寝させた。
これで決着……とはいかなかった。
息を吹き返したダレス。体を起こすと――――
「何をしている! コイツは聖樹を傷つけた者だ。それに、コイツは神聖な決闘で規則を破ったぞ!」
無茶苦茶な理屈だ。
元々、『本当に、ユウトが聖樹を傷つけた者か?』
それを決めるための決闘ではなかったか? 決闘の規則を破って魔法を使ったのはダレスではないか?
周囲のエルフたちはダレスの言葉に耳を傾けない。
それにエルフたちの代表である里長が、
「ダレス、もう止めろ。誰もユウトどのが罪を行ったとは思っておらん!」
そう声を張り上げた。
一番偉い者の宣言。これで解決となる。
――――そのはずだった。
しかし、観客のエルフをかき分けて、後ろから大柄のエルフたちが前に出てきた。
「なるほど、ダレスの取り巻き……俺でもわかる。コイツ等はエルフの荒くれ者だな」
「なにを余裕ぶって! お前でもこの人数を相手に無事では帰れまい!」
「確かに、アイツ等は装備が良い。 鎧まで着込んで戦争でもするつもりか?」
「お前を殺すのに、そのくらい必要だと判断した!」
「甘いな」
「――――なに?」
「お前、忘れているのか? こうなったら、俺より強い奴が本気で動くぞ?」
「なに……お前よりも強い奴……だと?」
次の瞬間だ。屈強なエルフの戦士たち。
それらが
「うぎゃああああああ!」と悲鳴をあげて宙を舞った。
「S級冒険者 メイヴ・ブラックウッド。この里を出る以前はわからないが……今の彼女は俺の100倍は強いぞ?」
20人近くはいただろう。その屈強な武装したエルフの男たちは、1人の女性によって――――それも素手で、倒されていった。
「どうする、ダレス? 今度は俺じゃなくて、メイヴと戦いかい?」
「――――」と彼は、頭が真っ白になっているようだ。何もしゃべれなくなっていた。
そんな時だった。 突然、眩い光に周囲が染められた。
その白い光の中、1人の人物が浮かび上がった。
『静まれ、我が子供たち』
その人物は口にした。 言葉には、強い神意が込められている。
神意――――ユウトもダンジョンで神のような存在と出会ったことがある。
人間に逆らえない強い言葉。 その人物――――いや、神はこう続けた。
『我は聖樹の化身なり、我を傷つけた者は――――こやつ、ダレス・ブラックウッド。違いないな!』
「あ……あわ……」と神に名指しされて、言葉を失ったダレス。
『心配するな。皆は我の子なり――――子を罰する親はいない。その処遇は汝らで定めるが良い』
神はダレスを無罪放免とした。
しかし、その処分はエルフ同士で話あって行えばいいと。
『これにて決着とする。後は自由にするがよい、里長よ』
「は、ははぁ!」と里長は頭を下げた。 次の瞬間には光は消え去り、聖樹の化身も消えていた。
「これでどうでしょうか? ご主人さま」とユウトの背後から幼子の声が聞こえてきた。
「……あの神様、お前なのか? エイム?」
「はい。ここは、わたしの故郷ですので、悪い子にはきつめにお仕置きしてみました」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
これで全て解決。 宴の続き……とはならない。
エルフの神が顕現したのだ。 里長は、別のエルフたちが住む里へ知らせを送る。
周辺のエルフの代表者たちが集まり、大会議となるだろう。
つまり、大混乱だ。
「すまない」とメイヴ。
「ユウトは、何も悪くないのに、こんな騒動に巻き込む形になってしまって」
「いや、気にすることはないさ。それより大丈夫か? 自分の故郷が大騒ぎになって」
「私は大丈夫だ!」とメイヴは言葉とは裏腹に力なく答えた。
「いや、とても大丈夫そうには見えないよ。少し休みな」
「そうか……自分ではわからないものだな。少し休ませてもらうよ」
そう言ってメイヴは部屋を出て行った。
それから、しばらくしてユウトは――――
「行くか」と呟いて、魔導書を取り出した。
その魔導書は輝いている。そのページには地図が増えていた。
急いで容体と確認すると――――
「よかった。息はある」
どうやら、事前に服用していたレインの薬。それによる強化が、彼の命を救ったようだ。
「メイヴ、回復薬《ポーション》を――――ありがとう」と離れた場所に置いていた雑嚢から、メイヴが投げて渡してくれた。
「呼吸がきつくて飲めないか。仕方がない」
「応急処置だ」と言ってユウトは回復薬をダレスの体にかけた。
回復薬は込んで体内に取り入れることで、超常的な回復を可能とさせる。
だが、それだけではない。 体から浸透させる事で一定の回復能力がある。
「呼吸が落ち着いてきた。飲め……落ち着いて、ゆっくりな」
回復薬の超回復力。もはや、火傷の跡も残っていない。
「よし、これで大丈夫だろ」とダレスを横に寝させた。
これで決着……とはいかなかった。
息を吹き返したダレス。体を起こすと――――
「何をしている! コイツは聖樹を傷つけた者だ。それに、コイツは神聖な決闘で規則を破ったぞ!」
無茶苦茶な理屈だ。
元々、『本当に、ユウトが聖樹を傷つけた者か?』
それを決めるための決闘ではなかったか? 決闘の規則を破って魔法を使ったのはダレスではないか?
周囲のエルフたちはダレスの言葉に耳を傾けない。
それにエルフたちの代表である里長が、
「ダレス、もう止めろ。誰もユウトどのが罪を行ったとは思っておらん!」
そう声を張り上げた。
一番偉い者の宣言。これで解決となる。
――――そのはずだった。
しかし、観客のエルフをかき分けて、後ろから大柄のエルフたちが前に出てきた。
「なるほど、ダレスの取り巻き……俺でもわかる。コイツ等はエルフの荒くれ者だな」
「なにを余裕ぶって! お前でもこの人数を相手に無事では帰れまい!」
「確かに、アイツ等は装備が良い。 鎧まで着込んで戦争でもするつもりか?」
「お前を殺すのに、そのくらい必要だと判断した!」
「甘いな」
「――――なに?」
「お前、忘れているのか? こうなったら、俺より強い奴が本気で動くぞ?」
「なに……お前よりも強い奴……だと?」
次の瞬間だ。屈強なエルフの戦士たち。
それらが
「うぎゃああああああ!」と悲鳴をあげて宙を舞った。
「S級冒険者 メイヴ・ブラックウッド。この里を出る以前はわからないが……今の彼女は俺の100倍は強いぞ?」
20人近くはいただろう。その屈強な武装したエルフの男たちは、1人の女性によって――――それも素手で、倒されていった。
「どうする、ダレス? 今度は俺じゃなくて、メイヴと戦いかい?」
「――――」と彼は、頭が真っ白になっているようだ。何もしゃべれなくなっていた。
そんな時だった。 突然、眩い光に周囲が染められた。
その白い光の中、1人の人物が浮かび上がった。
『静まれ、我が子供たち』
その人物は口にした。 言葉には、強い神意が込められている。
神意――――ユウトもダンジョンで神のような存在と出会ったことがある。
人間に逆らえない強い言葉。 その人物――――いや、神はこう続けた。
『我は聖樹の化身なり、我を傷つけた者は――――こやつ、ダレス・ブラックウッド。違いないな!』
「あ……あわ……」と神に名指しされて、言葉を失ったダレス。
『心配するな。皆は我の子なり――――子を罰する親はいない。その処遇は汝らで定めるが良い』
神はダレスを無罪放免とした。
しかし、その処分はエルフ同士で話あって行えばいいと。
『これにて決着とする。後は自由にするがよい、里長よ』
「は、ははぁ!」と里長は頭を下げた。 次の瞬間には光は消え去り、聖樹の化身も消えていた。
「これでどうでしょうか? ご主人さま」とユウトの背後から幼子の声が聞こえてきた。
「……あの神様、お前なのか? エイム?」
「はい。ここは、わたしの故郷ですので、悪い子にはきつめにお仕置きしてみました」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
これで全て解決。 宴の続き……とはならない。
エルフの神が顕現したのだ。 里長は、別のエルフたちが住む里へ知らせを送る。
周辺のエルフの代表者たちが集まり、大会議となるだろう。
つまり、大混乱だ。
「すまない」とメイヴ。
「ユウトは、何も悪くないのに、こんな騒動に巻き込む形になってしまって」
「いや、気にすることはないさ。それより大丈夫か? 自分の故郷が大騒ぎになって」
「私は大丈夫だ!」とメイヴは言葉とは裏腹に力なく答えた。
「いや、とても大丈夫そうには見えないよ。少し休みな」
「そうか……自分ではわからないものだな。少し休ませてもらうよ」
そう言ってメイヴは部屋を出て行った。
それから、しばらくしてユウトは――――
「行くか」と呟いて、魔導書を取り出した。
その魔導書は輝いている。そのページには地図が増えていた。
0
あなたにおすすめの小説
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました
竹桜
ファンタジー
誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。
その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。
男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。
自らの憧れを叶える為に。
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!
nineyu
ファンタジー
男は絶望していた。
使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。
しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!
リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、
そんな不幸な男の転機はそこから20年。
累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる