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第18話 足跡とたどってみると
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埃と砂。 その溜まりを踏み抜いたためにできた跡。
「この足跡、古くないぜ。たぶん、男性のサイズ――――もう少し、情報を取ってみるか?」
そう言うと、ミゲールは獣の紋章を発動。 今度は獣人――――猫ではなく犬にも変身できるらしい。
獣人化による優れた五感。特に臭いを辿る。
「来たのは2日前……偶然と言うよりも定期的に出入りしている人間が数人。 鍛えられている――――文明の臭いがしないね」
「文明の臭いがしない……ってどういう意味ですか?」
「鉄とか、洗剤とか、そういう臭いさ。獣のように生活してる人間――――つまり? どう思うか、我が生徒?」
「――――」とアリスは無言で考える。 出した答えは、
「まだ、ここを祭壇としてる人たちがいる? ここが公にされた後でも、隠れて儀式を続行している原住民?」
「あぁ、どう見ても滅んだ文明の残された遺跡だと思っていたが、まだ生きているなら――――コイツはヤバいかも事件だぜ! 大規模な儀式を行おうとしているぜ?」
「大規模な儀式――――何をしようとしていると思います?」
「――――昔は、この遺跡を作るほどに栄えていた町があったはずだ。それが痕跡がなくなるほどの何か――――周囲から人が逃げ出すほどの何かを起こした大魔法」
ミゲールの言葉を聞くとアリスは頭がクラクラしてきた。
「流石の私でも、想像がつかねぇ。邪神でも呼び出そうとしてるんじゃないか?」
「そんな、見る限り誰も立ち入ってない……何百年も人が来ていないように見えるのに、どうして今――――よりによって私たちが来ているタイミングで!」
「まぁ不思議だよな。隠れてコソコソと儀式を受け継いできた連中が、なんで今のタイミングなんだ?」
そう言いながら、ミゲールは考える。
「やっぱり、あれだ……調査の前に国政と周辺各国の情報集めをサボっちゃダメだな。まるで見当がつかねぇ!」
「き、期待させないでください」
「邪悪な妖術師に騙されたか? 現実的なのは、原住民が自然災害で壊滅的被害を受けた。あとは土地を奪われ追い出されようとしている国への怒りと怨み……そこら辺がよくあるパターンだな。私の経験則だけど」
「よくあるって言うほど、そんな経験を積んでいるんですか!」
「そうだ。私の弟子になった以上はお前も慣れておけ」
「慣れたくありませんよ、そんな事件に」
「おっと静かに――――声を出し過ぎたみたいだ。誰か来るぜ?」
「……誰のせいですか」とアリスは声を小さくする。
そのまま、2人は物陰に隠れて様子を窺う。すると――――
人影が現れた。 3人――――ゴブリンと見間違うような武装をした人間だ。
「この足跡、古くないぜ。たぶん、男性のサイズ――――もう少し、情報を取ってみるか?」
そう言うと、ミゲールは獣の紋章を発動。 今度は獣人――――猫ではなく犬にも変身できるらしい。
獣人化による優れた五感。特に臭いを辿る。
「来たのは2日前……偶然と言うよりも定期的に出入りしている人間が数人。 鍛えられている――――文明の臭いがしないね」
「文明の臭いがしない……ってどういう意味ですか?」
「鉄とか、洗剤とか、そういう臭いさ。獣のように生活してる人間――――つまり? どう思うか、我が生徒?」
「――――」とアリスは無言で考える。 出した答えは、
「まだ、ここを祭壇としてる人たちがいる? ここが公にされた後でも、隠れて儀式を続行している原住民?」
「あぁ、どう見ても滅んだ文明の残された遺跡だと思っていたが、まだ生きているなら――――コイツはヤバいかも事件だぜ! 大規模な儀式を行おうとしているぜ?」
「大規模な儀式――――何をしようとしていると思います?」
「――――昔は、この遺跡を作るほどに栄えていた町があったはずだ。それが痕跡がなくなるほどの何か――――周囲から人が逃げ出すほどの何かを起こした大魔法」
ミゲールの言葉を聞くとアリスは頭がクラクラしてきた。
「流石の私でも、想像がつかねぇ。邪神でも呼び出そうとしてるんじゃないか?」
「そんな、見る限り誰も立ち入ってない……何百年も人が来ていないように見えるのに、どうして今――――よりによって私たちが来ているタイミングで!」
「まぁ不思議だよな。隠れてコソコソと儀式を受け継いできた連中が、なんで今のタイミングなんだ?」
そう言いながら、ミゲールは考える。
「やっぱり、あれだ……調査の前に国政と周辺各国の情報集めをサボっちゃダメだな。まるで見当がつかねぇ!」
「き、期待させないでください」
「邪悪な妖術師に騙されたか? 現実的なのは、原住民が自然災害で壊滅的被害を受けた。あとは土地を奪われ追い出されようとしている国への怒りと怨み……そこら辺がよくあるパターンだな。私の経験則だけど」
「よくあるって言うほど、そんな経験を積んでいるんですか!」
「そうだ。私の弟子になった以上はお前も慣れておけ」
「慣れたくありませんよ、そんな事件に」
「おっと静かに――――声を出し過ぎたみたいだ。誰か来るぜ?」
「……誰のせいですか」とアリスは声を小さくする。
そのまま、2人は物陰に隠れて様子を窺う。すると――――
人影が現れた。 3人――――ゴブリンと見間違うような武装をした人間だ。
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