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第17話 ダンジョン配信の乱入者
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「これは許せませんね。当社は断固として抗議を行いますよ」
まずはマネージャーである岡京さんに相談した。 その結果が、このぶちギレである。
「プラットフォームに削除の申請。アップロード者には、警告を送ります。まったく、こんな内容の動画に、ライガさんを使うなんて、著作権なんだと思っているのだか!」
「ん!? ちょっと待ってくれ。岡京さん、何て言いましたか?」
「はい? 削除の申請を・・・・・・」
「いや、最後の方・・・・・・そうだ! 著作権だ」
確か、ゴンゾーの動画には、デビューした男性Vを罵倒する企画をしていた時期があったはず。
掲示板の情報だが、俺も1年前に罵倒されていたそうだが・・・・・・
「うん、1年前は、VTuberを扱うのに著作権を完全に無視している。けど、今回のは違っている」
著作権。
よくネットで言われているように、
『著作物を権利者に無許可で使用しては行けません』
っていうような簡単な法律ではない。むしろ、弁護士などの専門家でも取り扱うのが難しい部類らしい。
例えば───
「ある漫画家が、漫画を無断で商業利用した相手を訴え、負けた裁判があります。 岡京さんはご存じですか?」
「えぇ、有名な話ですから知っていますとも。負けた理由は、引用基準の範囲内・・・・・・でしたね」
「はい、出典の記載や著作物のサイズ割合などを守れば、ある程度は著作物を自由に使う事ができる。それを踏まえた上で、動画を見比べてください」
ゴンゾーの過去の動画を同時再生で見せる。すると───
「1年前のVTuber批判企画のはもちろん、最近の動画まで著作権だけではなく肖像権にも無頓着と言いますか・・・・・・いや、これは逆ですね。ライガさんの動画だけ、妙に著作権を気にしている。これは一体、どういうことですか?」
「俺の動画だけ作った奴が別人って事ですね。たぶん、ソイツが黒幕だと思います」
黒幕くんも、配信関係の仕事をしていて、つい普段の癖が出てしまったのだろう。
「黒幕ですって! もしかして、バグ田ゴンゾーは、その黒幕の手駒って事ですか?」
「もちろん、なんの証拠もない俺のカンですが」
「わかりました。この件はたけし社長の耳に入れておきます。しばらく、ライガさんはダンジョン配信を減らして警戒をお願いします」
「わかりました」俺は頷いた。
・・・・・・とは言うものの、俺の代表的コンテンツはダンジョン配信だ。
今までは週に2回の頻度でダンジョン配信を行っていた。
それが急に0回となると、今度はVTuberとして死活問題になる。
雑談配信、ゲーム配信で誤魔化しながら・・・・・・歌枠? そんなに聞きたいか? 俺のデスボイスが?
そうして、1週間は誤魔化していたが、2週間目になると流石に視聴者からも不満が湧き出してくる。
配信界隈、話題の流行り廃りも早い場所だ。 しばらく動画だけではなくSNSでも挑発を繰り返していたゴンゾーも2週間が経過すると別のターゲットに目をつけ始めたみたいだ。
「もう大丈夫だろ。ここらで、ダンジョン配信を復活させても・・・・・・」
念のため、事務所の許可を取った。 事前告知はギリギリまで控えて、ゲリラ配信なら可能と返事があった。
ならば、早速配信の準備を行った。
「よぉ! たけプロ所属1年目、獅堂ライガが配信を始めるぜ!」
『きちゃ!』
『久々のダンジョン配信!』
『今日は何を狩って、何を食べるの?』
配信開始からコメントが速く流れる。 ここ最近も登録者も増えて、通常配信でも同時接続者数も増えていたと思っていたが───
やはり、ダンジョン配信は別格みたいだ。 海外ニキもよう見とる。
ゲリラ配信でも、反応が良い。
「今日は、中層に来ているぜ。何か食材を狩る目的というよりも、ダンジョンの変な場所を紹介する・・・・・・ダンジョンさんぽをお送りするぜ!」
ダンジョンは、地下に向かう迷宮。 基本的には、石畳が並べられた人工建造物だが、明らかに意味がわからない構造の場所・・・・・・
え? これって重力がおかしくなってない?
・・・・・・みたいな場所が幾つもある。 それを面白おかしく、美味しそうな食材を狩りながら、進んでいこう。
「まずは、この先にある奇妙な彫刻。逆さに吊るされた女神像が・・・・・・あっやべぇ!」
『?』
『え? なに?』
『なんかアクシデントか?』
しまった。 久々のダンジョン配信で、動揺を抑えれず、声に出てしまったか。
「う~ん 実は、ダンジョン配信中に他の人が近づかないように階層全体に結界を張っていたんだ」
『そうだったの・・・・・・って階層全体に結界を!』
『通りで、他の配信者とブッキングしないと思ってたら、そんなことを!?』
『待てよ。当たり前のように言ってるけど、そもそも結界って何よ???』
俺は上の階層を見上げて、魔力の流れを調べるも間違いはない。
「それを誰かが破って階層に降りてきてる。 どう考えて悪意がある人物だぜ」
俺は破壊された結界から、周囲の情報を得る事ができる。
「畜生が、面倒な結界を仕掛けやがって!」
怒鳴っている男。見たことある・・・・・・バグ田ゴンゾーだ。
動画で見るよりも、明らかに体が大きくなっている。 肉体強化系のスキルを使っているようだ。
いや、興奮具合から精神にも強い影響が出ていて危険な感じがしている。
さらに、ゴンゾーの後ろに4人の男───一見すると撮影スタッフだが、全員が本業はダンジョン配信者たちだろう。
───いや、もう1人いる。 魔法使い系の男だ。
「あぁ、ゴンゾーの実力で俺の結界が壊せるか、疑問だったけど・・・・・・なるほど、コイツが俺の結界を壊した張本人か? 何者だ?」
俺を倒すために集めた精鋭、ゴンゾーを合わせて6人か。
厄介そうだな。 1人で「うんうん」と言っていたら、置いてけぼりになったリスナーからクレームが出てきた。
『おまえには、一体何が見えてるんだよ!』
まずはマネージャーである岡京さんに相談した。 その結果が、このぶちギレである。
「プラットフォームに削除の申請。アップロード者には、警告を送ります。まったく、こんな内容の動画に、ライガさんを使うなんて、著作権なんだと思っているのだか!」
「ん!? ちょっと待ってくれ。岡京さん、何て言いましたか?」
「はい? 削除の申請を・・・・・・」
「いや、最後の方・・・・・・そうだ! 著作権だ」
確か、ゴンゾーの動画には、デビューした男性Vを罵倒する企画をしていた時期があったはず。
掲示板の情報だが、俺も1年前に罵倒されていたそうだが・・・・・・
「うん、1年前は、VTuberを扱うのに著作権を完全に無視している。けど、今回のは違っている」
著作権。
よくネットで言われているように、
『著作物を権利者に無許可で使用しては行けません』
っていうような簡単な法律ではない。むしろ、弁護士などの専門家でも取り扱うのが難しい部類らしい。
例えば───
「ある漫画家が、漫画を無断で商業利用した相手を訴え、負けた裁判があります。 岡京さんはご存じですか?」
「えぇ、有名な話ですから知っていますとも。負けた理由は、引用基準の範囲内・・・・・・でしたね」
「はい、出典の記載や著作物のサイズ割合などを守れば、ある程度は著作物を自由に使う事ができる。それを踏まえた上で、動画を見比べてください」
ゴンゾーの過去の動画を同時再生で見せる。すると───
「1年前のVTuber批判企画のはもちろん、最近の動画まで著作権だけではなく肖像権にも無頓着と言いますか・・・・・・いや、これは逆ですね。ライガさんの動画だけ、妙に著作権を気にしている。これは一体、どういうことですか?」
「俺の動画だけ作った奴が別人って事ですね。たぶん、ソイツが黒幕だと思います」
黒幕くんも、配信関係の仕事をしていて、つい普段の癖が出てしまったのだろう。
「黒幕ですって! もしかして、バグ田ゴンゾーは、その黒幕の手駒って事ですか?」
「もちろん、なんの証拠もない俺のカンですが」
「わかりました。この件はたけし社長の耳に入れておきます。しばらく、ライガさんはダンジョン配信を減らして警戒をお願いします」
「わかりました」俺は頷いた。
・・・・・・とは言うものの、俺の代表的コンテンツはダンジョン配信だ。
今までは週に2回の頻度でダンジョン配信を行っていた。
それが急に0回となると、今度はVTuberとして死活問題になる。
雑談配信、ゲーム配信で誤魔化しながら・・・・・・歌枠? そんなに聞きたいか? 俺のデスボイスが?
そうして、1週間は誤魔化していたが、2週間目になると流石に視聴者からも不満が湧き出してくる。
配信界隈、話題の流行り廃りも早い場所だ。 しばらく動画だけではなくSNSでも挑発を繰り返していたゴンゾーも2週間が経過すると別のターゲットに目をつけ始めたみたいだ。
「もう大丈夫だろ。ここらで、ダンジョン配信を復活させても・・・・・・」
念のため、事務所の許可を取った。 事前告知はギリギリまで控えて、ゲリラ配信なら可能と返事があった。
ならば、早速配信の準備を行った。
「よぉ! たけプロ所属1年目、獅堂ライガが配信を始めるぜ!」
『きちゃ!』
『久々のダンジョン配信!』
『今日は何を狩って、何を食べるの?』
配信開始からコメントが速く流れる。 ここ最近も登録者も増えて、通常配信でも同時接続者数も増えていたと思っていたが───
やはり、ダンジョン配信は別格みたいだ。 海外ニキもよう見とる。
ゲリラ配信でも、反応が良い。
「今日は、中層に来ているぜ。何か食材を狩る目的というよりも、ダンジョンの変な場所を紹介する・・・・・・ダンジョンさんぽをお送りするぜ!」
ダンジョンは、地下に向かう迷宮。 基本的には、石畳が並べられた人工建造物だが、明らかに意味がわからない構造の場所・・・・・・
え? これって重力がおかしくなってない?
・・・・・・みたいな場所が幾つもある。 それを面白おかしく、美味しそうな食材を狩りながら、進んでいこう。
「まずは、この先にある奇妙な彫刻。逆さに吊るされた女神像が・・・・・・あっやべぇ!」
『?』
『え? なに?』
『なんかアクシデントか?』
しまった。 久々のダンジョン配信で、動揺を抑えれず、声に出てしまったか。
「う~ん 実は、ダンジョン配信中に他の人が近づかないように階層全体に結界を張っていたんだ」
『そうだったの・・・・・・って階層全体に結界を!』
『通りで、他の配信者とブッキングしないと思ってたら、そんなことを!?』
『待てよ。当たり前のように言ってるけど、そもそも結界って何よ???』
俺は上の階層を見上げて、魔力の流れを調べるも間違いはない。
「それを誰かが破って階層に降りてきてる。 どう考えて悪意がある人物だぜ」
俺は破壊された結界から、周囲の情報を得る事ができる。
「畜生が、面倒な結界を仕掛けやがって!」
怒鳴っている男。見たことある・・・・・・バグ田ゴンゾーだ。
動画で見るよりも、明らかに体が大きくなっている。 肉体強化系のスキルを使っているようだ。
いや、興奮具合から精神にも強い影響が出ていて危険な感じがしている。
さらに、ゴンゾーの後ろに4人の男───一見すると撮影スタッフだが、全員が本業はダンジョン配信者たちだろう。
───いや、もう1人いる。 魔法使い系の男だ。
「あぁ、ゴンゾーの実力で俺の結界が壊せるか、疑問だったけど・・・・・・なるほど、コイツが俺の結界を壊した張本人か? 何者だ?」
俺を倒すために集めた精鋭、ゴンゾーを合わせて6人か。
厄介そうだな。 1人で「うんうん」と言っていたら、置いてけぼりになったリスナーからクレームが出てきた。
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