1 / 144
取り残されたダンジョン
しおりを挟む
ここはダンジョンの中。
モンスターに囲まれる冒険者たちがいた。
「もうこれ以上は危険だ。撤退をしよう」
俺――――ジェル・クロウは撤退を進言する。
「うるせぇぞ、ジェル! こんなゴブリンなんかに、俺たちB級冒険者だぞ!」
リーダーであるレオ・ライオンハートは俺の意見を一蹴する。
確かに俺たちを取り囲んでいるモンスターは最弱と言われるゴブリンたち。
肉体労働の男なら素手で戦っても勝てる。その程度の脅威のはずだった。
しかし――――
「認められるか! 頭の悪いゴブリン共が罠を仕掛けるなんて」
レオが吐き捨てるように俺たち冒険者パーティは罠にはめられていた。
巧妙に隠された沼地。
そこに誘導された俺たちは、機動力を失った。
沼地から脱出しようにも、ゴブリンたちは弓矢や投石と言った遠距離攻撃でコチラの動きを牽制してくる。
「やっぱり、撤退に専念するべきだよ。アイツ等の目的は俺たちの足止めだ。巨体のホブゴブリン。魔法を使うゴブリンメイジがいる本隊が来れば俺たちだって!」
「チッ!」と舌打ちをしたレオ。それから――――
「わかった、撤退だよ」
「よかった。わかってくれ――――え?」
俺は驚いた。レオが何かを投げて渡してきた。
ずっしりと重い袋。
「見ろ。中身を確認しろ」とレオの強い言葉。
急かされて、中を開く。俺はさらに驚かされた。
中身は金貨。それも通常の冒険者なら年収に匹敵する金額になる。
「これは、何を?」と困惑する俺に対してレオは――――
「あん? こいつはお前の正当な賃金だ。危険手当とか――――まぁ冥土の土産だ」
「な、なにを?」
蹴りを入れるレオ。不意を突かれた俺は尻餅をつく。
「お前が撤退を言い出したんだ。責任もって殿《しんがり》として残れよ」
さらにレオは剣を振るった。 足に激痛が走る。
「――――痛っ!? ふざけるな!」
「別にふざけちゃいないさ。俺たちはB級冒険者だぞ?なんのためにお前みたいな底辺冒険者を入れてると思う?」
「お前――――っ!」
「気をつけろよ。ゴブリンたちの攻撃は続いてる。ほらっ! 必死になって俺たちを守れよ! それだけの対価はくれてやった」
レオたちが離れていく。 俺は1人だけ残された。
怪我をした人間にモンスターは手加減なんかしない。
むしろ、好機だと思ったのだろう。集中的に攻撃が俺に向けられていく。
「この――――くそっ!」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・
記憶が混濁している。
あれからどうなったのか? わかっているのは、まだ生きている事。
それから――――
「ははっ無くなっちまった。大切にしていたつもりなんだけどな」
俺は右腕を見た。そこにあるはずの腕は肘から先が切断されて消失していた。
いや、腕だけじゃない。全身、無事と言える箇所を探すのが困難なほどの傷。
生きているのが奇跡だと言えるくらいに……
「どうしてこうなったんだろうか?」
自分の言葉に苦笑する。 原因があるとしたら最初からだ。
冒険者として才能がない俺が、意地になって冒険者を続けていた事こそが間違いだったのだろう。
『底辺冒険者』
最後にレオが放った言葉だ。
「そう……俺は、どこまでも弱者だった」
そう言って瞳を閉じた。 それでも、まだ死ねない。
ゆっくりと今回の依頼内容を思い出しながら眠りについた。
※本作は一部 MidjourneyによりAIが制作したイラストを挿絵として使用しています。
モンスターに囲まれる冒険者たちがいた。
「もうこれ以上は危険だ。撤退をしよう」
俺――――ジェル・クロウは撤退を進言する。
「うるせぇぞ、ジェル! こんなゴブリンなんかに、俺たちB級冒険者だぞ!」
リーダーであるレオ・ライオンハートは俺の意見を一蹴する。
確かに俺たちを取り囲んでいるモンスターは最弱と言われるゴブリンたち。
肉体労働の男なら素手で戦っても勝てる。その程度の脅威のはずだった。
しかし――――
「認められるか! 頭の悪いゴブリン共が罠を仕掛けるなんて」
レオが吐き捨てるように俺たち冒険者パーティは罠にはめられていた。
巧妙に隠された沼地。
そこに誘導された俺たちは、機動力を失った。
沼地から脱出しようにも、ゴブリンたちは弓矢や投石と言った遠距離攻撃でコチラの動きを牽制してくる。
「やっぱり、撤退に専念するべきだよ。アイツ等の目的は俺たちの足止めだ。巨体のホブゴブリン。魔法を使うゴブリンメイジがいる本隊が来れば俺たちだって!」
「チッ!」と舌打ちをしたレオ。それから――――
「わかった、撤退だよ」
「よかった。わかってくれ――――え?」
俺は驚いた。レオが何かを投げて渡してきた。
ずっしりと重い袋。
「見ろ。中身を確認しろ」とレオの強い言葉。
急かされて、中を開く。俺はさらに驚かされた。
中身は金貨。それも通常の冒険者なら年収に匹敵する金額になる。
「これは、何を?」と困惑する俺に対してレオは――――
「あん? こいつはお前の正当な賃金だ。危険手当とか――――まぁ冥土の土産だ」
「な、なにを?」
蹴りを入れるレオ。不意を突かれた俺は尻餅をつく。
「お前が撤退を言い出したんだ。責任もって殿《しんがり》として残れよ」
さらにレオは剣を振るった。 足に激痛が走る。
「――――痛っ!? ふざけるな!」
「別にふざけちゃいないさ。俺たちはB級冒険者だぞ?なんのためにお前みたいな底辺冒険者を入れてると思う?」
「お前――――っ!」
「気をつけろよ。ゴブリンたちの攻撃は続いてる。ほらっ! 必死になって俺たちを守れよ! それだけの対価はくれてやった」
レオたちが離れていく。 俺は1人だけ残された。
怪我をした人間にモンスターは手加減なんかしない。
むしろ、好機だと思ったのだろう。集中的に攻撃が俺に向けられていく。
「この――――くそっ!」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・
記憶が混濁している。
あれからどうなったのか? わかっているのは、まだ生きている事。
それから――――
「ははっ無くなっちまった。大切にしていたつもりなんだけどな」
俺は右腕を見た。そこにあるはずの腕は肘から先が切断されて消失していた。
いや、腕だけじゃない。全身、無事と言える箇所を探すのが困難なほどの傷。
生きているのが奇跡だと言えるくらいに……
「どうしてこうなったんだろうか?」
自分の言葉に苦笑する。 原因があるとしたら最初からだ。
冒険者として才能がない俺が、意地になって冒険者を続けていた事こそが間違いだったのだろう。
『底辺冒険者』
最後にレオが放った言葉だ。
「そう……俺は、どこまでも弱者だった」
そう言って瞳を閉じた。 それでも、まだ死ねない。
ゆっくりと今回の依頼内容を思い出しながら眠りについた。
※本作は一部 MidjourneyによりAIが制作したイラストを挿絵として使用しています。
0
あなたにおすすめの小説
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい
広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」
「え?」
「は?」
「いせかい……?」
異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。
ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。
そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!?
異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。
時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。
目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』
半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。
そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。
伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。
信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。
少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。
====
※お気に入り、感想がありましたら励みになります
※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。
※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります
※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?
大好き丸
ファンタジー
天上魔界「イイルクオン」
世界は大きく分けて二つの勢力が存在する。
”人類”と”魔族”
生存圏を争って日夜争いを続けている。
しかしそんな中、戦争に背を向け、ただひたすらに宝を追い求める男がいた。
トレジャーハンターその名はラルフ。
夢とロマンを求め、日夜、洞窟や遺跡に潜る。
そこで出会った未知との遭遇はラルフの人生の大きな転換期となり世界が動く
欺瞞、裏切り、秩序の崩壊、
世界の均衡が崩れた時、終焉を迎える。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
