『購入無双』 復讐を誓う底辺冒険者は、やがてこの世界の邪悪なる王になる

チョーカ-

文字の大きさ
83 / 144

 北の国の冒険者ギルド

しおりを挟む
 異国の地だ。

 ジェルたちが生活の基盤とする国から馬車で数日で到着する距離。

 寒い。 まるで1年が冬の国だ。

 この国にも冒険者ギルドがある。冒険者として活動するためには、一時的な登録をしなければならない。

「――――ダンジョン探索の目的は資材集め。B級冒険者が受ける依頼としては不可解と言わざる得ませんね」

 受付嬢は、資料を射抜くような視線で厳しくチェックする。

 ジェルたちが利用する受付嬢に似ていた。 

 冒険者ギルドに就職して、受付嬢の仕事を得るには、服装や髪型だけではなく、もっと……こう…… 外見的な評価基準が存在しているのかもしれない。

「B級冒険者と言っても過去に所属していたパーティのランクだ。今は、新人と2人組の冒険者として活動している。それに、俺は斥候だから、高い戦闘技術もない」 

 受付嬢からは疑いの眼差し。 ジェルは、ジト目で観察をされている。

「なるほど……そうは見えませんが、何か理由があるのでしょ? 許可いたします」

「え? いいのか?」とジェルは驚いた。 

 許可が下りずに、弾かれる可能性を考えていたからだ。

 もっとも、だからと言って国に帰らず、無許可で活動をするつもりだったのだが……

 受付嬢は視線をジェルから外すと

「……あ」と小さな声で呟いた。

「え? 今、なんて?」

 すると受付嬢は、少し照れたような表情に変わった。

「……姉がお世話になっているみたいなので」

「姉? 姉ってもしかして――――」

「そちらの国で冒険者ギルドの受付嬢として働いているのは、私の姉です」

「あっ……なるほど、通りで似ているはずだ」

「冒険者ギルドからの推薦文には、姉から一言添えられていました。……どうも、無茶な姉が迷惑をかけている様子なので……」

「いや、そんな事はないよ。いつも助けられているのは、こっちの方さ」

「そうですね。義理の兄になる人にそう言われると救われます」

「……義理の兄?」

「え? 違うのですか? 姉からは、そう……そうですか。また、お姉ちゃんは私をからかって遊んでいるのですね!」

「……」

「……し、失礼しました」と受付嬢は、冷静さを取り戻した。それから、

「こちらの『北国迷宮』の探索を行うと言う事で間違いありませんね? それでは、探索の拠点となる場所への案内人を紹介しましょう」

「拠点? 案内人?」

「ダンジョンは町から離れた場所にあり、寒気が近づけば移動も困難になるために、近くに活動拠点となる小屋を用意しています」

「そうなのか。それは知らなかったなぁ」

「……事前に冒険者ギルド側から申告もしています。こちらの資料では、ジェルさんも了承されている事になっています。大丈夫ですか? 短期とは言え、小屋の家賃も安くはないですよ?」

「ん~ もちろん払うよ。野宿してら死んじゃいそうな季候だからね」

「いえ、そう言う事ではありません。姉に言われるままに資料にサインして、金づるにされているのではないかと――――」

 受付嬢は途中で声を止める。

「受付嬢さん、もう良いじゃろうか?」

 老人のドワーフが待っていたからだ。

「兄ちゃんが、冒険者か? ワシが案内人のトムじゃ」

「よろしく」と差し出された手を、ジェルは反射的に握り返していた。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

ゴミスキルと追放された【万物鑑定】の俺、実は最強でした。Sランクパーティが崩壊する頃、俺は伝説の仲間と辺境で幸せに暮らしています

黒崎隼人
ファンタジー
Sランク勇者パーティのお荷物扱いされ、「ゴミスキル」と罵られて追放された鑑定士のアッシュ。 失意の彼が覚醒させたのは、森羅万象を見通し未来さえも予知する超チートスキル【万物鑑定】だった! この力を使い、アッシュはエルフの少女や凄腕の鍛冶師、そして伝説の魔獣フェンリル(もふもふ)といった最強の仲間たちを集め、辺境の町を大発展させていく。 一方、彼を追放した勇者たちは、アッシュのサポートを失い、ダンジョンで全滅の危機に瀕していた――。 「今さら戻ってこい? お断りだ。俺はこっちで幸せにやってるから」 底辺から駆け上がる痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...