勇者は発情中

shiyushiyu

文字の大きさ
53 / 60

第四十八エロ 機械の間

しおりを挟む
「ちあっ!」

 カーテンを開けて目の前に飛び込んだ光景に助態は叫んでいた。

 ちあが裸で両手両足を拘束され、人間の男に今にも襲われようとしていたのだ。

「あれだけのカーテンのトラップを抜けてきたのか……」

 扉の絵とかはこの男が言うにはトラップだったようだ。

「君たちは下がってな。ちあを見るんじゃないよ」

 ティーパンが助態、ヌルヌル、もっこりに言い、双頭蛇を召喚した。

「誰かちあに服を貸してあげな」

 そう言い置いてやや距離があるちあのところまで一瞬で間を詰めた。

「なっ! 僕と戦うつもりか?」

 小さなナイフを持ってティーパンに立ち向かおうとするが、ティーパンは双頭蛇を従え大刀も掲げている。

「ティーパンさん……キレてるな……」

 助態の呟き通り目の前で仲間が襲われそうなのを見て、ティーパンは完全にキレていた。

 何よりもティーパンは女の味方という感じの人物なのだ。

「戦う?もう終わってるだろ?」

 蛇で男を締め上げ、大刀で首を飛ばすと、人間の姿からみるみるうちに別の姿へと変身した。

 小さな丸っこい体にコウモリの羽を生やし、ニワトリのような足が付いていた。

「こいつはこんろりだ」

 はあはあが目の前の倒されたモンスターを見て言う。

「私の妹たちを知ってるだろう?」

 ちんちんやぱいぱい、まんまんのことだ。

 血は繋がっていないが妹だと言う。

「あの娘たちもね、こいつらに襲われたことがあってね。そのせいでそのなんだ。性に興味津々なんだよ」

「何もされてないかい?」

 ちあの拘束を解いて毛布にくるませながらティーパンが問う。

「平気じゃ。ギリギリのところじゃったがちあの貞操は守られたのじゃ」

 ニヤッとちあが助態に微笑みかける。

 ちゃんと抱っこしてあげなさい。とティーパンにちあを渡され、助態は戸惑いながらもちあを抱っこした。

 何もされていなくて安心した自分がいることに、助態は気づかなかった。

 ●

 助態たちはカーテンの間に再び戻ってきた。

 まだまだカーテンはたくさんあり、先ほどの変な音も相変わらずしている。

「どうする? みんな揃ってるけどまだカーテンを開け続ける?」

 ティーパンが助態に問う。

「こんろりとかいうモンスターがカーテンはトラップって言ってましたよね?」

 助態がそう言うとティーパンが頷く。

「それならわざわざ開ける必要はないかと思います。それよりも先に進みませんか?」

「私は勇者の意見を支持するよ?」

 助態の提案をティーパンは基本反対しない。

 他のメンバーも実力者のティーパンが賛成するならそれを疑わない。

 こうしてメンバーはカーテンの間をさっさと抜けることにしたのだった。

 一本道を進めば進むほど、怪しい音に近づいているのに助態は気が付いた。

「のぅ助態。くりすますって何なのじゃ?」

 ちあがこんろりから聞いた聞きなれないワードを助態に訊く。

「あぁ。俺がいた世界にもあったなそういうイベント。大人から子供までワクワクすいるイベントでさ、一部の人以外みんなが大好きなんだ。サンタクロースってゆー人が子供にプレゼントを届けてくれるだとか、恋人同士でプレゼントを交換するだとか、恋人の季節だとかそーゆーとにかくほとんどの人みんなに好かれるイベントなんだよ」

 助態が懐かしそうに話すが、どうやらこの世界の人たちにはピンとこないようだ。

「なんでそんなイベントがみんな好きなんじゃ?」

「あぁ。子供たちはお菓子とかおもちゃを欲しがるもんだからな。大人はやっぱりロマンチックだからじゃないか? 何でって改めて聞かれると難しいもんだな」

 ふむ。と考えながら助態が答えると、目の前に再び大きな扉が現れた。

 開ける以外の選択肢がないため、メンバーは扉を開けて先に進んだ。

 ●

 扉を開けた瞬間、強烈な光にメンバーは目がくらんだ。

 さっきまで暗い部屋だったのに急に明るい部屋になったのもある。

 ガシャンガシャンやかましい音が鳴り響く部屋だ。

 先ほどからしていた謎の金属音もこの部屋から聞こえていたことが分かる。

 助態には、なんかの工場のように見える。

「何だいこのやかましい部屋は」

 もふともが両耳を塞ぐ。

「金属同士が勝手に動いているのは魔法かしら?」

 ロボットや機械という概念がないのか、くびちが勝手に動く機械を見て不思議そうにする。

「術者が近くにおらんのにオートで物を動かすことはまず不可能じゃ」

 その隣でちあが真面目な顔をしている。

 さすがは幼き天才だ。

「遥か遠い国には、金属ではないが木製の人形が自動で動く技術があると聞いたことがある。確かカラクリとかいう名前だったかな」

「あ、ウチもそれ聞いたことあるっす。物を運んだりするらしいっすよ」

 ティーパンの言葉にぱいおが反応する。

 時折ぱいおは博識なところがある。

「これは機械だよ。ぱいおやティーパンさんが言ってるカラクリとはまた違った技術で多分どこかに電源があると思うんだ」

 助態が自分が生きていた世界の知識を教えると、ちあが電源? と問うてきた。

「あぁ。まぁ簡単に言えば電気で動いているんだ。電気ってのは雷をもっと弱くして人間が扱いやすくしたようなものだ。人工的にその電気を発生させられるんだけど、俺は専門家じゃないからその辺はよく分からない」

 助態が頷きながら言うと、雷を自在にという言葉にみんなが驚いた。

「まぁそういう技術がここにもあるってことだな」

「それがモンスターの間だけで共有されているとしたら、人間に対してかなりの脅威になるぞ……」

 助態の楽観的な言葉にティーパンがおののく。

「いや、電気がなければ動かないしガソリンとかそーゆーのはないだろうから、そこまで脅威じゃないと思いますよ」

 戦闘中には使えないだろうと助態は言う。

 戦争のようにガソリンなどを使って戦闘機などを飛ばすなら分からないが、電源を使わないと動けない機械など、戦闘中に使えるわけがない。ましてやここは魔法がある世界だ。

 機械よりも魔法を扱う方が合理的である。

「なんか助態さんが少しかっこよく見えてきたっす!」

 ぱいおが目をパチクリさせる。

「なんでそんな表情なんだよ!」

 やや嫌そうな顔をしたぱいおに助態が突っ込む。

「それで、ここは何をする部屋だと勇者は見る?」

 ティーパンが機械を唯一知っていた助態に問う。

 とは言われても助態は機械に詳しいわけではない。

 見たところ、何かの部品を作っているように思える。

 それが何の部品かは分からないが、金属を切り出し、加工し、研磨して金属は丸い手のひらサイズになってベルトコンベアで運ばれていた。

 そこからプレスされて薄くされていた。

「円月状の刃物のような武器を作ってるように見えますけど何とも言えないです……」

 助態が言うように、完成品が薄い円状の物なだけで、それを何に使うのかはさっぱり分からなかった。

「ただ、この機械を動かしている電気がどこから来ているのかは気になりますね……」

 電気で動いている以上、発電している施設や場所があるはずだと助態は言う。

「それに、誰が何の目的でこの金属を使うのかも気になるっすよね」

 珍しくぱいおもまじめだ。

 ぱいおがまじめな時はいつも、それだけ切羽詰まった状態であることが多い。

「そのでんきとかゆーやつは自動で出るとかはないのか? 雷は自然現象だろ?」

 電気そのものが理解できていないもっこりは、電気も雷同様に自然に発生すると思っているようだ。

「その電気を発生させるための装置があるはずなんだ。通常はそれを線に通してってそんなことはどうでもいいか。とにかく、その発生させた電気が送られることで機械は動くんだ。だから、この機械を動かしている電気がどこから来ているのかが分かれば、この機械が何に使われているのかも分かるかもしれない」

 助態の予想は、一般的な世界では正しい。

 しかしここは異世界。

 助態の予測はその一般的を上回っていたのだった――
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...