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平穏ではない昼休み
しおりを挟む風邪が治って教室に行くとなぜだかいきなり大きい人が何も言わずに頭を下げてきた。
「え、なに、?」
って聞いても何も答えてくれなくてそのとなりには相変わらずのようにマナさんがいた。
そのマナさんもちょっと伏せ目がちに頭を下げてきて、いよいよ何が何だか分からなくなった。
わけがわからない状況でも時間はすぎるわけで4時間はすぐに終わって昼休みになった。
いつものように中庭に行こうするけど少し躊躇う。・・・だって、もしかしたら春くんいるかもしれないし、そしたらちょっと恥ずかしいし・・・。
でも結局他に行くとこなんてなくて、中庭に行く。
僕より早く、春くんはいた。
僕の姿を確認して、ちょっと驚いて、それで笑った。
「来てくれて、よかった。嫌われたかと思いました。」
「嫌いになんてならないよ」
「でも、俺・・・」
顔を赤らめさせて口をもごもごさせる春くん。あの時の出来事を言葉にするとかどんな羞恥プレイだよ。
「は、春くんもう忘れようよ。」
「・・・っ俺は!忘れたくなんてないです!」
「え」
「先輩は、俺の告白も無かったことにしたいんですか?」
そ、ういうわけじゃないけど・・・。だけど、でも、春くんは男で、僕も男で。
春くんの告白は嬉しかったけど、性別の壁はかなり高いものだから。
「あの、僕男だよ?」
一応確認をとるも、
「それくらい知ってます!」
と鼻息も荒く返された。まぁそりゃそうか。
「俺は、先輩が男でもどうでもいい!・・・それが先輩なら、たとえ動物でも虫でも恋してました!」
「それはないと思うけど。」
「うんまぁ・・・流石に意思疎通できなかったら先輩かどうかも確認出来ない・・・。いやいや、そこは俺の愛情でカバーするとして・・・」
必死に何考えてるの。ちょっと可愛い・・・かも。
「・・・僕、男で、コミュ障で、運動もできないし愛想もないし、それに・・・」
「それも全部含めて先輩だから、全部全部大好きです!」
「な、!」
「先輩!俺!先輩のこと好きです!サラサラの髪の毛も!すぐ赤くなるところも!物憂げに本を読んでいるところも!笑顔も、全部!」
「ちょ、やめーー」
なななな、何いきなり叫び出してるの!いくら中庭だからって、そんな大声出したら何事かと生徒達が集まるでしょ!?
あぁほら!なんだなんだと教室の窓から除いてる人がたくさん・・・!
「先輩が大好きだぁああ!!!俺と!付き合ってください!!!」
「・・・っ」
小説とか漫画で読んだことがある光景。公開告白なんてありえねー、とか僕は絶対イヤだって思ってた。実際、おぉ、すげー。とか、あれ?相手の方も男じゃね?とか聞こえてくる気がするしめちゃくちゃ恥ずかしい、けど。
・・・こんなに、嬉しいなんて。
「迷惑、でしたか?」
「・・・ううん、すごく嬉しい。」
「じゃあ・・・!」
「こちらこそ、よろしくお願いします・・・っ」
瞬間、ギュッて抱きしめられて、春くんの香りに包まれる。春くんとは色々しちゃったけど、気持ちが通じあってからするハグは今までのアレコレよりずっと気持ちよかった。なにこれすごい。
おぉー ヒュー! やるなー1年! やば、生ホモ!
色々な声が聞こえて我に返る。・・・ここ、中庭で、いろんな人に見られてるんだった・・・!
アワアワする僕に春くんが
「先輩、逃げましょ!」
って僕の手を引いて走っていく。・・・逃げる原因作ったの春くんなんだけど。なんていう文句は運動不足の僕には言う余裕がなかった。
「・・・ま、タンマ、無理。」
ゼーハーゼーハー肩で息する僕を見る春くんは余裕気。く、くやしいっ!
「ていうか、どこ行くつもりだったの?」
少し息を整えて春くんに聞く。逃げるってどこに?あぁ、明日から好奇の目が僕を襲う・・・!
「俺んち。先輩、来たいって言ってたっすよね?」
「え、授業は・・・っていうか、来ちゃダメなんじゃなかったっけ?」
結構根に持つぞ、僕。
「それは俺が、先輩にナニするか分かんないからです。でもほら、晴れて恋人同士になった訳ですし、・・・ね?」
ね?じゃないから!そんな事言われたらイヤでも意識しちゃうよ!
真っ赤になった僕を見て嬉しそうに顔を綻ばせながらもグイグイと手を引っ張って春くんの家へと連れていこうとする。
「じ、条件!条件があります!」
「・・・なんですか。」
「春くんの家に着いたら僕に指1本触れちゃダメ!・・・です」
「えぇ~」
と落胆の声をあげる春くんだけど、だって恥ずかしいし。・・・嫌ってわけじゃないんだけど。
それでもいいのか、春くんは迷いなく僕の手を引っ張って歩く。
繋がれた手を見て、気づく。僕が本を持ってないことに。
最初は、静かなところで本を読むために中庭に来てた。けど、いつの間にか僕の目的は春くんに会うってことになってたのかも。
もう、本の世界に逃げなくても僕を受け入れてくれる人がいる。
それが、とても嬉しかった。
「先輩?」
着いたのか、不思議そうに僕を見る春くんに近づく。
ーーちゅ。 春くんのキスと比べると子供っぽいキスだけど、精一杯気持ちを込めたつもりだ。
「好きだよ、春くん」
ていう気持ちを。
「な、!先輩、ずるいです!それに、指1本触れちゃダメなんじゃないんですか?」
「まだ春くんの家入ってないからセーフなの!」
顔を真っ赤に染めた春くんを置いて、お邪魔しまーすと声をかけながら家に入る。
僕の恋人は、ちょっと馬鹿で、僕より背が高くて、僕より手も大きくてゴツゴツしてて、ガタイもいい。何より男だ。
男同士なんて変!って思うかもしれない。僕もそう思う。けど、好きになったものはしょうがないんじゃないかな。
僕がたまたま母親に似て背が低いのと同じように、たまたま春くんが男で、たまたま春くんを好きになっちゃったんだから。
終
ーーーーー
最後長くなっちゃってすいません。
これにて(一応)完結です。
なんだこの終わり方・・・って思いますよね、同感です。でも、なんか訳わかんなくなっちゃって。
番外編にて、春くんと湊のイチャイチャ、マナとカズちゃんのその後等を進めるつもりでいます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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