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捨てられました。
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「ちょっと、離してよ! ちゃんとついていくから」
「その手を食うか」
「今まで俺たちを騙しやがって。結界なんてないんだろ?」
「いいからおとなしくしろ!」
騎士たちはあたしを無理矢理引きずってずんずんと歩いていく。離してくれればちゃんと自分の足で歩くって言ってるのに、わざとちゃんと歩けないようにずるずると引きずっているんだ。
乱暴だし下品だし意地悪だし、とても「騎士」のやることとは思えないけど……あのリーベル殿下の部下だと思えば納得。
近衛の中でも落ちこぼれの人たちなのかもしれないね。なんかコンプレックスの塊で威張り散らすチャンスに飢えてる感じするから。
彼らはあたしを粗末な馬車に押し込めると目隠しをした。乗せられるときにちらっと見た限りでは、外から丸見えの囚人護送馬車ではなく、紋章もないただの箱型の馬車。
彼らも人に見られて困ることをしているという自覚はあるみたい。
ものすごく揺れる道をゴトゴト走って、あまりの気持ち悪さに眠ってしまった。
「おい、降りろ!」
どのくらいの時間が経っただろう?
喉がカラカラだし、お腹がすきすぎて目が回りそう。
ガタピシとひどく揺れる馬車が止まったかと思うと、目隠しのまま乱暴に引きずり出された。
何も見えないから足を踏み外してそのままべちゃっと転んじゃったのに、誰も手を貸そうともしない。
幸いなことに手は縛られてないので立ち上がって、自分で目隠しを外したけど何も言われなかった。
「きゃぁっ!」
転んですりむいたところをさすっていると、無言で強く蹴り飛ばされた。
道端のヤブに突っ込んだせいで、小枝がささったり引っかかったりしてあちこち傷だらけ。
女の子にこんなことするなんて……騎士の仮装をしているチンピラみたい。さすがは聖女の仮装をしている娼婦の手下だけあるわね。
「いたたたた……何するのよ……」
あたしが茂みから身を起こし、文句を言おうとしたら、馬車はすさまじい勢いで走り去るところだった。
「あ~あ。置いてかれちゃった。ここ、どこだろう?」
辺りを見回すと深い森。ここはいったいどこだろう?
生えてる樹々や草の種類から考えて、国境付近の森だろうか?
だとすると、あたしは丸一日以上眠ってたことになる。
「それにしても真っ暗ね」
うっそうとした森の中には光も差し込まず、深い闇に包まれている。今が昼だか夜だかもわからない。どうしようと困っていると、目の前にふよふよと無数の小さな光が飛んできた。
「わぁ、綺麗」
誘うように飛ぶ光を追って木々の間を歩いていくと、いきなり森が途切れて急な斜面を下りていく古びた石段の上に出た。
光たちはいざなうようにあたしの前を行ったり来たり。
「……どうせ、行くところなんてないんだもの。あなたたちについていくわ」
そっと話しかけると、光たちはあたしの足元を照らすようにふわふわと集まってくる。
よし行くぞ。この下には何が待ってるんだろう?
「その手を食うか」
「今まで俺たちを騙しやがって。結界なんてないんだろ?」
「いいからおとなしくしろ!」
騎士たちはあたしを無理矢理引きずってずんずんと歩いていく。離してくれればちゃんと自分の足で歩くって言ってるのに、わざとちゃんと歩けないようにずるずると引きずっているんだ。
乱暴だし下品だし意地悪だし、とても「騎士」のやることとは思えないけど……あのリーベル殿下の部下だと思えば納得。
近衛の中でも落ちこぼれの人たちなのかもしれないね。なんかコンプレックスの塊で威張り散らすチャンスに飢えてる感じするから。
彼らはあたしを粗末な馬車に押し込めると目隠しをした。乗せられるときにちらっと見た限りでは、外から丸見えの囚人護送馬車ではなく、紋章もないただの箱型の馬車。
彼らも人に見られて困ることをしているという自覚はあるみたい。
ものすごく揺れる道をゴトゴト走って、あまりの気持ち悪さに眠ってしまった。
「おい、降りろ!」
どのくらいの時間が経っただろう?
喉がカラカラだし、お腹がすきすぎて目が回りそう。
ガタピシとひどく揺れる馬車が止まったかと思うと、目隠しのまま乱暴に引きずり出された。
何も見えないから足を踏み外してそのままべちゃっと転んじゃったのに、誰も手を貸そうともしない。
幸いなことに手は縛られてないので立ち上がって、自分で目隠しを外したけど何も言われなかった。
「きゃぁっ!」
転んですりむいたところをさすっていると、無言で強く蹴り飛ばされた。
道端のヤブに突っ込んだせいで、小枝がささったり引っかかったりしてあちこち傷だらけ。
女の子にこんなことするなんて……騎士の仮装をしているチンピラみたい。さすがは聖女の仮装をしている娼婦の手下だけあるわね。
「いたたたた……何するのよ……」
あたしが茂みから身を起こし、文句を言おうとしたら、馬車はすさまじい勢いで走り去るところだった。
「あ~あ。置いてかれちゃった。ここ、どこだろう?」
辺りを見回すと深い森。ここはいったいどこだろう?
生えてる樹々や草の種類から考えて、国境付近の森だろうか?
だとすると、あたしは丸一日以上眠ってたことになる。
「それにしても真っ暗ね」
うっそうとした森の中には光も差し込まず、深い闇に包まれている。今が昼だか夜だかもわからない。どうしようと困っていると、目の前にふよふよと無数の小さな光が飛んできた。
「わぁ、綺麗」
誘うように飛ぶ光を追って木々の間を歩いていくと、いきなり森が途切れて急な斜面を下りていく古びた石段の上に出た。
光たちはいざなうようにあたしの前を行ったり来たり。
「……どうせ、行くところなんてないんだもの。あなたたちについていくわ」
そっと話しかけると、光たちはあたしの足元を照らすようにふわふわと集まってくる。
よし行くぞ。この下には何が待ってるんだろう?
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