悪の王妃

桜木弥生

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悪の王妃20

王妃が落ちて数分。
谷底から一際強い風が舞い上がった。

王妃を抱きかかえるようにして舞い上がる風は意思を持ったかのように佇む国王の前まで王妃を運ぶ。

「アルティメルダ!!!」

国王が手を伸ばして妃を抱きとめると、それまで強かった風はぴたりと止んだ。

「…王妃は無罪だったんだ…」

誰かが言った。
裁きの谷が、王妃は無罪だと告げたのだ、と。

けれど、国王の腕の中の王妃はぴくりとも動かず、谷の冷気で冷たくなり力のない身体を夫の腕に預けたまま起き上がる事はなかった。
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