22 / 29
1年生・春
第22話 早弁は令嬢のたしなみ
しおりを挟む
どの世界でも授業というものは退屈だ。我らDクラスは問題児ばかり集めたクラスなので、なおのこと座学が多い。
やれこの歴史だの、英雄だの、魔法の基礎だの、やってることは地球にいたときと変わらない。
で、今やってるのはこの世界の神話の話。
神話なんて嘘かほんとかも分からないもの勉強してどうすれば良いんだよ、と私は内心毒を吐く。
「おい、堂々と早弁するんじゃねぇよ」
机の下に隠して弁当を食べていた私を、ゼノが小声で諫める。
「へーきへーき、あ、ゼノ今日の弁当もデリシャスだよ」
「そ、そうか? いや、そうじゃなくて……どうせ後で腹減るんだから少しは我慢しろよ」
「そこ、うるさいですよ! 」
もー! ゼノのせいでバレたじゃん!
先生の指摘を合図に皆の視線が一斉にこちらを向く。
「またユノ=ルーンベルグ、貴女ですか……。ちゃんと話を聞いていたか確認しますよ? この宇宙を作ったとされる神の名前は? 」
「えーっと、ね、ゼノ何だっけ? 」
あれ? 何だかゼノの様子がおかしい。額に玉のような汗を張り付け、珍しく緊張しているように見える。
仕方なく私は教科書をめくり、目的の記述を探し始めた。
「あ、真理の巨神です! 」
そのページには雲を突き破るようほど大きい巨人の姿が描かれていた。
「はい正解。私たちは、真理の巨神に祈りを捧げることで魔法を扱うことが出来るのですね、これは生まれつき皆が無意識に行っていることなのですよ」
教師は安堵の表情を浮かべ、すぐに授業を再開した。
あぶね~、上手く見つけられて良かった。
それにしても、真理の巨神か、こいつが一番強いのかな? 神話の存在だろうけどぜひ一度戦ってみたい気持ちが抑えられない。
「そーいえばこの、真理の巨神とゼノって名前似てるね」
ふと気が付いたことを口に出す。
「そうか? たまたまだろ」
「ふーん」
ま、どうでも良いけど。私は再び早弁を始めんと教科書を立てて、教師から見えぬように死角を作りだす。
「それで、たまに魔力を持たず、魔法がまったく使えない者が生まれます。こういう人間は滅びの凶星と呼ばれ、、真理の巨神の祝福を受けない者として迫害の対象になっています」
ん? 魔法が使えない?
……私のことじゃん。
「滅びの凶星が現れると世界は滅亡するという言い伝えがありますね、まぁあくまでも伝説ですがね」
せんせーい!! ここに滅びの凶星いますよ!!
と言いたくなる気持ちを抑えて私はお弁当をかきこんだ。
まぁ魔法なんて使えなくても困らないし、滅びの凶星って呼び名もけっこーカッコいいし別に良いんじゃない? と考えちゃうポジティブな私。
しかし、ちらりと横のゼノを見ると、何故だか怖がっているように見えた。
「どったのゼノ? 気分でも悪いの? 」
「……いや何でもない」
えー、何でもないように見えないんだけど。本人がそう言うなら仕方ないか。
「はいそれで宇宙を創り出した真理の巨神は次に無数の世界を創り出しました。この内の一つが私たちが住むこの世界なんですね……」
授業はまだまだ続いている。
ふわぁ、お腹いっぱいになったら眠くなってきた。私は春の陽気に包まれて、ゆっくりと眠りへと落ちていった。
やれこの歴史だの、英雄だの、魔法の基礎だの、やってることは地球にいたときと変わらない。
で、今やってるのはこの世界の神話の話。
神話なんて嘘かほんとかも分からないもの勉強してどうすれば良いんだよ、と私は内心毒を吐く。
「おい、堂々と早弁するんじゃねぇよ」
机の下に隠して弁当を食べていた私を、ゼノが小声で諫める。
「へーきへーき、あ、ゼノ今日の弁当もデリシャスだよ」
「そ、そうか? いや、そうじゃなくて……どうせ後で腹減るんだから少しは我慢しろよ」
「そこ、うるさいですよ! 」
もー! ゼノのせいでバレたじゃん!
先生の指摘を合図に皆の視線が一斉にこちらを向く。
「またユノ=ルーンベルグ、貴女ですか……。ちゃんと話を聞いていたか確認しますよ? この宇宙を作ったとされる神の名前は? 」
「えーっと、ね、ゼノ何だっけ? 」
あれ? 何だかゼノの様子がおかしい。額に玉のような汗を張り付け、珍しく緊張しているように見える。
仕方なく私は教科書をめくり、目的の記述を探し始めた。
「あ、真理の巨神です! 」
そのページには雲を突き破るようほど大きい巨人の姿が描かれていた。
「はい正解。私たちは、真理の巨神に祈りを捧げることで魔法を扱うことが出来るのですね、これは生まれつき皆が無意識に行っていることなのですよ」
教師は安堵の表情を浮かべ、すぐに授業を再開した。
あぶね~、上手く見つけられて良かった。
それにしても、真理の巨神か、こいつが一番強いのかな? 神話の存在だろうけどぜひ一度戦ってみたい気持ちが抑えられない。
「そーいえばこの、真理の巨神とゼノって名前似てるね」
ふと気が付いたことを口に出す。
「そうか? たまたまだろ」
「ふーん」
ま、どうでも良いけど。私は再び早弁を始めんと教科書を立てて、教師から見えぬように死角を作りだす。
「それで、たまに魔力を持たず、魔法がまったく使えない者が生まれます。こういう人間は滅びの凶星と呼ばれ、、真理の巨神の祝福を受けない者として迫害の対象になっています」
ん? 魔法が使えない?
……私のことじゃん。
「滅びの凶星が現れると世界は滅亡するという言い伝えがありますね、まぁあくまでも伝説ですがね」
せんせーい!! ここに滅びの凶星いますよ!!
と言いたくなる気持ちを抑えて私はお弁当をかきこんだ。
まぁ魔法なんて使えなくても困らないし、滅びの凶星って呼び名もけっこーカッコいいし別に良いんじゃない? と考えちゃうポジティブな私。
しかし、ちらりと横のゼノを見ると、何故だか怖がっているように見えた。
「どったのゼノ? 気分でも悪いの? 」
「……いや何でもない」
えー、何でもないように見えないんだけど。本人がそう言うなら仕方ないか。
「はいそれで宇宙を創り出した真理の巨神は次に無数の世界を創り出しました。この内の一つが私たちが住むこの世界なんですね……」
授業はまだまだ続いている。
ふわぁ、お腹いっぱいになったら眠くなってきた。私は春の陽気に包まれて、ゆっくりと眠りへと落ちていった。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
悪役令嬢まさかの『家出』
にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。
一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。
ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。
帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる