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第19話 竜族の力
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サクヤに案内されるがまま、裏路地を進んでいく俺たち。どんどん人気はなくなり、生ゴミの臭いが鼻につく。
路地裏にはあまり良い思い出がないので少しだけ心臓の鼓動が早くなるのが分かった。
俺のカバンを奪おうとしたあいつら、また鉢合わせしたらどう対処しよう。
「どしたん? 旦那、顔色が悪いね」
サクヤがぴょこっと俺の顔を覗き込む。
「いや、何でもないよ」
「あ、まさかうちが変なとこに連れてくんじゃないかと思っとる? そんなことせんから安心してや」
ガハハハと豪快に笑うサクヤ。可憐な見た目に反して、意外と中身はおっさんっぽいようだ。
そのとき、正面から誰かが歩いてくるのが見えた。
数人の男たち……嫌な予感だ。
その先頭を歩いていた筋肉隆々な男、見覚えがある。あいつだ。
俺は高鳴る心臓を無理矢理押さえ付け、なるべく顔を伏せてバレないように端に寄る。そして目立ってしまうカバンを彼らの目に届かないように上手く隠した。
「んだよ、馬鹿だなー」
「しゃあねえじゃないですか」
男たちはべちゃくちゃと他愛もない会話をしていて、俺には気が付いていないようだ。
しかし前を歩くサクヤに目を奪われた男たちはヒソヒソと何か話し合うと、にこやかな笑みを張り付けてこちらに寄ってきた。
「お、良い女じゃねーか」
「そりゃどうもー」
絡まれたサクヤはめんどくさそうにあしらっている。
「つれねえな。一緒に飲まねえか姉ちゃん? 」
「間に合ってます。今は商売の最中なんや、邪魔せんといて」
「商売? 」
怪訝そうな顔をした男の一人が、じろりと俺に視線を移した。
「お前……」
まずい、気が付かれたか……?
冷や汗が垂れてくるのが分かる。俺は顔をあげることが出来なかった。
「どうした? 」
リーダーらしき男が問いかける。
「いや、こいつどこかで……」
思わずカカバンを握り締めて隠す俺。しかし次の瞬間、俺は胸ぐらを掴まれていた。
「どっかで見たことあるなぁ、お前」
「……き、気のせいじゃないですか? 」
「いんや、気のせいじゃない」
胸ぐらを掴む力が強くなっていく。
「お前、あのときの魔導師だろ」
次の瞬間、俺は頬に強い力を受けたかと思うと、勢い良く吹き飛ばされていた。
「旦那! 大丈夫かい? 」
サクヤが慌てて俺に駆け寄る。
「どきな姉ちゃん、そいつにはこの前こてんぱんにやられたんだ。礼ってやつをしなくちゃな」
「何を言うてるの。そんな大人数でよってたかって……」
サクヤが眉を釣り上げて怒るが、男たちはニヤニヤと笑いながら近づいていく。
「サクヤさん……シエルを連れて逃げて」
「そんなことしたら殺されてしまうわ」
大丈夫、おそらくまた魔結晶を使えば撃退出来るはずだ。そのとき俺たちの間に小さな影が割り込んだ。
「シエル? 駄目だ、逃げろ!」
「私はこういう人たちからヨリを守れば良いんですね? 」
「何だい、このお嬢ちゃんは。ふむ……確かに大層な美形だな。お嬢ちゃん、怪我したくないなら……」
リーダーがシエルに話しかけている途中、シエルの拳が彼の鳩尾にめり込んでいた。
ゴボと胃液を吐いて悶絶するリーダー。
そしてそのまま、気絶したのか動かなくなってしまった。
「て、てめえ……!! 」
慌てた手下たちがシエルに襲いかかるも、難なく彼らをいなすシエル。
それはまるでワルツを踊っているかのような身軽さで彼らの攻撃を避け、そして的確に急所に攻撃を入れていく。
彼ら全員を黙らせるのにそう時間はかからなかった。
「まだ息があるようですね」
しかしシエルは息の根を止めようと、ゆっくりと倒れこむ彼らに近づいていく。
「シエルもう良い、そのぐらいで大丈夫だ! 」
俺は後ろからシエルを羽交い締めにすると、必死に懇願した。シエル、もう良い。そのぐらいで良いから。と止め続ける。
「……そうですか? 」
シエルはあっさり身を引くと、何ともなかったかのように彼らに背を向けた。
これが最強の竜族。
俺は思わず身震いをした。大の大人をあっという間に蹴散らすことが出来るその力、そして息の根を止めようと動く残酷さ。
俺はとんでもないものと出会ってしまったのかもしれない。
路地裏にはあまり良い思い出がないので少しだけ心臓の鼓動が早くなるのが分かった。
俺のカバンを奪おうとしたあいつら、また鉢合わせしたらどう対処しよう。
「どしたん? 旦那、顔色が悪いね」
サクヤがぴょこっと俺の顔を覗き込む。
「いや、何でもないよ」
「あ、まさかうちが変なとこに連れてくんじゃないかと思っとる? そんなことせんから安心してや」
ガハハハと豪快に笑うサクヤ。可憐な見た目に反して、意外と中身はおっさんっぽいようだ。
そのとき、正面から誰かが歩いてくるのが見えた。
数人の男たち……嫌な予感だ。
その先頭を歩いていた筋肉隆々な男、見覚えがある。あいつだ。
俺は高鳴る心臓を無理矢理押さえ付け、なるべく顔を伏せてバレないように端に寄る。そして目立ってしまうカバンを彼らの目に届かないように上手く隠した。
「んだよ、馬鹿だなー」
「しゃあねえじゃないですか」
男たちはべちゃくちゃと他愛もない会話をしていて、俺には気が付いていないようだ。
しかし前を歩くサクヤに目を奪われた男たちはヒソヒソと何か話し合うと、にこやかな笑みを張り付けてこちらに寄ってきた。
「お、良い女じゃねーか」
「そりゃどうもー」
絡まれたサクヤはめんどくさそうにあしらっている。
「つれねえな。一緒に飲まねえか姉ちゃん? 」
「間に合ってます。今は商売の最中なんや、邪魔せんといて」
「商売? 」
怪訝そうな顔をした男の一人が、じろりと俺に視線を移した。
「お前……」
まずい、気が付かれたか……?
冷や汗が垂れてくるのが分かる。俺は顔をあげることが出来なかった。
「どうした? 」
リーダーらしき男が問いかける。
「いや、こいつどこかで……」
思わずカカバンを握り締めて隠す俺。しかし次の瞬間、俺は胸ぐらを掴まれていた。
「どっかで見たことあるなぁ、お前」
「……き、気のせいじゃないですか? 」
「いんや、気のせいじゃない」
胸ぐらを掴む力が強くなっていく。
「お前、あのときの魔導師だろ」
次の瞬間、俺は頬に強い力を受けたかと思うと、勢い良く吹き飛ばされていた。
「旦那! 大丈夫かい? 」
サクヤが慌てて俺に駆け寄る。
「どきな姉ちゃん、そいつにはこの前こてんぱんにやられたんだ。礼ってやつをしなくちゃな」
「何を言うてるの。そんな大人数でよってたかって……」
サクヤが眉を釣り上げて怒るが、男たちはニヤニヤと笑いながら近づいていく。
「サクヤさん……シエルを連れて逃げて」
「そんなことしたら殺されてしまうわ」
大丈夫、おそらくまた魔結晶を使えば撃退出来るはずだ。そのとき俺たちの間に小さな影が割り込んだ。
「シエル? 駄目だ、逃げろ!」
「私はこういう人たちからヨリを守れば良いんですね? 」
「何だい、このお嬢ちゃんは。ふむ……確かに大層な美形だな。お嬢ちゃん、怪我したくないなら……」
リーダーがシエルに話しかけている途中、シエルの拳が彼の鳩尾にめり込んでいた。
ゴボと胃液を吐いて悶絶するリーダー。
そしてそのまま、気絶したのか動かなくなってしまった。
「て、てめえ……!! 」
慌てた手下たちがシエルに襲いかかるも、難なく彼らをいなすシエル。
それはまるでワルツを踊っているかのような身軽さで彼らの攻撃を避け、そして的確に急所に攻撃を入れていく。
彼ら全員を黙らせるのにそう時間はかからなかった。
「まだ息があるようですね」
しかしシエルは息の根を止めようと、ゆっくりと倒れこむ彼らに近づいていく。
「シエルもう良い、そのぐらいで大丈夫だ! 」
俺は後ろからシエルを羽交い締めにすると、必死に懇願した。シエル、もう良い。そのぐらいで良いから。と止め続ける。
「……そうですか? 」
シエルはあっさり身を引くと、何ともなかったかのように彼らに背を向けた。
これが最強の竜族。
俺は思わず身震いをした。大の大人をあっという間に蹴散らすことが出来るその力、そして息の根を止めようと動く残酷さ。
俺はとんでもないものと出会ってしまったのかもしれない。
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