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第27話 謎の虫刺され
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「おはようございます、アステル様」
珍しく遅く起きてきたアステルに私は声をかける。
「あ、お、お、おはよう」
「ん? どうかしましたか」
真っ直ぐ私の顔を見ないアステル。いやに顔が赤い。
「えっと……その、ステラ……」
何かを言いたげにもごもごと口を動かすアステル。しかし特に言葉を発するわけではない。
「はい? 」
そして私は彼の首筋にある赤いアザのようなものに気がついた。
「あら、アステル様。首のところに虫刺されが……」
「え!? いやこれは……」
アステルは慌てて手でそのアザを隠す。
「それに顔も真っ赤ですし……もしかして私の風邪がうつってしまいましたか……? 」
まあ私のは風邪ではないのだけれど。それでも私が家事を放棄している間に体調を崩してしまっていてもおかしくない。
「……何にも覚えてないのか」
「え? 」
「いや覚えてないならそれで良い……。今日の朝ごはんは? 」
ああ、今日はお魚を焼きましたよ、と答える私。
しかしアステルの言葉が気がかりだ。……覚えていない? 私は何かを忘れているのだろうか……?
「ああ!! 」
思わず声をあげる。
「な、なんだ? 」
その声に驚いたアステルが思わずフォークを手から落とした。
「もしかして私、アステル様を食べようとしました!? すすすすすいません。お怪我はありませんか? 」
見た感じアステルは怪我をしてはいなそうだ。特に血の臭いもしない。
済んでのとこで止められたのかもしれない。
「食べよう……というか食べられたんだが」
「え? 」
「い、いや何でもない。気にするな。それに何もなかったぞ」
あれ、さっきと言ってたことが違いますけど……。
でも彼がそう言うならそうなのだろう。
でもアステルを食べようとしたことはどうやら事実らしいので今後は対策を練らなければなるまい。
まさか主を食べてしまう奴隷なんて千回首吊りに処されるレベルの大罪人だ。
「それなら良かったです……でもなぜアステル様、私の目を見ないのですか? 」
「いや……これはその……」
変なアステル。
そのとき、ガバッとアステルに抱き着く影があった。
「よー、アステル。遊びに来てやったぞ」
「おじさん! 」
声の主は勿論ヴァイス。戸締まりはしているはずなのにどこからともなく入ってくるなこの人は……。
「おじさんは止めろって言ってるだろ……て、アステルお前、その首のは……」
アステルははっとした表情で首元を隠す。
「ああ、虫刺されらしいですよ。そろそろ暖かくなってきましたしね」
「虫刺され……ねえ」
ニヤニヤと笑みを浮かべるヴァイス。
「なんですか気持ち悪い顔して……」
「気持ち悪いは余計だろ犬っころ! 」
「朝から大きな声出さないで下さい! 」
まあそんなことは良いんだ、とヴァイスは咳払いを一つ。
「ステラ、いったいどこの雌犬に主を噛まれたんだ? ちゃんと見ておけよ」
「雌犬……? 噛まれた……? 」
意味が分からなくて頭をかしげる。
虫は雌かもしれないけど、犬ではないだろ……と心のなかでツッコむ。
「ま、良いよ。面白くなってきたじゃないか。なあアステル? 」
「知りません!!! 」
顔を真っ赤にしたアステルの絶叫が屋敷中に響き渡った
珍しく遅く起きてきたアステルに私は声をかける。
「あ、お、お、おはよう」
「ん? どうかしましたか」
真っ直ぐ私の顔を見ないアステル。いやに顔が赤い。
「えっと……その、ステラ……」
何かを言いたげにもごもごと口を動かすアステル。しかし特に言葉を発するわけではない。
「はい? 」
そして私は彼の首筋にある赤いアザのようなものに気がついた。
「あら、アステル様。首のところに虫刺されが……」
「え!? いやこれは……」
アステルは慌てて手でそのアザを隠す。
「それに顔も真っ赤ですし……もしかして私の風邪がうつってしまいましたか……? 」
まあ私のは風邪ではないのだけれど。それでも私が家事を放棄している間に体調を崩してしまっていてもおかしくない。
「……何にも覚えてないのか」
「え? 」
「いや覚えてないならそれで良い……。今日の朝ごはんは? 」
ああ、今日はお魚を焼きましたよ、と答える私。
しかしアステルの言葉が気がかりだ。……覚えていない? 私は何かを忘れているのだろうか……?
「ああ!! 」
思わず声をあげる。
「な、なんだ? 」
その声に驚いたアステルが思わずフォークを手から落とした。
「もしかして私、アステル様を食べようとしました!? すすすすすいません。お怪我はありませんか? 」
見た感じアステルは怪我をしてはいなそうだ。特に血の臭いもしない。
済んでのとこで止められたのかもしれない。
「食べよう……というか食べられたんだが」
「え? 」
「い、いや何でもない。気にするな。それに何もなかったぞ」
あれ、さっきと言ってたことが違いますけど……。
でも彼がそう言うならそうなのだろう。
でもアステルを食べようとしたことはどうやら事実らしいので今後は対策を練らなければなるまい。
まさか主を食べてしまう奴隷なんて千回首吊りに処されるレベルの大罪人だ。
「それなら良かったです……でもなぜアステル様、私の目を見ないのですか? 」
「いや……これはその……」
変なアステル。
そのとき、ガバッとアステルに抱き着く影があった。
「よー、アステル。遊びに来てやったぞ」
「おじさん! 」
声の主は勿論ヴァイス。戸締まりはしているはずなのにどこからともなく入ってくるなこの人は……。
「おじさんは止めろって言ってるだろ……て、アステルお前、その首のは……」
アステルははっとした表情で首元を隠す。
「ああ、虫刺されらしいですよ。そろそろ暖かくなってきましたしね」
「虫刺され……ねえ」
ニヤニヤと笑みを浮かべるヴァイス。
「なんですか気持ち悪い顔して……」
「気持ち悪いは余計だろ犬っころ! 」
「朝から大きな声出さないで下さい! 」
まあそんなことは良いんだ、とヴァイスは咳払いを一つ。
「ステラ、いったいどこの雌犬に主を噛まれたんだ? ちゃんと見ておけよ」
「雌犬……? 噛まれた……? 」
意味が分からなくて頭をかしげる。
虫は雌かもしれないけど、犬ではないだろ……と心のなかでツッコむ。
「ま、良いよ。面白くなってきたじゃないか。なあアステル? 」
「知りません!!! 」
顔を真っ赤にしたアステルの絶叫が屋敷中に響き渡った
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