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寿司

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悪役令嬢、証拠を得る

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 しばらく大人しくしていると、何やら会話が聞こえてきた。

「……それでこのビンをお姉様のタンスに入れとけば良いのね」

「ああそうだ。それでエミリアの食事にも一滴毒を足らす。これでイリアが君の毒殺を企てたように見せることが出来るだろう」

「毒なんて……私怖いわ」

「大丈夫。ほんの1滴ぐらいなら少し舌が痺れるぐらいだ。これも僕たちが結ばれるためだ、分かって欲しい」

「もちろん分かってるわ。貴方のためなら私、何だって捧げます」

 えええええ、まさか私を毒殺犯に仕立てあげようとしてるの!?

 そこでふと思い出す。

 そうだ。確かゲームでは嫉妬に狂ったイリアは、エミリアの食事に毒を入れる。しかしそれがバレて断罪イベントのときに追求されてしまうのだ。

 ただ私は何もしてない!!

 なるほど、ゲームの筋書き通り物語を進めるためにこういったイレギュラーなことが起こるんだな……。
 神様はどうしても私に死んで欲しいらしい。

「やけに静かになったな……」

 ロキがヒソヒソ声で言う。
 私は頷いた。もしかして目的を果たした彼らは帰っていったのだろうか? 

 しかしそれは直ぐに間違いだったと気が付いた。

 ベッドに僅かな衝撃、そして段々と大きくなる男女の甘い声。

 嘘でしょ!? この人たち私のベッドで何始めてくれるの!?

 ギシギシと軋むベッド、これはもう間違いない。私のベッドの上で彼らは今……。

「お前は聞かなくて良い」

 ロキが私の耳を塞ぎ、強く抱き締めてくれた。

 彼なりに気を使ってくれているのだろう、私は素直に彼に身を任せていた。
 意外と彼は体温が高い。少し、眠くなってきた。

 どのぐらい時間が経ったのかは分からないが、ずっと長い間私たちはそうしていた。

◇◇◇

 人の声も気配もなくなった頃、私たちはもぞもぞとベッドの下から這い出した。

 うん、二人はもういない。

 這い出すや否やロキが流石に困惑したようにこう言う。

「スゲーなあいつら。姉のベッドの上で……」

「あら、婚約者のベッドでもあるわよ。うわ……どうしよう。私もうこのベッド使えないよ…… 」

「床で寝るしかないな」

「だよね……」

 私ははぁとため息を吐いた。
 床で寝るって結構体が痛くなるんだよなぁ。

 大学生だったあの頃を思い出す。テスト前の追い込みで熟睡しないように床で寝たっけ。

「心配すんな。あと少しでもっと良いベッドが手に入るから」

 まったく、何を根拠に言ってるのだろうかこの男は……。
 しかしやけに自信ありげなロキは何かを企んでいるようだった。

「そうだと良いわね。で、証拠は……? 」

 ロキがぱちんと指をならすと今度はトンボのような姿をした使い魔が現れた。そしてその目から映像が映し出される。

『……あっ、エミリア……』

『エドワード……様』

『……愛してる』

『私もです……あっ、あん』

 ーー2人の情事の様子がばっちりだ。

「後、毒殺云々の会話も録音しといた」

 ピースサインをするロキ。
 私なんてパニックになっちゃって何にも出来なかったのに……。頭が上がらない。

「もしロキがいなかったら私、毒殺犯に仕立てあげられてたのね……本当にありがとう」

「礼は全てが終わってから言うんだな」

 照れ臭いのか、彼がそっぽを向く。しかし私は彼の手を握って言った。

「で、でも。ここまでして貰ったんだし何かお礼をしなくちゃ。何が良い? 欲しいものとかないの?」

「欲しいものね……」

「何でも良いわよ! 」

「ま、ゆっくり考えとくよ」

「そう……」

 ロキは一体何が欲しいのだろう?
 願わくば私が何とか出来るような代物であって欲しいなと思う。

 ゲーム中でもほとんど彼のプライベートのエピソードはほとんど出てこないので好きなものなんてなお、分からない。
 それでも人気キャラクターになるのが彼の凄いところなのだ。

「でもこれで証拠はバッチリね! 後は1/1を待つだけだわ」

「そうだな。で、この毒ビンどうする? 」

 ロキが私のタンスの中からビンを取り出した。あ、これがエミリアたちが仕掛けた例の物なのね……。

 光の下でかざすと、紫色の液体が入っていて、いかにも毒といった様子だ。

「どーもこーもしないわ。そのまま戻しときましょう」

「良いのか? このままだとお前は間違いなく犯人扱いだが……」

 良いのよ、と私はロキに言った。
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