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偽りの愛
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軍事産業メーカーSSBRの専務ケネス・ブルックがゲレーテ・ヘンラインと個室の創作料理の店に入っていく。「変わったお店ね」馴染みのない雰囲気に戸惑うゲレーテをケネスは優しくエスコートした。「ここは日本料理店だよ。創作料理で毎月メニューが変わっていくんだ。季節ごとに料理が変わるのが楽しみでね」奥から支配人がやって来てケネス・ブルックを見るなり大喜びで挨拶をした。
支配人「おお、これはこれはブルックさん。お隣にステキな女性をお連れになって来てくださったんですね。どうぞ、奥へ」取引先の重役と商談をするときによくケネス・ブルックはこの店を利用していた。個室の中はアジアンテイストな家具が置かれ、まるで異国の地に遊びに来たような雰囲気が味わえる。
「お寿司を食べたことはあるかい?」「いいえ、私はないわ。食べる機会がなかったの・・・いえ、ウソをついたわ。どうしても見た目と生ものっていうのが私にとって勇気をもって一歩踏み出せない原因になっているようだわ」彼女がお寿司の話題になると急に焦りはじめて言い訳を並べているのが可愛く見えた。ケネス・ブルックはそんな彼女を微笑みながら「じゃあ食べてみようか」と言ってマグロに醤油につけ、お箸で摘まんで彼女の口元にマグロのお寿司を運んだ。
「ええっと、それは・・・美味しい」戸惑いながら初めて食べたお寿司にゲレーテ・ヘンラインは感動した。「こんなに美味しいとは思わなかったわ」大喜びでまるで子供のようにはしゃぐ彼女が愛おしいと思うほどケネス・ブルックは彼女に夢中になっていた。
ふたりは日本料理を堪能し熱燗を飲み、お酒の酔いがまわってきたころには寄り添うように重なりあっていた。彼女の髪はとてもイイ香りがしている。気づけばケネス・ブルックは彼女の頭を撫でながら顔を密着させお互いの温もりを感じているのだった。火照った体はお酒だけの影響ではないようだ。お互いに惹かれ合い、見つめ合い、愛を語り合う。ピピッ、彼女のスマートフォンが鳴った。ショートメッセージを受け取ったようだ。「あら、ヤダ。上司から、ちょっと待ってて」彼女は急いでトイレに行き、電話を掛けて誰かと話をしている。「ええ、大丈夫。バレてないわ」ゲレーテ・ヘンラインは化粧を直して、ケネス・ブルックが待つ個室に戻ってくると何事もなかったかのように振る舞っていた。ケネス・ブルックは彼女の不審な動きにまったく気づいていなかった。
「もう帰るのかい?」ケネス・ブルックは彼女を引き留めるのに必死だった。彼女もまんざらではない様子で何か含みを見せている。お店を出るとすっかり夜は肌寒くなっていた。「ちょっと寒いわ」ゲレーテ・ヘンラインがそういうとケネス・ブルックは「送るよ」と言って路上に止めていた車のドアのロックを開けた。車を自動運転させ店の前に用意していたようだ。高級外車が都会の街に映える。
この後、ふたりはホテルへ直行した。ケネス・ブルックがシャワーを浴びてバスローブに着替えて浴室から出てくるとゲレーテ・ヘンラインは、横になった彼の上に馬乗りになって積極的に甘えはじめた。
手を取り合って見つめ合い、キスを交わす。まだお酒が残っている身体が火照って熱い。ふたりの体は何度も重なり合う。そして、そのまま次の日の朝を迎えた。
それから1ヶ月後、SSBRの専務ケネス・ブルックの秘書としてゲレーテ・ヘンラインが雇用されることとなった。時折、専務の部屋が地震のように揺れているときと喘ぎ声が響くことがあり、周りはそれを黙認している。
SSBRの施設に侵入していた火災報知器の形をしたドローンは5階から地下1階に場所を移動していた。地下1階の天井に張り付いたまま建物の構造を3Dスキャンしてイシドール・ラチエ博士がいるLaboratoryにデータを転送していく。ラチエ博士がパソコンを見ながら「よし、いいぞ。地下にはきっと『Angel Descent計画』に関する何か手掛かりがあるはずだ。あのドローンが見つかっていない限り、いくらでも情報は取れる」とかすかな希望を抱いていた。他の階には、それらしい情報は見つからなかったようだ。あれからずっと火災報知器の形をしたドローンがあちこちを偵察していた。
「おお!これは・・・思った以上の収穫だ。まさかSSBRがそんなものを作っていたとはな・・・・」
火災報知器の形をしたドローンが送ってきたSSBR地下1階の建物内部のスキャンデータには、大型のアンドロイドと思われる黒いシルエットが何体も映っていた。
支配人「おお、これはこれはブルックさん。お隣にステキな女性をお連れになって来てくださったんですね。どうぞ、奥へ」取引先の重役と商談をするときによくケネス・ブルックはこの店を利用していた。個室の中はアジアンテイストな家具が置かれ、まるで異国の地に遊びに来たような雰囲気が味わえる。
「お寿司を食べたことはあるかい?」「いいえ、私はないわ。食べる機会がなかったの・・・いえ、ウソをついたわ。どうしても見た目と生ものっていうのが私にとって勇気をもって一歩踏み出せない原因になっているようだわ」彼女がお寿司の話題になると急に焦りはじめて言い訳を並べているのが可愛く見えた。ケネス・ブルックはそんな彼女を微笑みながら「じゃあ食べてみようか」と言ってマグロに醤油につけ、お箸で摘まんで彼女の口元にマグロのお寿司を運んだ。
「ええっと、それは・・・美味しい」戸惑いながら初めて食べたお寿司にゲレーテ・ヘンラインは感動した。「こんなに美味しいとは思わなかったわ」大喜びでまるで子供のようにはしゃぐ彼女が愛おしいと思うほどケネス・ブルックは彼女に夢中になっていた。
ふたりは日本料理を堪能し熱燗を飲み、お酒の酔いがまわってきたころには寄り添うように重なりあっていた。彼女の髪はとてもイイ香りがしている。気づけばケネス・ブルックは彼女の頭を撫でながら顔を密着させお互いの温もりを感じているのだった。火照った体はお酒だけの影響ではないようだ。お互いに惹かれ合い、見つめ合い、愛を語り合う。ピピッ、彼女のスマートフォンが鳴った。ショートメッセージを受け取ったようだ。「あら、ヤダ。上司から、ちょっと待ってて」彼女は急いでトイレに行き、電話を掛けて誰かと話をしている。「ええ、大丈夫。バレてないわ」ゲレーテ・ヘンラインは化粧を直して、ケネス・ブルックが待つ個室に戻ってくると何事もなかったかのように振る舞っていた。ケネス・ブルックは彼女の不審な動きにまったく気づいていなかった。
「もう帰るのかい?」ケネス・ブルックは彼女を引き留めるのに必死だった。彼女もまんざらではない様子で何か含みを見せている。お店を出るとすっかり夜は肌寒くなっていた。「ちょっと寒いわ」ゲレーテ・ヘンラインがそういうとケネス・ブルックは「送るよ」と言って路上に止めていた車のドアのロックを開けた。車を自動運転させ店の前に用意していたようだ。高級外車が都会の街に映える。
この後、ふたりはホテルへ直行した。ケネス・ブルックがシャワーを浴びてバスローブに着替えて浴室から出てくるとゲレーテ・ヘンラインは、横になった彼の上に馬乗りになって積極的に甘えはじめた。
手を取り合って見つめ合い、キスを交わす。まだお酒が残っている身体が火照って熱い。ふたりの体は何度も重なり合う。そして、そのまま次の日の朝を迎えた。
それから1ヶ月後、SSBRの専務ケネス・ブルックの秘書としてゲレーテ・ヘンラインが雇用されることとなった。時折、専務の部屋が地震のように揺れているときと喘ぎ声が響くことがあり、周りはそれを黙認している。
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