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時間の巻き戻し2
しおりを挟む本によれば、物語の王子様が一時ヒロインのお姫様を忘れ、代わりに別の女性を好きになった。
原因は女性の使った“魅了の魔法”。絵本の世界では“転換の魔法”という言葉は最後まで出なかった。いや、存在すらしないのかもしれない。“魅了の魔法“自体もあまり一般的な魔法じゃない為に、当初ヒロインは別の女性と仲睦まじくする王子様に悲しんだ。
ある時、ヒロインは古い魔法書を発見した。
そこに書かれている魔法に僅かな希望を見出したヒロインは周囲の力を借りて無事発動。
その魔法が今回、シェリが“転換の魔法”解除に繋がるのではなと期待した魔法だった。
「その魔法はね、時間を巻き戻すというものらしいの」
「無理だよ」
「え」
寝ているミエーレの髪を撫でながら独り言のように話していたシェリの言葉を否定したのは、寝ていたはずのミエーレ。眠そうに碧眼をシェリに向けている。
「お、起きたの?」
「起きてた。シェリがおれの髪触り始めた辺りから」
「殆ど最初からじゃない……」
全く……と片手を額に当てて呆れれば、ミエーレは上体を起こして思い切り伸びをした。
「はあ……で? 時間の巻き戻しだっけ? 無理」
「あ。そう、どうして? 確かにとても難易度の高い魔法なのは覚悟してるわ。でも」
「まず。時間を巻き戻すには、王族クラスの魔力量を持つ者が10人必要。次に【聖女】の力が必要。最後に“時戻り水晶”っていう、とてつもなく希少な魔法石が必要。
【聖女】はいるにしても、王族クラスの魔力量10人分用意するのは無理、魔法石も採取場所が遥か北の果てだから今から探しに行っても何年かかるか」
「……」
つい、レーヴの転換された心を元に戻せると期待して、気持ちだけが逸ってしまった。恥ずかしくなって気まずげにミエーレの碧眼から目を逸らした。
「ま、シェリが食いつくのも分かるよ。時間の巻き戻しか……おれも使えるなら使いたいよ」
「ミエーレが? 時間を戻したいことでもあるの?」
「おれにだってあるよ」
「そう」
シェリは深く追及しなかった。
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