思い込み、勘違いも、程々に。

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強気な態度

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 上から発せられたリアン様の声に心の中で頷く。あくまで憶測だが、王女殿下は私がリアン様と一緒に昼食を摂るのを目撃していたのではないかと。リアン様の話から、彼を好いている王女殿下が食事を共にする女が好ましく映る訳がない。
 しどろもどろになりながら、言い訳をしようとするガルロ殿の肩を王太子殿下が掴んだ。嫌な音が聞こえるのは、相当力を込めているからで。「さて、行こう」と言う王太子殿下の声と同時にリアン様に抱き締められていた私も抱擁の力が緩められ、肩を抱かれながらこの場を離れた。

 王太子殿下が選んだのは生徒会室。授業開始の鐘が鳴り、誰もいない此処は今にとって打って付けの部屋。生徒会長の席に座った王太子殿下のすぐ目の前で正座をさせられたガルロ殿。私とリアン様は役員が使用する椅子を引っ張り出し、2人を眺められる位置に置いて腰を下ろした。
 微笑んではいるが、纏う雰囲気は明らかに怒りが漂っている。生まれたての子鹿並みに震えるガルロ殿の顔は青そのもの。


「では、まず君はリグレットにどう聞かされたの?」
「あ、あああの、それは」
「言われたことを言うだけでいいんだ。難しくはないだろう?」
「ぼ、ぼぼ、ぼくは、昼休み、食堂付近で泣いておられたリグレット様に“エーデルシュタイン家の姉がリアンと仲の良いわたくしの所へ来て、突然暴言を吐いてきた“……と仰られて……ぼ、ぼく、は、その女が腹違いの妹をずっと虐めていたのを知っていたから」
「はいストップ。イースター伯爵令息。フィオーレ嬢が異母妹であるエルミナ嬢を虐めているとは、どうして知っている?」
「父が小さい頃からずっと言っているんだ! “フィオーレはエルミナを虐めている! 姉上が知らないのは、陰でバレないようにしているからだ!” だって……」


 王太子殿下の青い瞳が私に向けられた。


「……と、彼はこう言っているようだが」
「ガルド殿の父はお義母様の弟トロントおじ様です。昔から、私のことが目障りなようなので……」
「ああ……大体の事情は知ってる。聞きたいがフィオーレ嬢がエルミナ嬢を虐げている主な内容をイースター伯爵令息は知っているのか?」
「勿論! 父に何度も聞かされましたから」


 得意げに過去に私がエルミナと姉妹喧嘩をした内容を大きな声で語り始めたガルロ殿。聞いていく内にリアン様が「……本物の馬鹿って初めて見た」と呟かれ、王太子殿下に至っては肩を震わせていた。小さな喧嘩といえど、他人が数人いる中で知られるのはちょっと恥ずかしい。エルミナにとっても恥ずかしい。エルミナとの姉妹喧嘩の殆どが私の物を欲しがるエルミナの欲求を私が嫌がるところから始まるから。そのどれもは、お義母様のお叱りが入って終わっていた。

 語り終えたガルロ殿は誇らしげに胸を張っているが次に放たれた王太子殿下の言葉に凍り付いた。


「そうか、そうか。妹に強請られたら何でも与えるのが姉か」
「そうです! 特にこの女の母親は伯爵令嬢でエルミナや僕は公爵家の血を引く。どちらが格上か誰が見ても一目瞭然なんです!」
「アルカンタル伯爵家は我が国トップの財力を誇る。前エーデルシュタイン伯爵夫人は、それはそれは生家で大事に育てられていた方だったと聞く。そうか、君はそんな女性が遺したフィオーレ嬢を貶めるのか。これはアルカンタル伯爵に報告しなくては」
「ふん。財力がトップでも爵位は父が上です。カンデラリア公爵の後ろ盾がイースター伯爵家に楯突けるなら、来るといいですよ」
「……言ったね? リアン、聞いたよな」
「聞いたよ」


 微笑みながら圧倒的威圧感を放つ王太子殿下の内心は読めないが、ある程度の予想はついた。そして、イースター伯爵家の方々に心の中で手を合わせた。






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