思い込み、勘違いも、程々に。

文字の大きさ
34 / 104

後のお楽しみ

 



 微笑みながら圧倒的威圧感を放つ王太子殿下の内心は読めないが、ある程度の予想はついた。そして、イースター伯爵家の方々に心の中で手を合わせた。

 席から離れた王太子殿下は正座するガルロ殿の肩に手を置いた。普通に置いてるように見えるが凝視すると指が制服に食い込んでいた。


「リグレットの出鱈目に真面目になって付き合ってくれる生徒がいておれは嬉しいよ」
「で、出鱈目?」
「さあ、もう戻っていいよ。後は上級生に任せなさい」
「出鱈目ってどういう」
「聞こえなかったかな? 戻っていいよと言ったんだ」
「は、はい」


 顔を覗き込まれ、吃りながら返事をしたガルロ殿は痺れている筈の足ですぐさま生徒会室を出て行った。絡んできた私に最後何もないまま。余程王太子殿下が怖かったのだろう。


「やれやれ。イースター伯爵夫人も大変だな。あそこは彼と弟と妹がいたな。名前はジルとリーリエだったかな……」
「合ってる」
「ありがとうリアン。イースター伯爵家に恩を売るのは悪くなさそうだ。アルカンタル伯爵家の重要性を分かっていない跡取りでは、イースター家の今後も危うくなる。フィオーレ嬢、家に帰ったら伯爵夫人にそれとなくイースター伯爵令息に絡まれた件を話しておいてくれ」
「怒るでしょうね……」


 先程名前の出たジル殿とリーリエ嬢はイースター伯爵夫人に似て常識のある方達だ。問題なのはガルロ殿。恐らく、容姿が自分に似ているからとトロントおじ様が甘やかした結果。偶にある親族会で同席するが問題行動しか目に映らない。

 トロントおじ様に感化されているので顔を合わせる度に絡んで来てはいたが、今回は王女殿下を泣かせた女を成敗する大義名分を掲げていたから強気な態度でいられたのだ。


「彼は授業を遅れた理由をおれに連れ込まれたから、と言うだろうな。リアンとフィオーレ嬢はそれでいいとして、向こうに関しては出鱈目もいいとこだと教師に後で話をしておこう」
「それでは王太子殿下の名を騙ったとされるのでは……」
「リグレットの出鱈目に付き合わされた君への罪滅ぼしだ。あと、そうなるとどうせ君のせいにされる。馬鹿の行動は読みやすくて助かる。リアン、カンデラリア公爵家で開かれる夜会までフィオーレ嬢についてやってくれ」


 え!?

 毎年、季節毎に大々的に開催されるカンデラリア公爵家での夜会には、当然親族は出席可能。お義母様が嫁いだエーデルシュタイン伯爵家も、トロントおじ様が婿養子に行ったイースター伯爵家も。

 私はこの夜会が苦手だ。トロントおじ様や先代公爵夫人がお父様やお義母様が少しでもいなくなると私を口撃してくる。幸い、カンデラリア公爵や先代公爵が良い方ですぐに見つけては近付けさせないようしてくるが……あの方達は、兎に角私が気に入らなくて隙さえあれば何度でも口撃をする。

 オーリー様に今度会いに行ったら、隣国の神官様になれる話がどうなるか訊ねよう。




感想 199

あなたにおすすめの小説

私のこと好きだったの?

恋愛
夕飯を食べる前にちょっとだけ寝ようと布団に入っただけなのに、次に目を覚ますと生まれたての赤ちゃんになってしまっていた私。そんな私を抱いていたのは子育てをしてみたいという理由で人間の子供を創った男性ルチアーノ。 ルチアーノの娘マルティーナとして育てられた私は、何不自由がなく深い愛情を注がれて育てられる。 立場上政治に関わる気も私を政略結婚させる気のない父とこれからものんびりとした生活を送りたい。 ……が、周りは放っておいてくれないみたいで……。 ※なろうさんにも公開しています。

さよなら、私の初恋の人

キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。 破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。 出会いは10歳。 世話係に任命されたのも10歳。 それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。 そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。 だけどいつまでも子供のままではいられない。 ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。 いつもながらの完全ご都合主義。 作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。 直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。 ※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』 誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。 小説家になろうさんでも時差投稿します。

【本編完結済】夫が亡くなって、私は義母になりました

木嶋うめ香
恋愛
政略で嫁いだ相手ピーターには恋人がいたそうです。 私達はお互いの家の利益のための結婚だと割りきっていたせいでしょうか、五年経っても子供は出来ず、でも家同士の繋がりの為結婚で離縁も出来ず、私ダニエラは、ネルツ侯爵家の嫁として今後の事を悩んでいました。 そんな時、領地に戻る途中の夫が馬車の事故で亡くなったとの知らせが届きました。 馬車に乗っていたのは夫と女性と子供で、助かったのは御者と子供だけだったそうです。 女性と子供、そうです元恋人、今は愛人という立場になった彼女です。 屋敷に連れてこられたロニーと名乗る子供は夫そっくりで、その顔を見た瞬間私は前世を思い出しました。 この世界は私が前世でやっていた乙女ゲームの世界で、私はゲームで断罪される悪役令嬢の母親だったのです。 娘と一緒に断罪され魔物に食われる最後を思い出し、なんとかバッドエンドを回避したい。 私の悪あがきが始まります。 第16回恋愛小説大賞 奨励賞頂きました。 応援して下さった皆様ありがとうございます。

殿下が好きなのは私だった

恋愛
魔王の補佐官を父に持つリシェルは、長年の婚約者であり片思いの相手ノアールから婚約破棄を告げられた。 理由は、彼の恋人の方が次期魔王たる自分の妻に相応しい魔力の持ち主だからだそう。 最初は仲が良かったのに、次第に彼に嫌われていったせいでリシェルは疲れていた。無様な姿を晒すくらいなら、晴れ晴れとした姿で婚約破棄を受け入れた。 のだが……婚約破棄をしたノアールは何故かリシェルに執着をし出して……。 更に、人間界には父の友人らしい天使?もいた……。 ※カクヨムさん・なろうさんにも公開しております。

心の中にあなたはいない

ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。 一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。

前世と今世の幸せ

夕香里
恋愛
【商業化予定のため、時期未定ですが引き下げ予定があります。詳しくは近況ボードをご確認ください】 幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。 しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。 皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。 そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。 この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。 「今世は幸せになりたい」と ※小説家になろう様にも投稿しています

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

私は貴方を許さない

白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。 前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。