思い込み、勘違いも、程々に。

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お姉様には内緒で〜エルミナ視点〜

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 手を借りて起き上がると何があったかを訊ねられた。状況説明をすると整った相貌が大きく歪んだ。学院の窓際に植木鉢は置かれてない。誰かが意図的に上階から落とした、としか考えられない。王太子殿下も駆け付けられ、ロードクロサイト様が説明をすると周囲に教師を呼んでくるよう指示を飛ばした。
 既に犯人は現場から逃げているだろうが、何か証拠になる物はあるかもしれないからと。


「エルミナ嬢、すぐに医務室に行こう。歩けるかい?」
「は、はいっ。大丈夫です」


 よく見ると手から血が流れていた。突き飛ばされた際に擦りむいてしまったのだ。わたしを突き飛ばしたクラスメイトが泣きそうな顔で駆け寄るが大丈夫だと首を振った。彼女のお陰で命拾いをしたのだ、擦り傷程度どうってことない。友人とクラスメイト3人で医務室に行き、先生に手当てをしてもらった。


「良かったエルミナ!」
「誰が植木鉢を落としたか見た?」
「ううん。そこまでは。植木鉢が誰かの手に持たれてるのが見えて、エルミナ達が歩いて来たから嫌な予感がして走ったら落とされたの。本当に間に合って良かった」


 なら、犯人はやっぱりわたしを狙ったのか。人に恨まれるような事はしてないけど、知らない内に恨まれる可能性はある。
 医務室を出るとお姉様の友人グランレオド様が壁に凭れていた。わたし達が頭を下げると「エルミナ様」と声を掛けられた。


「怪我は大丈夫?」
「は、はい」
「良かった。安心して。あなたに大怪我を負わせようとした犯人は、もう捕まったわ」
「え!? だ、誰ですか?」


 予想外にも犯人は既に捕まったらしい。
 ドロシー様と告げられたがピンとこない。
 グランレオド様によると、ドロシー様は新入生歓迎会でお姉様に絡んだノーラント様と一緒にいた方らしい。言われて思い出したわたしは声を上げた。グランレオド様が隣国の公爵家の方だと知らず、ノーラント様が叱責していた方だと。

 ノーラント様に切られた恨みでお姉様の妹であるわたしを狙ったと自白したみたいだが逆恨みにも程がある。


「ノーラント様はどうして彼女が犯人だと……?」
「現場付近に彼女がいて、慌てて走って去っていくドロシー嬢を目撃してね。捕まえて問い詰めたら白状したようよ」


 兎に角犯人が捕まって良かった。そうだ、このことはお姉様に内緒にして貰わなきゃ。心配性なお姉様にわたしが怪我をしたと知られると教室に突撃されかねない。お姉様に心配事を持ち込みたくなくてグランレオド様にお願いすると困った面をされるも了承してくれた。

 良かったねと3人で笑いながらグランレオド様と別れた。
 まだ、その場に残ったグランレオド様の呟きは誰にも聞こえなかった。


「……フィオーレもきっと同じ事を言うわね」



 
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