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親族会8
しおりを挟む「これが自慢の味? そう感じるなら、侯爵は今度から君にワインの紹介を控えさせるべきだと俺から言っておこう」
「い、いえ、ま、間違えてしまったみたいで……」
「大層自信たっぷりだったじゃないか。間違えていたとは見えなかったが?」
「あ、わ、わたくし」
明らかに動揺し、顔を青褪めるキサラ様の眼が縋るように私へ向けられるが。リアン様が一気に飲み干した辺りから、急に心臓の鼓動が早くなり、更に妙な熱を体がもち始めていた私はそっと逸らした。
「フィオーレ様? もしかしてお酒に弱いのですか?」
私を見ていたらしいワルター様が近付く直前にリアン様が私の肩を抱いて顔を覗き込んだ。微かに瞠目し、強く引き寄せ、またキサラ様とワルター様の方へ。
「フィオーレ嬢を休ませたいのでこれで失礼する」
「お待ちください。私がフィオーレ様を――」
「……初対面の貴方にフィオーレ嬢を任せると思うか?」
「っ」
相手を威圧する声と瞳に気圧されワルター様はしつこく迫らなかった。キサラ様が切羽詰まった声でワルター様に縋るが見る必要もないと、カンデラリア公爵夫妻がいる所へ連れて行かれた。
私がキサラ様にワインを勧められ飲んだ事を話すと驚かれた。私がお酒を苦手とするのを夫妻も知っているからだ。
「大丈夫かい? フィオーレ。一口で赤くなるということは、相当強いワインを?」
「……公爵」
リアン様が何事かを公爵に耳打ちし、段々険しさを纏っていく公爵の表情に夫人は私と公爵を心配げに交互に見ていく。
「分かった。私からロドニー侯爵に伝えておくよ。フィオーレ、シェリア達が来たら事情を話しておくから、安心して休みなさい」
「ありがとうございます……」
後から来るお義母様達に心配は掛けてしまうが公爵が上手く話してくれるので一寸だけ安心。
リアン様に連れられ、今日の親族会で用意された休憩室に入った。公爵家とあり、客室も豪華な内装で立っているだけでやっとな私を寝台に寝かせた。
途端……
「リアン様!?」
急に膝を崩し倒れはしなくても動かなくなったリアン様は「大丈夫……」と私が動く前に手で制した。どう見ても大丈夫じゃない。よく見るとリアン様の顔がうっすら赤い。私よりも多くワインを飲んだせいだ。
「リアン様、あの、水を用意……」
「フィオーレ……」
「……!」
初めて呼び捨てで呼ばれた……?
普段眠たげな青の瞳は何かを切望していて、寝台に乗り上体を起こした私を抱き締めた。熱い……リアン様……とても熱い……。
痛いくらい抱き締めてくるから、私もリアン様の背に手を回した。
「フィオーレ……」
熱が孕んだ声。
さっき見た瞳と同じで何かを切望としている。
ゆっくり体を離されると今度は顔を近付けられ……。拒みたくなくてリアン様とキスをした。
触れ合うだけのキスは段々と舌を絡ませる深いものになり、後ろに体を倒されていく。
リアン様を見上げる私はどんな顔をしてるんだろう……。
きっと、逃げないといけないんだ。
リアン様を突き飛ばして逃げないと……。
……自分自身、浅はかで欲深い人間だと知らぬ間に気付いていた。
ワインのせいもある。
ただ、1番は……
「フィオーレ……」
「リアン、様……」
再びリアン様とキスをした。
彼の手がドレスに掛かった時、自分の理性を手放した――。
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