優しい言葉を吐き続ける婚約者は浮気性でした。誰にでも同じことを言っていたんですね。

十条沙良

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優しい言葉を吐き続ける婚約者は浮気性でした。誰にでも同じことを言っていたんですね。

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私はこの国の聖女シレーネ・アレクサと申します。私の婚約者はこの国のヘンリー王子です。
ヘンリー王子は金髪で青い瞳を持つ美しい王子で、まぶしくて真っ直ぐに見れない程です。

姿かたちが美しいだけでなくヘンリー王子はとても優しい人です。私が聖女になったから婚約した方ですけれども、いつも穏やかで落ち着きます。

「 いつも国の為に頑張ってくれてありがとう。本当に助かるよ。愛してるよ。」
なんて息を吐くように優しい甘い言葉を私にくれました。

聖女と国の王子が婚約することは昔からのしきたりで、自分で好きになった人では無いけれども私は幸せを感じていました。

しかし王子が17歳になった頃から、色々な噂が私の耳に入って来ました。

最初は伯爵令嬢とか男爵令嬢などの名前を聞きました。手当たり次第に関係を持っているなどと言うのです。まさかと思っていたのに、ついには街の娼婦の一人を気に入り、城の中に宮まで作り住まわせてしまったと言う話。

私には国中のあらゆるニュースが入って来るのです。
だってこの国の聖女ですもの。
人が流してるニュースもですし精霊達が教えてくれる真実もです。

こちらから婚約破棄を申し出ようと全ての証拠を手に王様のところへ行く準備をしておりました。

そこで春のパーティがあったのです。
うららかな春の日、晴れわたる青空、春の訪れを待ち侘びたかのように咲き競う美しい花達。
精霊達が一年で一番楽しみにしている春のパーティの席でヘンリー王子は私に怒鳴りつけました。

「 シレーネお前との婚約は破棄させてもらう。僕は本当に愛してる人を見つけたから。お前にはもう用は無い。」

これが彼の本性なのでしょう。
私に囁いてくれた優しい甘い言葉よりも、もっとたくさんの言葉を捧げたのでしょう。

彼は誰にでも優しい。
そうなのかもしれません。

「 でも、私がいなくなったらこの国は、」
「 恩着せがましいなー。僕がお前一人で満足出来ると思う?お前にそんな魅力ないし。さっさと出て行けよ。さもないと監獄にぶち込んでやるぞ!」

目をひん剥き、真っ赤になり大声で怒鳴ってる姿が目の前にあります。
あの美しく優しい王子はもうどこにもいません。

「わかりました。この国を出て行きます。」

私は城を出ました。
精霊達に頼んで、これまでのいきさつ全てを国民の前に映してもらっいました。

私の後ろには国民の列が出来ました。

この国に魔獣が侵入しました。
山は噴火し、水はニガヨモギの味になり、
地面は燃えて作物は全滅しました。

私は国民達を結界で守り、それぞれが行きたいところまで送り届けました。

この国は壊滅しました。
聖女の私が復讐したと噂を流してる人がいるみたいですけど、私は復讐なんてしていません。

復讐なんてする暇ありませんし。
全ては神さまの言う通りですから。

私は新しい場所で幸せになるつもりです。
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