1 / 1
優しい言葉を吐き続ける婚約者は浮気性でした。誰にでも同じことを言っていたんですね。
しおりを挟む私はこの国の聖女シレーネ・アレクサと申します。私の婚約者はこの国のヘンリー王子です。
ヘンリー王子は金髪で青い瞳を持つ美しい王子で、まぶしくて真っ直ぐに見れない程です。
姿かたちが美しいだけでなくヘンリー王子はとても優しい人です。私が聖女になったから婚約した方ですけれども、いつも穏やかで落ち着きます。
「 いつも国の為に頑張ってくれてありがとう。本当に助かるよ。愛してるよ。」
なんて息を吐くように優しい甘い言葉を私にくれました。
聖女と国の王子が婚約することは昔からのしきたりで、自分で好きになった人では無いけれども私は幸せを感じていました。
しかし王子が17歳になった頃から、色々な噂が私の耳に入って来ました。
最初は伯爵令嬢とか男爵令嬢などの名前を聞きました。手当たり次第に関係を持っているなどと言うのです。まさかと思っていたのに、ついには街の娼婦の一人を気に入り、城の中に宮まで作り住まわせてしまったと言う話。
私には国中のあらゆるニュースが入って来るのです。
だってこの国の聖女ですもの。
人が流してるニュースもですし精霊達が教えてくれる真実もです。
こちらから婚約破棄を申し出ようと全ての証拠を手に王様のところへ行く準備をしておりました。
そこで春のパーティがあったのです。
うららかな春の日、晴れわたる青空、春の訪れを待ち侘びたかのように咲き競う美しい花達。
精霊達が一年で一番楽しみにしている春のパーティの席でヘンリー王子は私に怒鳴りつけました。
「 シレーネお前との婚約は破棄させてもらう。僕は本当に愛してる人を見つけたから。お前にはもう用は無い。」
これが彼の本性なのでしょう。
私に囁いてくれた優しい甘い言葉よりも、もっとたくさんの言葉を捧げたのでしょう。
彼は誰にでも優しい。
そうなのかもしれません。
「 でも、私がいなくなったらこの国は、」
「 恩着せがましいなー。僕がお前一人で満足出来ると思う?お前にそんな魅力ないし。さっさと出て行けよ。さもないと監獄にぶち込んでやるぞ!」
目をひん剥き、真っ赤になり大声で怒鳴ってる姿が目の前にあります。
あの美しく優しい王子はもうどこにもいません。
「わかりました。この国を出て行きます。」
私は城を出ました。
精霊達に頼んで、これまでのいきさつ全てを国民の前に映してもらっいました。
私の後ろには国民の列が出来ました。
この国に魔獣が侵入しました。
山は噴火し、水はニガヨモギの味になり、
地面は燃えて作物は全滅しました。
私は国民達を結界で守り、それぞれが行きたいところまで送り届けました。
この国は壊滅しました。
聖女の私が復讐したと噂を流してる人がいるみたいですけど、私は復讐なんてしていません。
復讐なんてする暇ありませんし。
全ては神さまの言う通りですから。
私は新しい場所で幸せになるつもりです。
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
愚か者の話をしよう
鈴宮(すずみや)
恋愛
シェイマスは、婚約者であるエーファを心から愛している。けれど、控えめな性格のエーファは、聖女ミランダがシェイマスにちょっかいを掛けても、穏やかに微笑むばかり。
そんな彼女の反応に物足りなさを感じつつも、シェイマスはエーファとの幸せな未来を夢見ていた。
けれどある日、シェイマスは父親である国王から「エーファとの婚約は破棄する」と告げられて――――?
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。
当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。
しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。
最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。
それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。
婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。
だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。
これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。
お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。
四季
恋愛
お前は要らない、ですか。
そうですか、分かりました。
では私は去りますね。
婚約破棄されたので、もうあなたを想うのはやめます
藤原遊
恋愛
王城の舞踏会で、公爵令息から一方的に婚約破棄を告げられた令嬢。
彼の仕事を支えるため領地運営を担ってきたが、婚約者でなくなった以上、その役目を続ける理由はない。
去った先で彼女の能力を正当に評価したのは、軍事を握る王弟辺境伯だった。
想うことをやめた先で、彼女は“対等に必要とされる場所”を手に入れる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる