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神の声が聞こえたと婚約者の彼女が言ってますけと、それ悪魔の声ですから。残念でした。
しおりを挟む「 ゴードン様、聞いてください。私、実はウフフ、えへへ。」
「 かわいいな、カミーユ。どうしたんだい?
何があったの?」
「 私、最近ついに神さまの声が聞こえるようになりました。いえーい。」
「 やったな、凄いよカミーユ。最高だ。君は最高だよ。これで聖女の地位は君のものだ。僕に任せておいてね。」
私はサフィニア・マウーリ。
この国の聖女です。
先程のつまらない会話は、精霊達が私に見せてくれたものです。
聖女の婚約者のゴードン王子が魔法学院の生徒のカミーユと浮気をしている。その、証拠の映像です。
別に見たくもなかったけど聖女たるもの、この国のさまざまな事が耳に入ってきます。精霊達のおかげで事実を知っていれば、この先起こる事も大体の予想ができます。
それを世の中人達は聖女の力と言うのでしょう。精霊王に愛された私に、精霊達は全力で力を貸してくれますから。
その日はすぐにやって来ました。
学院の春のパーティの席の事です。
「 ゴードン様聞こえますわ。私にも聞こえる!ついに神さまの声が聞こえるようになりました。」
カミーユがこれ見よがしに叫ぶと、ゴードン王子は練習していた通りに、にこやかに答えた。
「そうか、よくやったなカミーユ。神さまの声が聞こえるなら、君は立派な聖女だ。良かった。サフィニア、お前との婚約は今日を限りに解消させてもらうぞ。今日からカミーユが聖女だ。だからサフィニアはもうクビ!」
「 神さまは何とおっしゃっているんですか?」
私がカミーユにたずねると、
「 殺せ、殺せって言うんです。誰を殺せばいいのかしら。」
カミーユは私をにらみ付けながら、本当の事を言った。
神さまがそんな事言うはずが、ございません。
カミーユが聞こえた声の主は悪霊の声です。
毎日毎日、私の事を邪魔だと思い、聖女がいなくなれば自分が聖女になれると思いこんでた。
私をねたみ、そねみ、嫌な感情で頭を一杯にして毎日を過ごし眠る。
そうしてるうちに悪霊に取り憑かれたカミーユ。まがまがしいドス黒いオーラをまとっています。
「ゴードン王子、カミーユの聞こえた声は神さまの声では無いと思います。あれは 」
私の言葉をさえぎりゴードン王子は、
「うるさい、うるさい!黙れ!!
今すぐに、この国を出て行け。自分の聖女の地位を奪われたのが、そんなに嫌か!
ニセモノの聖女め、さっさと出て行くがいい。」
と、言った。
ゴードン王子は目をひんむいて、ツバをまき散らした。
私の言葉など耳に入らない様子だった。
私は今まで、命がけで守って来た城を後にした。
精霊達に頼んで、全ての証拠を国民の前に映像で見せてもらった。
私が城を出て歩き出すと、国民の列が後ろに続いた。
祖国には魔獣が侵入して、暴れている。
私は国民達の列を結界で守り、それぞれが行きたいところまで送った。
祖国の山は燃えて、水はニガヨモギの味になり、空気はよどんで壊滅状態だった。
神さまは殺せなんて言わない。
それを聞こえたなら、それは神さまではないと気が付くべき。
私は教えてあげた。
私は復讐なんてしていません。
全て神さまの言う通りですから。
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