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*II*

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 マリアナが王立学院の初等部に入学してから一か月。ついにもうひとりの従兄弟と会う日がやってきた。
城に入ったマリアナは、父とともに真っ直ぐに城の奥にある神殿に向かう。
通常、いくら高位貴族でも、城の奥に行くには大臣の任に就く神官の許可がいるため1時間は待つ必要があるのだが、マリアナ達は前日に神殿の許可を得ていたことと、王家の血を引く貴族であるため、すんなりと城の最奥まで行くことができたのだ。


公爵「マリアナ、緊張しているのか?」

マリアナ「はい・・・」


 なんせ、マリアナは城の神殿に入るのははじめてだ。今のところ、今日会う王子以外のいとこ全員と仲が良く、城にはよく遊びに来ていたし、マリアナの家にも簡易的な神殿があるため城に入る事や城の外の神殿に入る事に抵抗はない。だが、神殿に続く回廊は他の神殿の中より厳かな雰囲気だし、はじめて会う従兄弟に嫌われないかと内心ドキドキしていた。



それも、はじめて第1王子とあった頃のように、幼児になりたてでもないのだ。6歳ともなれば、沢山の感情がある。




しかも、それだけではなく、王子ということは万が一フィリックスとマリアナの婚約が解散されてしまった時に味方にすれば最悪な結末だけは避けられるかも。という思惑があった。



もちろん、純粋に同年代のいとこと仲良くなりたい気持ちもあるが。


そんな事を考えていると、知らないうちに神殿の入口に辿り着いていた。



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