ゲッコウキ

神無月 花

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 新しい場所 (1/6) 

月光は、山や谷を幾つも越え夜が明けると、二人は新しい土地に着いた。


月夜「すごい…!」


月夜は感激の声を上げた。 



月光「何が凄いんだ?」


月夜を抱き抱えたままの月光が月夜に聞き返す。 


月夜「月光ですよ!だって人間の足じゃたくさんの山をこえるのはなん日もかかるのに、たった一晩ですもの!」


月夜は小さな童の様にはしゃぐ。月光は、月夜を地面におろし、月夜の言葉に驚きの表情を隠さぬままこう言った。 



月光「俺が恐ろしくないのか?」


月夜「なぜですか?」


月夜は、心底意外な顔をしそう言った。 


月光「何故って…人間の足じゃ何日もかかる道を一晩で歩ききったり、刃物も使わず紐を切るなんて、人間からしたら恐ろしいだろう。」


月夜「すごいじゃないですか。」


月夜は真顔でそう答える。


月光「それだけじゃない。俺は月夜を鬼の力で傷付けたり、下手したら殺してしまうかもしれない。しかも俺は、簡単には死なない。歳だってとらない。」 



月夜「こわくない。それに、月光に殺されるならこんな嬉しいことはないわ。どんな姿でもあなたはあなたよ。」


月光「月夜…」



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