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壱
妖狐の郷
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新学期に入って初めての土曜日。今日は特に予定も無い。つまり、今日と明日は、柚葉様と一緒に過ごせる。そう思うとウキウキする。
僕はふと鏡を見た。....やばい。すごいにやけてる。こんな顔、柚葉様には見せられないな。
そんな時、携帯電話が鳴った。
樟葉「はい。もしもし。」
電話は父上からだった。
《樟葉、お前、今日こちらに来られるか?》
樟葉「急にどうしたんですか。」
《“姫”に会ってみたいのだ。》
樟葉「…柚葉様を妖狐のただ中に連れていく事は出来ません。」
《お前が守ればよいだろう。それに、私は“姫”を襲うような事はせん。》
樟葉「…わかりました。」
*
樟葉「柚葉様。」
樟葉は、隣の部屋....柚葉の部屋のドアをノックすると、柚葉に声を掛けた。
柚葉「なに?」
樟葉「今日、何か予定はございますか?」
柚葉「予定はないわよ。それでなに?」
樟葉「柚葉様に妖狐の里を御案内したくて…駄目ですか?」
柚葉「………いくわ。」
樟葉「わかりました。」
こうして、この日は、僕は久々の里帰り、柚葉様にとっては初の妖界に行く日となった。
樟葉「そうだ、柚葉様。妖狐の郷に行く前に、こちらの服に着替えて下さい。」
そう言って、樟葉が柚葉に渡したのは、巫女が穿くような緋い袴と、赤地に白い花が描かれた羽織、白衣(びゃくえ)、という三点の和服だった。
柚葉「樟葉。わたし、着物なんて着れないわよ。着たことないもの。」
樟葉「大丈夫です。柚葉様なら必ず着れます。では、僕は一度失礼しますね。」
そう言うと、樟葉は部屋を出て行ってしまった。
僕はふと鏡を見た。....やばい。すごいにやけてる。こんな顔、柚葉様には見せられないな。
そんな時、携帯電話が鳴った。
樟葉「はい。もしもし。」
電話は父上からだった。
《樟葉、お前、今日こちらに来られるか?》
樟葉「急にどうしたんですか。」
《“姫”に会ってみたいのだ。》
樟葉「…柚葉様を妖狐のただ中に連れていく事は出来ません。」
《お前が守ればよいだろう。それに、私は“姫”を襲うような事はせん。》
樟葉「…わかりました。」
*
樟葉「柚葉様。」
樟葉は、隣の部屋....柚葉の部屋のドアをノックすると、柚葉に声を掛けた。
柚葉「なに?」
樟葉「今日、何か予定はございますか?」
柚葉「予定はないわよ。それでなに?」
樟葉「柚葉様に妖狐の里を御案内したくて…駄目ですか?」
柚葉「………いくわ。」
樟葉「わかりました。」
こうして、この日は、僕は久々の里帰り、柚葉様にとっては初の妖界に行く日となった。
樟葉「そうだ、柚葉様。妖狐の郷に行く前に、こちらの服に着替えて下さい。」
そう言って、樟葉が柚葉に渡したのは、巫女が穿くような緋い袴と、赤地に白い花が描かれた羽織、白衣(びゃくえ)、という三点の和服だった。
柚葉「樟葉。わたし、着物なんて着れないわよ。着たことないもの。」
樟葉「大丈夫です。柚葉様なら必ず着れます。では、僕は一度失礼しますね。」
そう言うと、樟葉は部屋を出て行ってしまった。
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