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弌章

昼食時の出来事

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1年生の教室前に到着した俺と龍輝が陽菜を探していると、食堂の方から歩いてくる陽菜達の姿が見えた。



  克輝「陽菜。」


    陽菜「克輝君!」


陽菜は、俺を見つけると、嬉しそうな顔でこちらに向かって来た。



  克輝「久しぶり。陽菜。元気だったか?」


   陽菜「うん。体調の方は全然大丈夫だよ。」


その言葉通り、陽菜は元気そうだった。だけど、”体調は”という事は、体調以外で不安な事があるのかも知れない。



    龍輝「おい、オレも居るんだけど。」


俺が龍輝の方を見ると、明らかに〝不機嫌です″という顔をしていた。....龍輝、悪い。完全に放置してしまったな。



   陽菜「な、何で、何で龍輝君が克輝君と一緒に居るの...?龍輝君は高等部の1年生で、克輝君は2年生でしょう」



そう言うと、陽菜は龍輝から離れる様に後退った。
...陽菜は、龍輝の事が嫌いなわけでは無いと思う。ただ、昔から龍輝に意地悪な事をされ続けたから苦手意識があるだけだろうな。
とゆうか、いくら何でも、何で居るの?は、龍輝が可哀想だ。まぁ、陽菜はそんなつもりは微塵も無いけど。





  龍輝「相変わらず、おまえは頭良い癖に単純だよな。俺と克輝さんは親戚同士だぞ。学年は違えど、同じ学校で、割りかし仲の良い親戚なら一緒に居ても別に変じゃ無いだろ。しかも、オレは克輝さんを尊敬してるんだ!尊敬する先輩から教えを請うのも普通の事だと思うけど」




いやまぁ、確かにそうなんだが。龍輝、また言い方がきつくなってるぞ。
....ほら見ろ、陽菜が泣きそうな顔してるじゃないか。



     陽菜「うぅ...また意地悪するー!龍輝君の馬鹿っ!」




そう言って、陽菜は泣きそうな表情のまま走り去って行ってしまった。
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