【完結】土壇場で交代は困ります [おまけ1話更新]

himahima

文字の大きさ
11 / 16

美津子やっぱりブチギレる

しおりを挟む
あのパーティーの夜から半月、今日は謁見の間に呼び出された。
広間に入るとリリーとヒョロ男達4人が後ろ手に縛られひざをついた状態で横一列に並んでいた。
護衛騎士に促せ5人の前まで歩を運び、
宰相さんの横に立ち5人に視線を落とす。
4人は項垂れていて、表情は読めないが、やつれていて服装も素朴な生成り色の上下、卒業パーティーの夜のキラキラオーラは消え失せ、見る影もない…。
そしてリリー、怖っ!!射殺す気か!!
憎悪に満ちた目でこちらを睨んでいる。
はぁー?逆ギレか??こいつに恨まれる筋合いはない!!!
こんな小娘に睨まれても屁の河童だけどね~。

鬱陶しいリリーの視線を外し宰相さんの反対隣に視線を移すと数人の書類をもった文官らしき人達の中に一人、仕立ての良い服を着たダリア父がいた。
目があうとバツが悪そうに視線を逸らしすが、チラッと見ては逸らす、またチラッ見ては慌てて逸らすを繰り返す。こちらも鬱陶しいので放置して正面をみる。

書類を渡された宰相さんが事件の時系列と、事実関係をよく通る声で読み上げていく。

時系列はパーティーの夜から始まった。
卒業を祝いにサプライズで会場入りした王と王妃、異様な雰囲気を感じ会場中央まで足速に進み、騎士に抱かれ意識のないダリアを発見する。
ダリアをすぐ医務室に運ばせ、5人に話を聞こうとしたが、4人は呆然と立ち尽くし、リリーはこそこそと4人の後ろに隠れる。
埒があかないので会場にいた王子の侍従と近衛騎士に事情聴取が行われ、パーティーは中止、生徒は帰宅させられた。
リリーは自分は関係ないと図々しく帰ろうとしたらしい、ドン引きだ!!
騒ぐリリーに、やっと正気を取り戻した4人が責め寄る。取っ組み合いになり、騎士に取り押さえられる。う~わっ!カオス…。
5人はそのまま牢へ、今日に至る。

ふむふむ、半月の牢生活、貴族のボンたちにはさすがに堪えたろう。

その後、王が調査を命令、王家の調査と学友の証言から等から全てリリーの妄言だと判明。

ダリアとリリーの接点はなく、(唯一
の接点は5人がダリアに絡みに来る時だけ)もちろん圧力をかけリリーを孤立させた事実なんてない。

5人を取り囲む人々はみんな不愉快そうに顔をしかめる。

次の紙を文官から受け取った宰相さんは
一拍間をおいて処罰を言い渡す。

冷たい目で王子を見下ろし「王命の婚約を衆人の前で勝手に破棄するなど言語道断!!」と強い口調で言い放つ。
びっ、びっくりした~、肩ピクッとしちゃったよ…。

王位継承権剥奪 辺境へ5年、軍に従事すること。
婚約は白紙撤回、もちろん王子の有責で。
慰謝料は王子の個人資産から払われ、
足りない分で王室予算から貸し付け、
もちろん利息付き。
リリーと出会って相当散財したようで、個人資産はほとんどなかったとか。
きちんと返済しなさいよ!

慰謝料は侯爵家ではなくダリア本人に支払われることになった。
もらうの美津子だけどね!!

宰相息子、名前呼ばれてたけど面倒なので覚えてない。息子に沙汰をくだす宰相さん辛そうだ。伯爵家の長女さんとの婚約は破棄され多額な慰謝料の請求があったそうだ。こちらも相当リリーに貢いてたらしく個人資産はなし、慰謝料を払えるわけもない。そうそう、ダリアへの慰謝料も上乗せされましたよ!
兄の治める領地でほぼ無給で働くことになった。王都への立ち入りは禁止された。キリキリ働けよ!!

ショタは伯爵子息だったが学園退学、子供のいない遠縁の子爵家に養子にだされることになった。
もちろんダリアへ慰謝料支払いと王都出禁が命じられた。

紺髪はさほどダリアに絡んでなかったことが判明。
いつも5人で一緒にいたがダリアに暴言を吐くこともなく、ただリリーとイチャコラしてただけ、ってなんだこのチャラ男…。お咎めはなかったが、外聞が悪い…ので宮中魔術士の道は閉ざされた。

リリーは全員と肉体関係あり、この4人以外にも街のチンピラみたいな奴らとも関係があったとか、どんだけビッチなんだ、おいっ!もちろん学園は退学、貧しい家のため慰謝料の支払いは無理らしい。
妊娠してないことが確認できたら、厳しい修道院に送られることになった。

ふーっと息を吐き、色んな感情と折り合いをつける。
直接的な暴力はなかった、しかし心ない言葉の暴力が癒えない傷をダリアの心に刻んだ。
頭のおかしい一人の少女に踊らされた4人の愚者、そんな愚か者たちの犠牲になったダリア・・・。
重苦しい空気が場をつつんだ・・・。

10代にしては重い罪だろう、しかし一人の少女の命の代償には足りん!!

宰相さんがトントンと2回私の肘に肘をあてる。はい、これ合図ですね、いいんですね、ちらっと宰相さんを見上げる。
コクっと顎をひく宰相さん、ちらっと後を振り向くとニヤッと悪い笑顔の王様
…はい、お墨付きいただきましたー!!

ツカツカ前に出て、男四人に肘打ちをくらわし床に転がす。
間髪入れずにその横腹を蹴り上げた。

そしてゆっくり振り返りニッコリ微笑んでリリーに歩み寄る。
何が起こっているのか理解できずパニックになっているリリーの顔が次第に恐怖に染まる。

リリーの右脇に腕を差し入れ立たせ、右フック、その返しで右頬に裏拳をくらわした!
ポイっと床に捨てるとぎゃんぎゃん泣き出した。
腫れた両頬に、涙と鼻水でぐしゃぐしゃのリリーはブスだった。

==========================
リリーの生い立ちは番外編でm(_ _)m






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鈍感令嬢は分からない

yukiya
恋愛
 彼が好きな人と結婚したいようだから、私から別れを切り出したのに…どうしてこうなったんだっけ?

罠に嵌められたのは一体誰?

チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。   誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。 そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。 しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

公爵令嬢は結婚前日に親友を捨てた男を許せない

有川カナデ
恋愛
シェーラ国公爵令嬢であるエルヴィーラは、隣国の親友であるフェリシアナの結婚式にやってきた。だけれどエルヴィーラが見たのは、恋人に捨てられ酷く傷ついた友の姿で。彼女を捨てたという恋人の話を聞き、エルヴィーラの脳裏にある出来事の思い出が浮かぶ。 魅了魔法は、かけた側だけでなくかけられた側にも責任があった。 「お兄様がお義姉様との婚約を破棄しようとしたのでぶっ飛ばそうとしたらそもそもお兄様はお義姉様にべた惚れでした。」に出てくるエルヴィーラのお話。

ヒロインが私の婚約者を攻略しようと狙ってきますが、彼は私を溺愛しているためフラグをことごとく叩き破ります

奏音 美都
恋愛
 ナルノニア公爵の爵士であるライアン様は、幼い頃に契りを交わした私のご婚約者です。整った容姿で、利発で、勇ましくありながらもお優しいライアン様を、私はご婚約者として紹介されたその日から好きになり、ずっとお慕いし、彼の妻として恥ずかしくないよう精進してまいりました。  そんなライアン様に大切にされ、お隣を歩き、会話を交わす幸せに満ちた日々。  それが、転入生の登場により、嵐の予感がしたのでした。

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

〘完結〛わたし悪役令嬢じゃありませんけど?

桜井ことり
恋愛
伯爵令嬢ソフィアは優しく穏やかな性格で婚約者である公爵家の次男ライネルと順風満帆のはず?だった。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

処理中です...