16 / 16
おまけ 旅立ち
しおりを挟む
そうだ、旅に出よう……。
お金はある、多分一生働かなくても良いぐらいある!
この世界に突然引っ張り込まれ4年半、めっちゃ働いた、いや、働かされた…。
それなりに功績もあげた。
結果、叙爵した…。さすがに領地は辞退したけど…。
くっ、あのオヤジ~!!
さすが一国の長、上手く踊らされた…。
「嵌められたな・・・」
そろそろこの国を出ようと思っていた。
平和でいい国だ、別に嫌いではないよ。
しかし、私の故郷は日本であってこの国に郷愁を感じることはない。
せっかくの異世界、心ゆくまで楽しみたい!
旅の終わりにまた戻ってくればいい、と思っていた…そう、ただ思っていただけ!!
おかしいな~、なぜバレた??
まだ一度も声にしたことはない!…はず…。
「お嬢様、顔が怖いです!」
スモーキーな香りのコーヒーが注がれた大きめのカップがテーブルに置かれた。
最近の楽しみはこれ!!
一年前から帝国経由で輸入されるようになったコーヒー!!
イタリアンローストに似た焙煎の強い豆が主流だ、これも色んなアレンジ加えてコーヒー専門店でも…あぁぁぁぁ!やめやめ!!
こうやって思いついたことに色々手を出した結果がこれだ……。
アイビーが、封書の乗ったトレーとペーパーナイフを渡してくれた。
見たくない封蝋だよ…
「このまま暖炉にくめていいかね、アイビーさんや?」
「お嬢様、不敬ですよ」
渋々封を切り二つ折りの便箋を・・・ぐしゃっ!
「おっ、お嬢様?!」
「半年後に王位継承するから息子もよろしくだとーー!?」
囲い込まれたな……。
「アイビー、旅にでるよ!出発は3日後、期間は半年!」
「お嬢様!3日で旅支度は・・・」
「荷物は最低限でいいわ、必要な物は現地調達すればいいから…。」
「しかし、そんなに長期間の護衛を3日で雇えるとは…」
「護衛は西大陸に渡る港までの10日間でいいわ、長い船旅に護衛は邪魔だし、向こうに渡ってから護衛も新たに雇えばいいしね」
4年間剣術も学び、なかなかの腕前になった。
空手、ボクシング、剣…決して武道派ではないけど、騎士団の新兵ぐらいには負けないな、きっと…。
「とりあえず、明日登城して話しつけてくるわ」
「ローズさんにも連絡お願いしますね」
「・・・忘れてた・・・こっちの方が厄介だった・・・」
ローズは王都で人気のドレスサロンのオーナー兼デザイナーだ。
今は大切なビジネスパートナーなのだが、この話はいずれどこがで……。
結果、王様はあっさり半年の休暇を認めた、もちろん半年後に絶対帰ってくるようにと何度も何度も念を押された…。
あまりしつこいと嫌われると思ったのか、隣国の港までの馬車と護衛を用意してくれた。
案の定、ローズに鬼の形相で迫られ3日間の軟禁、出発は1週間後となった…。
出発の朝、馬車寄せに紋章のない箱馬車と、4人の護衛騎士が入ってきた。
御者が扉を開けると中から一人の男性が降りてきた……。
「ほへっ?」予測不能の出来事に変な声がでた……。
「な、なんで?」
赤髪の美丈夫はにっこり微笑むと、私とアイビーから荷物を取り上げてさっさと馬車に積み込む。
「さぁ、出発しましょ!」
えぇぇぇぇぇ?!
「ちょ、ちょっと待って!一緒に行く気?」
「もちろん、陛下の許可は取ってあります」
「しっ、仕事はどうしたの?辞めた訳じゃないわよね??」
「休暇ですよ」
唖然としてその場から動けずにいると流れるようにエスコートされ、気がついたら馬車の扉は閉められていた。
ゆっくり動きだす馬車、見送るメイドのマリーと料理人のトリヤに手を振ると両手で振り返してきた。
(いってきます…)
目の前には嬉しそうにこちらを見つめるリアム、その横でリアムに睨みを利かせるアイビー…。
「ぷっ、ふふふふ」
「どうしました?お嬢様?」
「な、なんでもないわ、ふふ」
まあ、旅は道連れ、護衛として連れて行ってあげるよ。
さぁ、どんな出会いがあるのか楽しみだな~
なんて呑気に考えていたけど、まさか人生を変える旅になるとは、この時は想像もしなかった。
=======================
「転生女王は政務に励みます」第一章完結後(残り4話)、
短編「元社畜二人の異世界老後プラン」(タイトル仮)を投稿予定です。
そちらも合わせて読んでいただけると嬉しいです。
お金はある、多分一生働かなくても良いぐらいある!
この世界に突然引っ張り込まれ4年半、めっちゃ働いた、いや、働かされた…。
それなりに功績もあげた。
結果、叙爵した…。さすがに領地は辞退したけど…。
くっ、あのオヤジ~!!
さすが一国の長、上手く踊らされた…。
「嵌められたな・・・」
そろそろこの国を出ようと思っていた。
平和でいい国だ、別に嫌いではないよ。
しかし、私の故郷は日本であってこの国に郷愁を感じることはない。
せっかくの異世界、心ゆくまで楽しみたい!
旅の終わりにまた戻ってくればいい、と思っていた…そう、ただ思っていただけ!!
おかしいな~、なぜバレた??
まだ一度も声にしたことはない!…はず…。
「お嬢様、顔が怖いです!」
スモーキーな香りのコーヒーが注がれた大きめのカップがテーブルに置かれた。
最近の楽しみはこれ!!
一年前から帝国経由で輸入されるようになったコーヒー!!
イタリアンローストに似た焙煎の強い豆が主流だ、これも色んなアレンジ加えてコーヒー専門店でも…あぁぁぁぁ!やめやめ!!
こうやって思いついたことに色々手を出した結果がこれだ……。
アイビーが、封書の乗ったトレーとペーパーナイフを渡してくれた。
見たくない封蝋だよ…
「このまま暖炉にくめていいかね、アイビーさんや?」
「お嬢様、不敬ですよ」
渋々封を切り二つ折りの便箋を・・・ぐしゃっ!
「おっ、お嬢様?!」
「半年後に王位継承するから息子もよろしくだとーー!?」
囲い込まれたな……。
「アイビー、旅にでるよ!出発は3日後、期間は半年!」
「お嬢様!3日で旅支度は・・・」
「荷物は最低限でいいわ、必要な物は現地調達すればいいから…。」
「しかし、そんなに長期間の護衛を3日で雇えるとは…」
「護衛は西大陸に渡る港までの10日間でいいわ、長い船旅に護衛は邪魔だし、向こうに渡ってから護衛も新たに雇えばいいしね」
4年間剣術も学び、なかなかの腕前になった。
空手、ボクシング、剣…決して武道派ではないけど、騎士団の新兵ぐらいには負けないな、きっと…。
「とりあえず、明日登城して話しつけてくるわ」
「ローズさんにも連絡お願いしますね」
「・・・忘れてた・・・こっちの方が厄介だった・・・」
ローズは王都で人気のドレスサロンのオーナー兼デザイナーだ。
今は大切なビジネスパートナーなのだが、この話はいずれどこがで……。
結果、王様はあっさり半年の休暇を認めた、もちろん半年後に絶対帰ってくるようにと何度も何度も念を押された…。
あまりしつこいと嫌われると思ったのか、隣国の港までの馬車と護衛を用意してくれた。
案の定、ローズに鬼の形相で迫られ3日間の軟禁、出発は1週間後となった…。
出発の朝、馬車寄せに紋章のない箱馬車と、4人の護衛騎士が入ってきた。
御者が扉を開けると中から一人の男性が降りてきた……。
「ほへっ?」予測不能の出来事に変な声がでた……。
「な、なんで?」
赤髪の美丈夫はにっこり微笑むと、私とアイビーから荷物を取り上げてさっさと馬車に積み込む。
「さぁ、出発しましょ!」
えぇぇぇぇぇ?!
「ちょ、ちょっと待って!一緒に行く気?」
「もちろん、陛下の許可は取ってあります」
「しっ、仕事はどうしたの?辞めた訳じゃないわよね??」
「休暇ですよ」
唖然としてその場から動けずにいると流れるようにエスコートされ、気がついたら馬車の扉は閉められていた。
ゆっくり動きだす馬車、見送るメイドのマリーと料理人のトリヤに手を振ると両手で振り返してきた。
(いってきます…)
目の前には嬉しそうにこちらを見つめるリアム、その横でリアムに睨みを利かせるアイビー…。
「ぷっ、ふふふふ」
「どうしました?お嬢様?」
「な、なんでもないわ、ふふ」
まあ、旅は道連れ、護衛として連れて行ってあげるよ。
さぁ、どんな出会いがあるのか楽しみだな~
なんて呑気に考えていたけど、まさか人生を変える旅になるとは、この時は想像もしなかった。
=======================
「転生女王は政務に励みます」第一章完結後(残り4話)、
短編「元社畜二人の異世界老後プラン」(タイトル仮)を投稿予定です。
そちらも合わせて読んでいただけると嬉しいです。
180
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
罠に嵌められたのは一体誰?
チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。
誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。
そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。
しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
公爵令嬢は結婚前日に親友を捨てた男を許せない
有川カナデ
恋愛
シェーラ国公爵令嬢であるエルヴィーラは、隣国の親友であるフェリシアナの結婚式にやってきた。だけれどエルヴィーラが見たのは、恋人に捨てられ酷く傷ついた友の姿で。彼女を捨てたという恋人の話を聞き、エルヴィーラの脳裏にある出来事の思い出が浮かぶ。
魅了魔法は、かけた側だけでなくかけられた側にも責任があった。
「お兄様がお義姉様との婚約を破棄しようとしたのでぶっ飛ばそうとしたらそもそもお兄様はお義姉様にべた惚れでした。」に出てくるエルヴィーラのお話。
ヒロインが私の婚約者を攻略しようと狙ってきますが、彼は私を溺愛しているためフラグをことごとく叩き破ります
奏音 美都
恋愛
ナルノニア公爵の爵士であるライアン様は、幼い頃に契りを交わした私のご婚約者です。整った容姿で、利発で、勇ましくありながらもお優しいライアン様を、私はご婚約者として紹介されたその日から好きになり、ずっとお慕いし、彼の妻として恥ずかしくないよう精進してまいりました。
そんなライアン様に大切にされ、お隣を歩き、会話を交わす幸せに満ちた日々。
それが、転入生の登場により、嵐の予感がしたのでした。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる