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無職45日目− 2
しおりを挟む「ミーちゃん、おいで~」
おばさんは自分の太ももをとんとんと2回叩き飼い猫を呼ぶ。
床に寝そべったまま、チラッと目線だけ向けると、また太ももを叩いて俺を呼ぶ。
ムダにキラキラした期待の眼差しを向けられ、スルーするほど薄情な俺ではない。
「な~ご」
ぐぐぐ~っと背中を伸ばし、とことことソファーに近づくとにゅ~っと両手が伸びてきて俺の前脚の付け根に両手を差し込まれ持ち上げられた。
やめれ!びろ~んと伸びてマヌケな格好ではないか!俺はペシっとおばさんの手を叩く。
もちろん爪をたてたりしない、俺は紳士な飼い猫だからな。
「ミーちゃんは抱っこが嫌いだよね~」
抱っこが嫌いなのではない!びろ~んをやめれと言ってるのだ。
まあ、そんなことに目くじらを立てるほど心の狭い猫ではないので好きにやらせておくが。
おばさんは俺を太ももの上に乗せると俺の額をこちょこちょとなでる。
まだまだお母さんと比べると拙いが、もういないお母さんと比較しても意味がない。
おばさんとも7年の付き合いだ、それなりに気心知れた仲だ。
お母さんは、もちろん俺の生みの親ではなくこのおばさんのお母さんだ。
俺は瀕死の重傷を負って路端に倒れていたところをお母さんに拾われた。
俺がなぜ瀕死の重傷をおったのかを話すと長くなるのでここでは割愛する。いつか機会があれば俺の人生いや猫生について語ってもいいだろう。
俺を拾ってくれたお母さんの献身的な介護で回復した俺はこの家の飼い猫になり、お母さんと二人、いや、一人と一匹の穏やかな生活を送っていた。
おばさんはベイエリアの高層マンションでお気楽一人暮らしだったが、ちょくちょく実家に戻っては俺を構い倒した。
お母さんとの穏やかな生活は10年ほどで終わりを迎えた。
お母さんは床につくことが多くなり、買い物や俺の食事の準備を忘れるようになった。
そんな異変に気づいたおばさんは自分のマンションに一緒に住むことを提案する。
お母さんは住み慣れた街を離れたくないと首を横に振った。
おばさんは親孝行だった、そして行動力の人だった。
2週間でマンションを売り、その間に実家のリフォームをし、1ヶ月後には引っ越してきた。
そうして穏やかだった一人と一匹の生活は、賑やかな二人と一匹の生活にシフトした。
お母さんは、おばさんと同居するようになり見違えるほど元気になっていった。
おばさんは相変わらず忙しく、夜も飲み歩いていたが、週末はお母さんと過ごすようにしていた。
しかし死は生きとし生けるもの全てに平等におとずれる。
賑やかな二匹と一匹の生活は5年で幕を閉じ、また一人と一匹の穏やか生活へとシフトした。
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