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第72話 アマラという少年
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村の人たちに戻るよう伝えた後、僕とリーネは倒したオーガの回収作業に回っていた。僕とリーネの負担が大き過ぎるので、龍炎光牙は後の雑事は何もしなくていいということになった。
回収を終え、僕とリーネが木陰で休んで水を飲んでいるとあのアマラが話しかけてきた。
「おい、お前らやるじゃんか。俺のパーティに入らないか? お前らとならSランクだって夢じゃないわ」
「悪いけど遠慮させてもらうよ。それより君の仲間は全く働いてないけど、どうして?」
実力が足りないから何もできないのはわかる。でもそれなら勝てそうだと判断したら村人に声をかけて待機してもらうとか、回復の必要な仲間にポーションを配りに行くとか出来なかったのか。
単に経験値が欲しいから動けないオーガだけ攻撃したり、遠くから石を投げてぶつけただけ。みんな参戦したら死ぬのわかっていたから何も言わないだけで、普通の討伐だと絶対揉めるよね。
「あん? その分俺がやるからいいんだよ。今回のことでレベルも上がったろうしな。それにお前らが入るなら要らないだろ?」
「ルウは入らないって言ったよね? 聞こえてないの? あなたの仲間が役に立ててないのはあなたのせいじゃない」
その言い草に腹が立ったのか、リーネが口を挟んだ。ちょっと珍しいかも。よっぽど気に入らないんだね。
「なんでだよ」
「あなたの仲間、恩恵持っていないらしいじゃない。それでDランクなんて詐欺だわ」
「しょうがねぇだろ。お前らもストリートチルドレンだったならわかるだろ? 後輩たちを食わすのに金が要るんだよ」
「そうね。で、あなたの後輩たちはお金稼いでないの? 」
うん、これは僕も思った。ある程度自活できるから援助は可能な範囲で。お金があっても後輩たちの自活力を奪わないこと。これが暗黙のルールのはずなんだよね。自分で稼げないうちから豪華な食事に慣れると粗末なご飯が喉を通らなくなる。これは僕らも一緒で、結成当時のあの不味い飯は今でも食えないこともないけど、美味しくは無い。
「俺が稼いでいるんだ。必要ないだろ」
「呆れた。ちゃんとみんなでお金を稼がないなら何をしているのよ。読み書き出来るのに教えていないみたいだし」
読み書きが出来れば魔法を覚えて援護も出来るようになるのにね。なんでしないんだろ。
「うるっせーな、もういいよ。可愛いからって調子にのんなよ!」
「あんたに言われても嬉しくない! べーッ!」
アマラが声を荒げてリーネに文句を言うと、負けずにリーネもお呼びじゃないと舌を出してアマラを拒否する。
アマラが立ち去るのを待っていたのか、テミスさんとリオネッセさんがやって来た。サルヴァンとアレサも一緒だ。
「凄い言い合いだったな。リーネ、言い寄られているのか?」
「引き抜きもかけてたよ。バカみたい」
「そうなのか。奴はストリートチルドレンの暗黙のルールを知らんのか?」
「知らないんじゃない? 後輩たちに自活させてないみたいだし」
ストリートチルドレンの冒険者には暗黙のルールがある。
1つ。どんなにお金を稼げても、後輩たちの生活力を奪う援助はしない。やるなら最後まで責任を持つこと。
1つ。冒険者としてパーティを組んだなら、絶対に引き抜きに応じてはならない。応じるのであれば二度と顔を合わせない覚悟をもつこと。
1つ。仲間を騙してはならない。苦楽を共にしてきた仲間を売ってはいけない。
1つ。受けた恩は必ず返せ。仲間内なら何も本人に返さなくても良い。後輩たちを育てることもまた恩返しになると思うべし。
これを破る者はコミュニティを追い出され、二度とその仲は戻らない覚悟が必要だ。
「ま、他所のコミュニティだからな。俺たちが口を出すことじゃないさ。頼ってきたなら力になってやればいい。それより、リオネッセさんとテミスさんが話があるそうだ」
サルヴァンが話を締めると、アレサとサルヴァンが僕らの隣に座る。そしてその前にリオネッセさんとテミスさんが座った。
「あのアマラって子は知り合いではないのね。良かったわ」
「そうですねぇ~。まだそうと決まったわけではないですが~」
「何の話です?」
「今から話すことはクラン以外の人に話してはダメよ? 本当ならクランハウスで話すべきなんだろうけど、関わった今の方がいいと思ったから」
2人の表情は真剣だ。あのアマラって奴、妙な感じがしたし鑑定すれば良かったな。まだ機会はあるだろうし、後でしてみるか。無声発動でこっそりやれば大丈夫だろう。
「今から話すことに大声で反応、反論はしないようにお願いね」
テミスさんが先に注意事項を伝えると、僕たちは静かに頷いた。
「あのアマラって子は恐らく、魔神ドレカヴァクの関係者、それも契約をしている可能性がありますね」
「……?」
確かに変な感じはしたけど、そこまで大げさな話になるの?
それに2年前に倒したはずじゃ?
と疑問に思ったのだが、アレクさんの言葉を思い出す。「この話には続きがある」と、そして「いつか僕たちの力が必要になる」と。
そして2人が話す内容は、僕たちに無関係と言える話では決してなかったんだ……。
回収を終え、僕とリーネが木陰で休んで水を飲んでいるとあのアマラが話しかけてきた。
「おい、お前らやるじゃんか。俺のパーティに入らないか? お前らとならSランクだって夢じゃないわ」
「悪いけど遠慮させてもらうよ。それより君の仲間は全く働いてないけど、どうして?」
実力が足りないから何もできないのはわかる。でもそれなら勝てそうだと判断したら村人に声をかけて待機してもらうとか、回復の必要な仲間にポーションを配りに行くとか出来なかったのか。
単に経験値が欲しいから動けないオーガだけ攻撃したり、遠くから石を投げてぶつけただけ。みんな参戦したら死ぬのわかっていたから何も言わないだけで、普通の討伐だと絶対揉めるよね。
「あん? その分俺がやるからいいんだよ。今回のことでレベルも上がったろうしな。それにお前らが入るなら要らないだろ?」
「ルウは入らないって言ったよね? 聞こえてないの? あなたの仲間が役に立ててないのはあなたのせいじゃない」
その言い草に腹が立ったのか、リーネが口を挟んだ。ちょっと珍しいかも。よっぽど気に入らないんだね。
「なんでだよ」
「あなたの仲間、恩恵持っていないらしいじゃない。それでDランクなんて詐欺だわ」
「しょうがねぇだろ。お前らもストリートチルドレンだったならわかるだろ? 後輩たちを食わすのに金が要るんだよ」
「そうね。で、あなたの後輩たちはお金稼いでないの? 」
うん、これは僕も思った。ある程度自活できるから援助は可能な範囲で。お金があっても後輩たちの自活力を奪わないこと。これが暗黙のルールのはずなんだよね。自分で稼げないうちから豪華な食事に慣れると粗末なご飯が喉を通らなくなる。これは僕らも一緒で、結成当時のあの不味い飯は今でも食えないこともないけど、美味しくは無い。
「俺が稼いでいるんだ。必要ないだろ」
「呆れた。ちゃんとみんなでお金を稼がないなら何をしているのよ。読み書き出来るのに教えていないみたいだし」
読み書きが出来れば魔法を覚えて援護も出来るようになるのにね。なんでしないんだろ。
「うるっせーな、もういいよ。可愛いからって調子にのんなよ!」
「あんたに言われても嬉しくない! べーッ!」
アマラが声を荒げてリーネに文句を言うと、負けずにリーネもお呼びじゃないと舌を出してアマラを拒否する。
アマラが立ち去るのを待っていたのか、テミスさんとリオネッセさんがやって来た。サルヴァンとアレサも一緒だ。
「凄い言い合いだったな。リーネ、言い寄られているのか?」
「引き抜きもかけてたよ。バカみたい」
「そうなのか。奴はストリートチルドレンの暗黙のルールを知らんのか?」
「知らないんじゃない? 後輩たちに自活させてないみたいだし」
ストリートチルドレンの冒険者には暗黙のルールがある。
1つ。どんなにお金を稼げても、後輩たちの生活力を奪う援助はしない。やるなら最後まで責任を持つこと。
1つ。冒険者としてパーティを組んだなら、絶対に引き抜きに応じてはならない。応じるのであれば二度と顔を合わせない覚悟をもつこと。
1つ。仲間を騙してはならない。苦楽を共にしてきた仲間を売ってはいけない。
1つ。受けた恩は必ず返せ。仲間内なら何も本人に返さなくても良い。後輩たちを育てることもまた恩返しになると思うべし。
これを破る者はコミュニティを追い出され、二度とその仲は戻らない覚悟が必要だ。
「ま、他所のコミュニティだからな。俺たちが口を出すことじゃないさ。頼ってきたなら力になってやればいい。それより、リオネッセさんとテミスさんが話があるそうだ」
サルヴァンが話を締めると、アレサとサルヴァンが僕らの隣に座る。そしてその前にリオネッセさんとテミスさんが座った。
「あのアマラって子は知り合いではないのね。良かったわ」
「そうですねぇ~。まだそうと決まったわけではないですが~」
「何の話です?」
「今から話すことはクラン以外の人に話してはダメよ? 本当ならクランハウスで話すべきなんだろうけど、関わった今の方がいいと思ったから」
2人の表情は真剣だ。あのアマラって奴、妙な感じがしたし鑑定すれば良かったな。まだ機会はあるだろうし、後でしてみるか。無声発動でこっそりやれば大丈夫だろう。
「今から話すことに大声で反応、反論はしないようにお願いね」
テミスさんが先に注意事項を伝えると、僕たちは静かに頷いた。
「あのアマラって子は恐らく、魔神ドレカヴァクの関係者、それも契約をしている可能性がありますね」
「……?」
確かに変な感じはしたけど、そこまで大げさな話になるの?
それに2年前に倒したはずじゃ?
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そして2人が話す内容は、僕たちに無関係と言える話では決してなかったんだ……。
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