【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ

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第86話 《アマラの視点》死体の巨神兵

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 (ちっ、あの聖女とやらのパーティはまだ来やがらねぇのか。やれやれ、これでこの街の壊滅は確定か)

 今やオルベスタは死の街になっちまった。闇ギルドの奴らまで皆殺しにする必要あったのかよ?
    俺の周りには沢山の死体が転がっていた。キャドベルの奴が沢山死体が欲しい、とか言い出して殺し始めたからだ。俺も殺してるが仕方ないよな。残しておけば使い道もあったろうに。

 生き残った闇ギルドの人間は俺と元教団幹部のレイモンだけじゃねーか、ったくよぉ。あの村を滅ぼしてから既に4日かぁ……。魔力の高そうな女がいたから1人隠しておいたんだが、結局回収できなかったな。生贄にしたかったのによぉ。ツイてねーぜ。

 ムシャムシャムシャムシャ……。

 ドレカヴァクは相変わらずガキを食い散らかしてるしな。ほんと、よく食うぜ。なんかもう慣れちまって見ながらでも飯食えるわ。

「で、これからどうするんです?   ドレカヴァク様」
「ん~?    そうだな、大分力も戻ったしな。とりあえずはこの街の人間は皆殺しだな。お前とレイモンは生かしておいてやる」
「死体の数も大分揃いましたからねぇ。大量の死者の軍隊をもって、アプールを攻めてもいいかもしれませんなぁ」
「……聖女は始末できたのか?」
「いえ、失敗したようですね。もう警戒されていて手が出せないようです」
「ちっ、使えねーな。ま、なんとかなるだろう。勝つ算段はあるからな」

 ドレカヴァクは自信家のようだな。聖女も厄介だが、俺はあのルウって奴が不気味だ。噂じゃあいつは他人の魔力を回復したり魔法を強化できる、なんて話もある。ま、教えてやんねーけどな。

「よし、アマラ。お前に仕事をやる。教会の人間どもを半殺しにしてこい。いいな、半殺しだぞ。なるべく殺すな」
「?    わかった。エクソシストどもなんざ敵じゃねえ。任せろ」

 殺すな……?
 何考えてやがる。他は殺して教会の人間は半殺しだと……?




 やれやれ、やっと教会についたか。街の家屋はほとんど破壊されていたが、神殿周辺は綺麗なもんだ。こっちの手勢はレイスが中心だったからエクソシストどもには対抗できなかったようだな。

「お、お前は確かドレカヴァクの仲間!   1人で来るとはいい度胸だな!」

 神殿の前で警備をしていたエクソシストどもか。対人苦手なくせに。アンデッドには強いようだが、デーモンにはどうなんだ?
 そ、れ、と。1人じゃねーんだなこれが。ドレカヴァクならその辺に隠れてるよ。

召闇サモンダークネス!    出ろ、カオススポーン!」

 俺の呼びかけに応え、魔法陣から発生した闇が収束する。その闇から生まれたのは真っ黒なぶよぶよの肉。まるで地肌の真っ黒な鳥が羽根をむしり取られたかのような、おぞましい姿の悪魔だ。

 しかも不気味なことに、あちこちに目やら口がある。こんなのが宙に浮かんでいるんだからな。そりゃ驚くってもんだろ。

「な、なんだこいつは!」
「こいつはカオススポーン!    グレーターデーモンの一種でな。攻撃力は大したことは無いが、厄介な特性を持つのさ」

 カオススポーンが息を吐く。こいつはただの息じゃねえ。この息を吸うだけで非致死性の毒、麻痺にやられ、目眩と吐き気、頭痛にやられてしまうのさ。舌も痺れるから魔法も使えねぇだろ?

「そんなもの!    厄災からの保護アンチカラミティ!」
「無駄だ」

 カオススポーンの目が見開く。こいつの魔眼は魔法の組成を破壊するのさ。3秒睨むだけで無効化だぜ?
 そして毒息だ。防護魔法を破壊され、エクソシストどもが次々と倒れていく。死にゃしねーから安心しろ。
    さて、中へ入るとするか。こいつらはドレカヴァクがなにかに使うんだろうな。

 神殿の中に入るとエクソシストどもが集まってきた。攻撃もせずに警告とか馬鹿じゃねえの?

「止まれい!   止まらんと……!」
死滅陣イービルデッド
「「「ギャーーーッ!!」」」

 聞く耳もたねーよ、バーカ。ほれ、カオススポーンは毒息を吐いて動けなくしろ。俺が命令するとカオススポーンのくっさい口から毒息が飛ぶ。肺があるのかは知らねーけど、ほんと真っ直ぐ飛ぶんだな。

「ぐああうっ……!」
「ひゃ、ひゃひゃひゃひゃ(か、身体が
 )!?」

 何言ってるかわかんねーな。ま、すぐにドレカヴァクに回収されるだろ。

「カオススポーン、中を動き回って毒をたっぷり垂れ流してこい」

 もう後はこいつに任しときゃいいだろ。あーめんどくせぇ。俺は踵を返して神殿の外に出る。すると先程麻痺させたエクソシストどもがフラフラと歩いていた。ドレカヴァクの近くを歩いているのだが、目の焦点が合っていないな。

「なにしたんですこれ?」
「ああ、こいつらを生きたまま操っているのさ。こいつらに光膜ライトフィルムを使わせたくてな」

 ドレカヴァクはニヤニヤしながら歯をむき出しにして笑う。口の開き方が半月のようだし目は笑ってねーしで気持ち悪いな。

「なるほど、膜系は同属性に強い耐性を与えますからね。しかしどうやって操っているんですか?」
「少しめんどいが、自我を破壊した後にドルージっていう悪霊を取り付かせたのさ。こいつは取り付いた相手の魔法や能力を使えるからな。ただ、生きてないとダメだが」

 便利なようで使いにくそうだな。

「そうなんですね。今は神殿の中をカオススポーンが暴れ回ってますからね。今頃みんなぶっ倒れているはずです」
「そうか、ならそいつらも取り込むとするかな。キャドベルにも使わせてやるか」

 ドレカヴァクは神殿の中へ入っていった。これでこの街の教会勢力も壊滅だな。この街の人間はほとんど殺されちまうわけか。

 キャドベルは食わなかった死体を一生懸命1箇所に集めていたな。一体何をするつもりなんだか。




 そしてその理由を俺はその夜知ることになった。

「どうだぁ?    こいつはご機嫌だろ?」
「ええ、私も頑張った甲斐があったというものです」

 ドレカヴァクの周りには数多くの死体だ。しかもそれが集まって巨人のようなでかいサイズになっている。あの高さだとオーガの7倍くらいありそうだぜ。

「くくっ、どうだ。この死体で出来た巨神兵にはエクソシストどももいる。奴に聖なる盾セイントシールドを使わせれば浄滅魔法にも対抗できるはずだ。待ってろよライミスぅぅっ!    絶対ぶっ殺してやるからな!」

 火で燃やせば良さそうだけど、それはドレカヴァクが防ぐよな。こりゃいよいよもって人類滅亡か?

「素晴らしいですぞ、ドレカヴァク様!   さぁ、あの憎き英雄を殺しに行きましょう!」

 死体の巨神兵と化したドレカヴァクが1歩進む。それだけで地鳴りが起きた。瓦礫と化した家は崩壊し、お構い無しに踏み潰して街の外を目指すようだ。その周りを取り込み切れなかったゾンビどもや悪霊達がつきまとっている。

 いよいよ決戦か……。俺としてはドレカヴァクが負けるのを期待して、逃げる準備もしておかないとな。ま、少しくらいは戦わないとダメだろうが。
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