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第88話 開戦
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次の日の午前10時頃には数多くの冒険者たちや教会のエクソシスト、そして王国の騎士団が集結していた。どれだけの数がいるのかは知らないけど、できるだけ死んで欲しくないなぁ。
僕達龍炎光牙と勇猛、神撃は最前線に位置している。部隊の指揮を執ることになっている王子殿下も一緒だ。王子殿下に怪我をさせる訳にはいかないからね。僕らは最初は護衛という立場になるそうだ。
殿下の号令で部隊が動き始める。王子殿下は当然騎乗しての進軍で、高そうで立派な鎧を身につけていた。街道に沿って行けばオルベスタには到着するんだけど、その周りはひたすら草原が広がっている。今は草木の良い香りがするんだけど、アンデッドが現れたら一気に臭くなるのか。
「接敵は早くても明日のはずだ。オルベスタまでは徒歩3日だからね」
初日は接敵もなく終わった。今は神撃、勇猛と僕達に王子殿下とそのその側近たちまで加わっての夜食だ。食糧に関してはクランメンバー全員が1ヶ月食っていけるだけのストックがあるので問題は無い。
テントは草原の中、至る所に張られている。お偉い様のテントはやはり大きく、冒険者達の用意するものよりも立派だ。
「つまり向こうが兵を出していれば明日接敵の可能性がある、ということか。ライミス、今度こそは滅ぼせるのだろうな?」
「ええ、お任せ下さい殿下。今度は逃がしませんとも」
「そうか、頼むぞ。以前は首だけ逃げられたそうだからな」
ライミスさん達勇猛は常に殿下の傍にいることになっている。僕らは少し離れて食事。一緒とか緊張しすぎでご飯が喉を通らなくなるからね。それに身分が違いすぎる。間違って不敬を働いたら大変なので、あえて距離を取らせてもらっている。
「あまり自分たちを卑下するな」と王子殿下直々に言われてしまったけど、身分の壁は絶対的な壁だと思う。上に立っているから言える言葉に過ぎないと思う。
「なぁ、ルウ。もしアマラと会ったら、俺たちはどうすべきだと思う?」
「そうだね、彼は恐らく許されないことをしたと思う。奴に法の裁きを与えるのは無理だ。護法取締所では奴を拘束することは不可能だと思う」
あいつは恐らくもう戻れないだろう。別に仲が良かった訳でもないが、同じ出自だと、思うところはできてしまう。それでも決断は必要だと思う。
「そうだな。ならそれは俺の役目だ。俺はリーダーだ。皆に予め命令する。最悪を躊躇うな。わかるな?」
サルヴァンが全員を見渡して告げる。最悪を躊躇うな。これは手を汚すことを躊躇うなという意味だ。
「……わかった。だがお前の決定と言えど、お前一人に背負わすつもりはないし、元より躊躇うつもりもない」
アレサが焚き火に薪をくべながら決意を口にする。火はパチパチと音を立てて燃えており、暗がりの中僕たちを照らしていった。
次の日も進軍は続いていた。もちろん休憩は取りながらではあるが、それでも着実にオルベスタに近づいている。
「遠くにゾンビと思われる集団を発見しました!」
「よし、エクソシスト部隊を前に。第5小隊までの騎士隊はそれぞれエクソシストの壁になれ。他は待機だ」
「はっ!」
殿下の命令でエクソシスト達が前に。そして騎士達がそれよりも先行して前へ出る。陣形が整ったところで再び進軍を開始した。
騎士たちが大地を踏みしめて歩き出す。エクソシスト達の錫杖を鳴らす音が響き、静寂は破られた。
「ま、ゾンビ共など楽勝だろう」
「その通りでございます殿下」
まぁ、実際ゾンビなら楽勝だろう。ただドレカヴァクもバカじゃないはずだ。何の対策もしていないとは思えないけど。
しばらくすると前線部隊が慌ただしく動き始める。僕らは待機なので見ているだけだ。僕じゃ背が低くて前がどうなっているのか全くわからない。そうだ、飛翔魔法を封じ込めた魔石があったな。
「ちょっと様子を見てみるね。飛翔!」
「ああ、何かあったら知らせてくれ」
飛翔魔法を解放し、空に浮かぶ。眼下にはゾンビどもを蹴散らすエクソシストたち。その浄滅魔法でもってゾンビたちを土に帰している。その奥の方にもゾンビ達がいた。そしてその中に明らかにゾンビじゃないモンスターが混じっていた。あれはレッサーデーモンというヤツではないだろうか?
ちょっと遠いのでわかりにくいけど、肌色が違いすぎる。腕も4本あり、羊みたいな顔に見えるんだけど。レッサーデーモンならエクソシストの出番なのかな?
それになんか変な真っ黒い肉の塊みたいなのもいる。なんだありゃ?
僕は下に降りるとその事をライミスさんに伝える。
「宙に浮く黒い肉の塊? うーん、もしかしてカオススポーンかな? 接近されると面倒だけど、まだ離れているなら簡単だ」
僕の話を聞くと、ライミスさんは殿下に指示の提案を行っているようだ。指揮を執るのはあくまで殿下ってことね。
「よしテミスよ、カオススポーンの処理を任せる。自慢の弓で悪魔をねじ伏せて見せよ」
「はっ! お任せ下さい殿下」
殿下の命令にテミスさんが跪いて応える。テミスさんに用意した矢は僕の特別製だ。1番強力なのはリオネッセさんの審判だからね。他にも浄滅を封じた矢もある。こちらは量産型なので多数用意してあるのだ。
「飛翔!」
テミスさんが飛翔魔法で上昇する。僕も見物がてら上昇だ。そして宙に浮いたまま矢を番える。使うのは浄滅の矢の方だ。
弓を引き絞り、狙いを定める。
「スキル、ターゲティング!」
第一射を放つ。そして間髪入れず第二射、三射と矢継ぎ早に矢を番え、次々と放つ。
第一射目がカオススポーンの目に刺さったようだ。そして光の柱に包まれる中、第二第三と突き刺さっていく。そして第四射目は別のカオススポーンの目を捕え、次々と刺さっていった。1度狙えば適当に撃っても当たるので、こんな芸当ができるのだとか。それむちゃくちゃ強ない?
「カオススポーンは全滅かしら? レッサーデーモン程度ならエクソシスト達で十分なはずよ。降りましょう」
「はい」
強化いるかな、と思ったけど不要だったみたい。これだと厄介なやつはほとんどテミスさんが処理できそうな気がするよ。
僕達龍炎光牙と勇猛、神撃は最前線に位置している。部隊の指揮を執ることになっている王子殿下も一緒だ。王子殿下に怪我をさせる訳にはいかないからね。僕らは最初は護衛という立場になるそうだ。
殿下の号令で部隊が動き始める。王子殿下は当然騎乗しての進軍で、高そうで立派な鎧を身につけていた。街道に沿って行けばオルベスタには到着するんだけど、その周りはひたすら草原が広がっている。今は草木の良い香りがするんだけど、アンデッドが現れたら一気に臭くなるのか。
「接敵は早くても明日のはずだ。オルベスタまでは徒歩3日だからね」
初日は接敵もなく終わった。今は神撃、勇猛と僕達に王子殿下とそのその側近たちまで加わっての夜食だ。食糧に関してはクランメンバー全員が1ヶ月食っていけるだけのストックがあるので問題は無い。
テントは草原の中、至る所に張られている。お偉い様のテントはやはり大きく、冒険者達の用意するものよりも立派だ。
「つまり向こうが兵を出していれば明日接敵の可能性がある、ということか。ライミス、今度こそは滅ぼせるのだろうな?」
「ええ、お任せ下さい殿下。今度は逃がしませんとも」
「そうか、頼むぞ。以前は首だけ逃げられたそうだからな」
ライミスさん達勇猛は常に殿下の傍にいることになっている。僕らは少し離れて食事。一緒とか緊張しすぎでご飯が喉を通らなくなるからね。それに身分が違いすぎる。間違って不敬を働いたら大変なので、あえて距離を取らせてもらっている。
「あまり自分たちを卑下するな」と王子殿下直々に言われてしまったけど、身分の壁は絶対的な壁だと思う。上に立っているから言える言葉に過ぎないと思う。
「なぁ、ルウ。もしアマラと会ったら、俺たちはどうすべきだと思う?」
「そうだね、彼は恐らく許されないことをしたと思う。奴に法の裁きを与えるのは無理だ。護法取締所では奴を拘束することは不可能だと思う」
あいつは恐らくもう戻れないだろう。別に仲が良かった訳でもないが、同じ出自だと、思うところはできてしまう。それでも決断は必要だと思う。
「そうだな。ならそれは俺の役目だ。俺はリーダーだ。皆に予め命令する。最悪を躊躇うな。わかるな?」
サルヴァンが全員を見渡して告げる。最悪を躊躇うな。これは手を汚すことを躊躇うなという意味だ。
「……わかった。だがお前の決定と言えど、お前一人に背負わすつもりはないし、元より躊躇うつもりもない」
アレサが焚き火に薪をくべながら決意を口にする。火はパチパチと音を立てて燃えており、暗がりの中僕たちを照らしていった。
次の日も進軍は続いていた。もちろん休憩は取りながらではあるが、それでも着実にオルベスタに近づいている。
「遠くにゾンビと思われる集団を発見しました!」
「よし、エクソシスト部隊を前に。第5小隊までの騎士隊はそれぞれエクソシストの壁になれ。他は待機だ」
「はっ!」
殿下の命令でエクソシスト達が前に。そして騎士達がそれよりも先行して前へ出る。陣形が整ったところで再び進軍を開始した。
騎士たちが大地を踏みしめて歩き出す。エクソシスト達の錫杖を鳴らす音が響き、静寂は破られた。
「ま、ゾンビ共など楽勝だろう」
「その通りでございます殿下」
まぁ、実際ゾンビなら楽勝だろう。ただドレカヴァクもバカじゃないはずだ。何の対策もしていないとは思えないけど。
しばらくすると前線部隊が慌ただしく動き始める。僕らは待機なので見ているだけだ。僕じゃ背が低くて前がどうなっているのか全くわからない。そうだ、飛翔魔法を封じ込めた魔石があったな。
「ちょっと様子を見てみるね。飛翔!」
「ああ、何かあったら知らせてくれ」
飛翔魔法を解放し、空に浮かぶ。眼下にはゾンビどもを蹴散らすエクソシストたち。その浄滅魔法でもってゾンビたちを土に帰している。その奥の方にもゾンビ達がいた。そしてその中に明らかにゾンビじゃないモンスターが混じっていた。あれはレッサーデーモンというヤツではないだろうか?
ちょっと遠いのでわかりにくいけど、肌色が違いすぎる。腕も4本あり、羊みたいな顔に見えるんだけど。レッサーデーモンならエクソシストの出番なのかな?
それになんか変な真っ黒い肉の塊みたいなのもいる。なんだありゃ?
僕は下に降りるとその事をライミスさんに伝える。
「宙に浮く黒い肉の塊? うーん、もしかしてカオススポーンかな? 接近されると面倒だけど、まだ離れているなら簡単だ」
僕の話を聞くと、ライミスさんは殿下に指示の提案を行っているようだ。指揮を執るのはあくまで殿下ってことね。
「よしテミスよ、カオススポーンの処理を任せる。自慢の弓で悪魔をねじ伏せて見せよ」
「はっ! お任せ下さい殿下」
殿下の命令にテミスさんが跪いて応える。テミスさんに用意した矢は僕の特別製だ。1番強力なのはリオネッセさんの審判だからね。他にも浄滅を封じた矢もある。こちらは量産型なので多数用意してあるのだ。
「飛翔!」
テミスさんが飛翔魔法で上昇する。僕も見物がてら上昇だ。そして宙に浮いたまま矢を番える。使うのは浄滅の矢の方だ。
弓を引き絞り、狙いを定める。
「スキル、ターゲティング!」
第一射を放つ。そして間髪入れず第二射、三射と矢継ぎ早に矢を番え、次々と放つ。
第一射目がカオススポーンの目に刺さったようだ。そして光の柱に包まれる中、第二第三と突き刺さっていく。そして第四射目は別のカオススポーンの目を捕え、次々と刺さっていった。1度狙えば適当に撃っても当たるので、こんな芸当ができるのだとか。それむちゃくちゃ強ない?
「カオススポーンは全滅かしら? レッサーデーモン程度ならエクソシスト達で十分なはずよ。降りましょう」
「はい」
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