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第135話 閉鎖的な村6
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二人の剣と杖が交差する。龍炎光牙剣はドラゴニウムというミスリルを超えた頑強さと魔力伝導率を誇る金属である。それこそアレサが使えば並の剣士のミスリルソードを刃ごと斬り裂くほどだ。
それを受け止められる、ということはあの杖は相当な業物なのかもしれない。どう見ても黒い木の杖にしか見えないんだけど。
「ふっ!」
アレサが気を吐き、素早く剣を振るう。セルバも負けじとその剣撃を杖で受け止めた。一合二合三合と撃ち合い、二人は同時に距離を取る。
「見事ですな。やはり手加減できる相手ではありませんでしたか」
「ふふっ、これほどの剣士と戦えるのは嬉しい限りだ」
二人とも顔のニヤけっぷりが凄い。どうやら二人ともバトルマニアらしい。
「同感ですな。ではどちらの剣の腕が上か勝負と参りますか」
「望むところ!」
そして二人はまたも撃ち合う。正直僕にはどっちが上か、とかはわからない。わかるのは二人の剣が実力伯仲だということか。
「アレサって本当に凄いわね……。私全然見えないんだけど」
「あれは俺も勝てる気しねえわ。あのセルバって奴とオレら全員だと誰かが死んでたかもしれねぇな」
ルードの言うようにその可能性は否定できない。僕も一対一だとあのセルバには必ず勝てるという保証はできないかな。サルヴァンとアレサがいるから全員でなら勝てると思うけど、ルード達ではまだセルバの速度に対応できないと思う。
そして剣を交えること数分。二人は再び距離を取り睨み合っていた。
「実に楽しい戦いでしたな。ですがそろそろ決着をつけねばなりません。お見せしましょう、これこそ全てを喰らう闇の剣、絶黒!」
セルバがススーッと杖で虚空を薙ぐ。その過程で杖に闇が纏っていき、一振の剣と化した。それは言うなれば剣の形をしたどこまでも深い闇。
「おもしろい技を持っているのだな。ならば私もこの龍炎光牙剣の真の力を見せてやらねばならんな。『龍炎解放』『光牙解放』」
アレサが龍炎光牙剣の魔力を解放した。龍炎光牙剣は光の粒子に包まれ一際大きい剣となり、その剣に小さな炎の龍がまとわりついている。
「なるほど、まさに龍炎光牙ですな。ならばこの一太刀でケリが着くことでしょう」
「そうだな。感謝するぞ、私の全力を受け止めてくれ」
二人とも右肩に担ぐように剣を構える。防御など考えずただ全力で振るうことしか考えていないのか。つまりこれは力の勝負。僕の作った最高傑作、龍炎光牙剣が負けるはずがない!
「「いざ!」」
二人が同時に叫び、前に出た。そしてお互いの剣が交差する。光と闇がぶつかり合いお互いを侵食しようと闇が深さを増し、光はなおも強く輝く。
「解放、強化!」
「なにぃっ!?」
そしてアレサの奥の手が炸裂した。
それは光の剣の威力の強化。それを普段からスキル魔法保持によりストックしているのだった。
光はその輝きをさらに強め、闇の剣を破壊する。そしてその勢いのまま光の剣がセルバの左肩から肉体を斬り裂いた。
「……お見事!」
セルバは満足したようにニヤリと笑った。そして炎の龍がその身を炎で包み込む。炎に巻かれ、セルバは膝をついたかと思うとそのまま前へと倒れた。
「いい勝負だった。お前の名、終生忘れないと誓おう」
アレサは龍炎光牙剣の魔力解放を止め、地面に突き立てた。そして片膝をつき、セルバの前で両手を組む。
「そんな、守り神様が……!」
「よくも、よくも守り神様を!」
自分でけしかけておいて随分勝手だよね。正直ちょっとムカつくけど気持ちは理解出来ないこともない。悪魔ではあるが、セルバは村の皆に慕われていたのかもしれない。
ただ勝てないことがわかっているのか、巫女さんも村長も息子も地にすがりついて涙を流すだけだった。
だけど残念ながらセルバはもうその命が尽きているだろう。燃え尽きてしまっては蘇生魔法だって使えないのだ。
セルバのいた所には虹色に輝く魔石が落ちていた。爵位級悪魔の持つ魔石には他の魔石にはない特徴がある。それは魔石に名前が刻まれている点だ。
「これはセルバの魔石か……。これは村人に返すべきだろうな」
「待ってアレサ。試したいことがあるんだ」
アレサが魔石を拾い、村人に返そうとしてので待ったをかける。魔石に名前が刻まれている、ということはこの魔石はセルバそのものなのではなかろうか。ならばもしかしたら悪魔じゃない別の魔法生物として復活させることもできるかもしれない。
「ルウ、どうするんだ?」
「うん、ルカの魔法生物化のスキルを使ってみようと思うんだ」
「ほぅ……?」
僕の考えを理解したのかアレサが嬉しそうにはにかむ。そして僕にセルバの魔石を手渡した。
「ルカ、ちょっと協力してくれないかな」
「いいけど……。どうするの?」
僕はみんなの所に戻り、早速ルカにお願いをしてみた。
「僕の審判を魔法生物化してほしい」
「え? 他人の魔法には使えないんだけど」
ルカはちょっと困ったように答える。それは知ってるんだけどね。
「そこは僕の拡大解釈で干渉するからどうとでもなるよ。さて、その前にこの魔石を錬成しておかないとね」
王立魔導研究所で作った錬成魔法の魔晶石を取り出し、魔石を錬成する。すると虹色の球体はよりクリアな輝きを帯びた。これで魔力の自然回復が見込めるようになるのだ。
そしてセルバの魔晶石を地面に置き、指差してルカに伝える。
「じゃあ、せーので同時にね。スキル名を口に出して欲しい。それと姿はあのセルバと同じ姿でね」
「うん、わかった」
「「せーの」」
「審判」
「魔法生物化!」
今だ!
ルカのスキルに干渉し、魔法生物化の範囲を拡大解釈する。他人の魔法にも干渉可!
そして付与でセルバの魔晶石を魔法生物化した審判に与えるのだ。これが上手くいくならとんでもないことだけどね。
それでも光輝くセルバの姿をした魔法生物から光が消え、黒い執事服を纏った老紳士へと色づいていった。
そしてその目が開かれる。
「まさか再びこの地を踏みしめるとは思いませんでしたな……」
深い闇色の目ではなく人と同じ目をしたセルバがニッコリと微笑んでいた。
それを受け止められる、ということはあの杖は相当な業物なのかもしれない。どう見ても黒い木の杖にしか見えないんだけど。
「ふっ!」
アレサが気を吐き、素早く剣を振るう。セルバも負けじとその剣撃を杖で受け止めた。一合二合三合と撃ち合い、二人は同時に距離を取る。
「見事ですな。やはり手加減できる相手ではありませんでしたか」
「ふふっ、これほどの剣士と戦えるのは嬉しい限りだ」
二人とも顔のニヤけっぷりが凄い。どうやら二人ともバトルマニアらしい。
「同感ですな。ではどちらの剣の腕が上か勝負と参りますか」
「望むところ!」
そして二人はまたも撃ち合う。正直僕にはどっちが上か、とかはわからない。わかるのは二人の剣が実力伯仲だということか。
「アレサって本当に凄いわね……。私全然見えないんだけど」
「あれは俺も勝てる気しねえわ。あのセルバって奴とオレら全員だと誰かが死んでたかもしれねぇな」
ルードの言うようにその可能性は否定できない。僕も一対一だとあのセルバには必ず勝てるという保証はできないかな。サルヴァンとアレサがいるから全員でなら勝てると思うけど、ルード達ではまだセルバの速度に対応できないと思う。
そして剣を交えること数分。二人は再び距離を取り睨み合っていた。
「実に楽しい戦いでしたな。ですがそろそろ決着をつけねばなりません。お見せしましょう、これこそ全てを喰らう闇の剣、絶黒!」
セルバがススーッと杖で虚空を薙ぐ。その過程で杖に闇が纏っていき、一振の剣と化した。それは言うなれば剣の形をしたどこまでも深い闇。
「おもしろい技を持っているのだな。ならば私もこの龍炎光牙剣の真の力を見せてやらねばならんな。『龍炎解放』『光牙解放』」
アレサが龍炎光牙剣の魔力を解放した。龍炎光牙剣は光の粒子に包まれ一際大きい剣となり、その剣に小さな炎の龍がまとわりついている。
「なるほど、まさに龍炎光牙ですな。ならばこの一太刀でケリが着くことでしょう」
「そうだな。感謝するぞ、私の全力を受け止めてくれ」
二人とも右肩に担ぐように剣を構える。防御など考えずただ全力で振るうことしか考えていないのか。つまりこれは力の勝負。僕の作った最高傑作、龍炎光牙剣が負けるはずがない!
「「いざ!」」
二人が同時に叫び、前に出た。そしてお互いの剣が交差する。光と闇がぶつかり合いお互いを侵食しようと闇が深さを増し、光はなおも強く輝く。
「解放、強化!」
「なにぃっ!?」
そしてアレサの奥の手が炸裂した。
それは光の剣の威力の強化。それを普段からスキル魔法保持によりストックしているのだった。
光はその輝きをさらに強め、闇の剣を破壊する。そしてその勢いのまま光の剣がセルバの左肩から肉体を斬り裂いた。
「……お見事!」
セルバは満足したようにニヤリと笑った。そして炎の龍がその身を炎で包み込む。炎に巻かれ、セルバは膝をついたかと思うとそのまま前へと倒れた。
「いい勝負だった。お前の名、終生忘れないと誓おう」
アレサは龍炎光牙剣の魔力解放を止め、地面に突き立てた。そして片膝をつき、セルバの前で両手を組む。
「そんな、守り神様が……!」
「よくも、よくも守り神様を!」
自分でけしかけておいて随分勝手だよね。正直ちょっとムカつくけど気持ちは理解出来ないこともない。悪魔ではあるが、セルバは村の皆に慕われていたのかもしれない。
ただ勝てないことがわかっているのか、巫女さんも村長も息子も地にすがりついて涙を流すだけだった。
だけど残念ながらセルバはもうその命が尽きているだろう。燃え尽きてしまっては蘇生魔法だって使えないのだ。
セルバのいた所には虹色に輝く魔石が落ちていた。爵位級悪魔の持つ魔石には他の魔石にはない特徴がある。それは魔石に名前が刻まれている点だ。
「これはセルバの魔石か……。これは村人に返すべきだろうな」
「待ってアレサ。試したいことがあるんだ」
アレサが魔石を拾い、村人に返そうとしてので待ったをかける。魔石に名前が刻まれている、ということはこの魔石はセルバそのものなのではなかろうか。ならばもしかしたら悪魔じゃない別の魔法生物として復活させることもできるかもしれない。
「ルウ、どうするんだ?」
「うん、ルカの魔法生物化のスキルを使ってみようと思うんだ」
「ほぅ……?」
僕の考えを理解したのかアレサが嬉しそうにはにかむ。そして僕にセルバの魔石を手渡した。
「ルカ、ちょっと協力してくれないかな」
「いいけど……。どうするの?」
僕はみんなの所に戻り、早速ルカにお願いをしてみた。
「僕の審判を魔法生物化してほしい」
「え? 他人の魔法には使えないんだけど」
ルカはちょっと困ったように答える。それは知ってるんだけどね。
「そこは僕の拡大解釈で干渉するからどうとでもなるよ。さて、その前にこの魔石を錬成しておかないとね」
王立魔導研究所で作った錬成魔法の魔晶石を取り出し、魔石を錬成する。すると虹色の球体はよりクリアな輝きを帯びた。これで魔力の自然回復が見込めるようになるのだ。
そしてセルバの魔晶石を地面に置き、指差してルカに伝える。
「じゃあ、せーので同時にね。スキル名を口に出して欲しい。それと姿はあのセルバと同じ姿でね」
「うん、わかった」
「「せーの」」
「審判」
「魔法生物化!」
今だ!
ルカのスキルに干渉し、魔法生物化の範囲を拡大解釈する。他人の魔法にも干渉可!
そして付与でセルバの魔晶石を魔法生物化した審判に与えるのだ。これが上手くいくならとんでもないことだけどね。
それでも光輝くセルバの姿をした魔法生物から光が消え、黒い執事服を纏った老紳士へと色づいていった。
そしてその目が開かれる。
「まさか再びこの地を踏みしめるとは思いませんでしたな……」
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