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第154話 緊急会談
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「……というようなことがあったのだ」
「……なんということだ!」
教皇聖下の話を聞いた国王陛下は頭を抱え机を叩きつけた。皆が黙って話を清聴していた中、苛立ちを告げる音だけが強く響いた。無理もない。事態は予想したよりも早く、より最悪な方向に向かっていたのだから。
王城の小会議室で行われた非公式の会談ではあるが、集まっているメンバーは僕らを除けば国の中枢にいる人ばかりだ。
国王陛下、宰相閣下、ライミスさんに王太子殿下と教皇聖下御一行。そんな中で僕らは貴族ですらない平民だ。場違い感が凄いけど参加しないわけにはいかない。なにせ龍神ザルス様直々に救世主に任命されちゃってるからだ。
「ですが希望はあるのですよね?」
「確かに希望はありますとも。我が国には神々の修練場たるダンジョンを踏破した龍炎光牙もおりますし、そして龍神ザルス様直々に鍛えていただいたライミス達のような精鋭もおります」
国王陛下が僕達を見る。ダンジョンを踏破したという話を聞いて教皇聖下達も目を見開いて僕たちを見た。
「それなら勝てるのではないか? しかしまさか初代様以外に踏破する者が現れるとは思わなかったな」
「秘密にしていたのでございます。下手に知られて奴らを警戒させるのは得策ではありませんでしたからな」
そうなのだ。僕達はニーグリ達に見逃されている、という状況だったからね。変に警戒させて攻め入られると甚大な被害が出てしまう。だから箝口令を敷いてもらっていたんだよね。
「なるほど。それで決戦の準備は整っているのかな?」
「ええまぁそうですね。ルウよ、例の部隊の進捗はどうだ?」
教皇聖下が当然のように聞いてくる。普通は秘密裏に準備を進めてると思うよね。実際に色々準備しておりますとも。
「はい。実戦データも取れていますので、すぐにでも実戦投入可能です」
正直これを作っていいものか迷いはあったんだけどね。でもそれを渋って人類が敗北しましたではシャレにならない。だから自重とかそんなもん全部捨て去って最強の部隊を創り出したのだ。さすがにザルス様から特別な事情が無い限り運用禁止、と釘を刺されちゃったよ。
「そうか、それは良かった。誓約通りこの部隊は国難時や人類の守護を目的以外には使わないから安心してくれ」
「はい、よろしくお願いします」
あまりに強力過ぎるため、ザルス様より使用に関する誓約の取り決めまで行われたため私的な運用はできない。
「? そんなに強力な部隊を用意したというのか。どんな部隊なのだね?」
「ルウ、説明して差し上げろ」
王太子殿下は僕に説明を丸投げする。開発者だし仕方ないのかな。
「えー、では僭越ながら説明させていただきます。今回は大量の魔族、それも爵位持ちが大勢いることが予想されたため、相応の戦力が必要になるわけです」
「前置きはいい。続けたまえ」
せっかちな人だな。ま、言われなくてもわかってある内容ではあるんだろうけど。ま、必要なことだけ喋ればいいのかな。
「はい。今回用意した部隊は人造聖霊によって編成された特殊部隊です。一体一体がレッサーデーモンやグレーターデーモン、或いは爵位持ちの悪魔に匹敵する魔力を持つ個体もいるため、非常に強力な部隊と言えましょう」
そう、あのセルバ復活がいいヒントになったんだよね。とはいえ、普通に作ると自我を持たないし、そうなると創った僕かスキルを使用したルカにしか操ることができないという欠点があったんだけど。
「人造……聖霊だと? 聖霊を作ったというのか? 召喚ではなく」
「はい。とある特殊なレアスキルを持つ仲間がいまして、その人のスキルと僕のスキルを組み合わせて創り上げました。ですが当然欠点もあります」
「どんなスキルを組み合わせたら可能なのか気になるのだが、そこは教えてはもらえぬのか?」
「作り方に関しては国の重要機密扱いとなっておりますので僕の口からは。ただ、再現性はない、とだけお伝えしておきます」
ルカと僕のスキル無しで創り上げるのは不可能だと思う。ゴーレムを創って使役するのに近いから厳密には再現性ありそうだけど。
「そうか。して、欠点とは?」
「自我を持たないため、使役する魔導士が必要になることでしょうか。量産型はどうしても自我を持たせられませんでした。ですので王国の魔導士部隊に使役させることになっております」
他の魔導士が使役できるようにするのは結構苦労した。使役契約のために必要だったのが王国が優秀な冒険者に対して行う契約魔法だったんだよね。その拡大解釈で使役契約の締結魔法というものを半ば強引に創り上げたのだ。
「量産型は? ということは自律するタイプもあるということかね?」
「ええ。自律するタイプもありますね。いずれも強力な個体で一番強いものになると伯爵級でしょうか。量産型を引き連れて統率的な行動を取らせることもできます」
統率的な行動を取れる部隊はハッキリ言って相当強力だ。レッサーデーモンは数がいても統率的な行動は取らないため意外とつけ入る隙がある。しかしこの個体が操る人造聖霊は統率された動きで命知らずに動くわけだから相当手強いはずだよね。
「それは凄いな。お主達の露払いをできるということか。再現性は本当にないのか?」
「ええ。今のところ無理ですね。出来たとしても封印しますし、ザルス様の協力も必要でしたから」
ザルス様の許可をもらっている、という点に関しては協力と言えるよね。もしこんな技術が他の人にも使えるようになって悪用されたら目も当てられないほど悲惨なことになるだろう。だから今回限りなのだ。この後はほぼ全ての技術がザルス様により封印される手はずになってたりする。一部を除いてだけどね。
「……なんということだ!」
教皇聖下の話を聞いた国王陛下は頭を抱え机を叩きつけた。皆が黙って話を清聴していた中、苛立ちを告げる音だけが強く響いた。無理もない。事態は予想したよりも早く、より最悪な方向に向かっていたのだから。
王城の小会議室で行われた非公式の会談ではあるが、集まっているメンバーは僕らを除けば国の中枢にいる人ばかりだ。
国王陛下、宰相閣下、ライミスさんに王太子殿下と教皇聖下御一行。そんな中で僕らは貴族ですらない平民だ。場違い感が凄いけど参加しないわけにはいかない。なにせ龍神ザルス様直々に救世主に任命されちゃってるからだ。
「ですが希望はあるのですよね?」
「確かに希望はありますとも。我が国には神々の修練場たるダンジョンを踏破した龍炎光牙もおりますし、そして龍神ザルス様直々に鍛えていただいたライミス達のような精鋭もおります」
国王陛下が僕達を見る。ダンジョンを踏破したという話を聞いて教皇聖下達も目を見開いて僕たちを見た。
「それなら勝てるのではないか? しかしまさか初代様以外に踏破する者が現れるとは思わなかったな」
「秘密にしていたのでございます。下手に知られて奴らを警戒させるのは得策ではありませんでしたからな」
そうなのだ。僕達はニーグリ達に見逃されている、という状況だったからね。変に警戒させて攻め入られると甚大な被害が出てしまう。だから箝口令を敷いてもらっていたんだよね。
「なるほど。それで決戦の準備は整っているのかな?」
「ええまぁそうですね。ルウよ、例の部隊の進捗はどうだ?」
教皇聖下が当然のように聞いてくる。普通は秘密裏に準備を進めてると思うよね。実際に色々準備しておりますとも。
「はい。実戦データも取れていますので、すぐにでも実戦投入可能です」
正直これを作っていいものか迷いはあったんだけどね。でもそれを渋って人類が敗北しましたではシャレにならない。だから自重とかそんなもん全部捨て去って最強の部隊を創り出したのだ。さすがにザルス様から特別な事情が無い限り運用禁止、と釘を刺されちゃったよ。
「そうか、それは良かった。誓約通りこの部隊は国難時や人類の守護を目的以外には使わないから安心してくれ」
「はい、よろしくお願いします」
あまりに強力過ぎるため、ザルス様より使用に関する誓約の取り決めまで行われたため私的な運用はできない。
「? そんなに強力な部隊を用意したというのか。どんな部隊なのだね?」
「ルウ、説明して差し上げろ」
王太子殿下は僕に説明を丸投げする。開発者だし仕方ないのかな。
「えー、では僭越ながら説明させていただきます。今回は大量の魔族、それも爵位持ちが大勢いることが予想されたため、相応の戦力が必要になるわけです」
「前置きはいい。続けたまえ」
せっかちな人だな。ま、言われなくてもわかってある内容ではあるんだろうけど。ま、必要なことだけ喋ればいいのかな。
「はい。今回用意した部隊は人造聖霊によって編成された特殊部隊です。一体一体がレッサーデーモンやグレーターデーモン、或いは爵位持ちの悪魔に匹敵する魔力を持つ個体もいるため、非常に強力な部隊と言えましょう」
そう、あのセルバ復活がいいヒントになったんだよね。とはいえ、普通に作ると自我を持たないし、そうなると創った僕かスキルを使用したルカにしか操ることができないという欠点があったんだけど。
「人造……聖霊だと? 聖霊を作ったというのか? 召喚ではなく」
「はい。とある特殊なレアスキルを持つ仲間がいまして、その人のスキルと僕のスキルを組み合わせて創り上げました。ですが当然欠点もあります」
「どんなスキルを組み合わせたら可能なのか気になるのだが、そこは教えてはもらえぬのか?」
「作り方に関しては国の重要機密扱いとなっておりますので僕の口からは。ただ、再現性はない、とだけお伝えしておきます」
ルカと僕のスキル無しで創り上げるのは不可能だと思う。ゴーレムを創って使役するのに近いから厳密には再現性ありそうだけど。
「そうか。して、欠点とは?」
「自我を持たないため、使役する魔導士が必要になることでしょうか。量産型はどうしても自我を持たせられませんでした。ですので王国の魔導士部隊に使役させることになっております」
他の魔導士が使役できるようにするのは結構苦労した。使役契約のために必要だったのが王国が優秀な冒険者に対して行う契約魔法だったんだよね。その拡大解釈で使役契約の締結魔法というものを半ば強引に創り上げたのだ。
「量産型は? ということは自律するタイプもあるということかね?」
「ええ。自律するタイプもありますね。いずれも強力な個体で一番強いものになると伯爵級でしょうか。量産型を引き連れて統率的な行動を取らせることもできます」
統率的な行動を取れる部隊はハッキリ言って相当強力だ。レッサーデーモンは数がいても統率的な行動は取らないため意外とつけ入る隙がある。しかしこの個体が操る人造聖霊は統率された動きで命知らずに動くわけだから相当手強いはずだよね。
「それは凄いな。お主達の露払いをできるということか。再現性は本当にないのか?」
「ええ。今のところ無理ですね。出来たとしても封印しますし、ザルス様の協力も必要でしたから」
ザルス様の許可をもらっている、という点に関しては協力と言えるよね。もしこんな技術が他の人にも使えるようになって悪用されたら目も当てられないほど悲惨なことになるだろう。だから今回限りなのだ。この後はほぼ全ての技術がザルス様により封印される手はずになってたりする。一部を除いてだけどね。
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