ラスボス廃棄少女は幸せになりたい

まにゅまにゅ

文字の大きさ
41 / 51
第5章 私はだぁれ?

第40話 仮面の魔人5

しおりを挟む
「すまない、少し話を整理させてもらいたい。テアはそのゾーア教団によって異能を手に入れた。それは仮面の魔人も同じ、ということで間違いないんだね?」

 レオン様が私の話の内容を確認する。頭の良いレオン様のことだ。もしかしたら私が懸念していることに気づいたのかもしれない。

「ええ、その通りです」
「ゾーア教団というのは僕はよく知らないんだけど、どんな奴らなの?」

 どんな奴らか?
 彼等の目的は人という種族を超越した存在になることだ。その種族というのが魔人らしい。魔人になる手段は手に入れたが確実になれるわけじゃないため、実験や魔神の復活によりそれを成し遂げようとしているわけだ。しかしなんで私がそれを知っているのかを問われると返答に困ってしまう。

「私もよくわかりません。ただ一つ言えることはこの街を魔物に襲わせているのは彼等だろうということでしょうか」
「まぁ、一緒に行動していた、ということはそういうことだろうね。でも今回に限ってどうして魔人を同行させたと思う?」

 それは単純に実験だろう。どの程度の戦力があるのか調べないことには兵器として使い物にならないし。

「確かに変な話ですな。おかげでゾーア教団が黒幕だとわかってしまった。同行させなければわからなかったろうに」

 ヘルクス子爵が疑問を口にするが、それは違うと思う。

「……それは違うと思います。今回ゾーア教団が絡んでいるとわかったのは私がいたからです。でなければあの魔人が何者なのか誰もわからなかったのではないでしょうか?」
「うん、確かにそうだね。この街を誰かが襲わせているのでは、という疑念は確かにあった。それがハッキリしたのは大きな進歩だと思う。そうなると何のために襲わせているのかがわからない」

 おお、運良く私にとって都合の良い返しが来たね。これなら話を誘導できるかも。

「そうですね。私が不思議なのは毎月襲わせることが可能なのに、それにしては戦力が少ない気がするということでしょうか」
「どういうこと?」

 毎月襲うだけでも疲弊はかなりのものなのはわかる。しかし襲ってくる数は普通のスタンピードより少ないのだ。

「考えてもみてください。毎月襲えるだけの数を用意できるなら、もっと数を用意してから攻め込めばいいじゃないですか」
「なるほど、確かにおかしな話だ。毎月にしなければならない理由があるということになるが……」

 まぁ、それに近い理由だね。答えを知っているけど説明が難しいなぁ。なんでそんなことに気付けるのか、っていう理由が説明できないって凄くもどかしい。

「あるいは襲わせた魔物達はただの生贄に過ぎなかったか、ですね」
「生贄だと……? もしやあれか!?」

 生贄、という言葉にルーセル辺境伯が反応する。思い当たることがあるようだ。

「父上、あれとは?」
「このアルノーブルの地下には原初の魔神と呼ばれる存在が封印されているのだ。封印の解除方法までは知らんが、奴らは知っているのかもしれないな」
「それが生贄だと? それならなおさらこの街の住民を皆殺しにするのでは?」
「あの、必要な生贄は人間じゃなくて魔物なのではないでしょうか?」

 実はこれが答えだったりする。どういう理屈かは知らないけど、そういう設定なのだから仕方がない。必要な魔物の生贄の数は実に累計約五万だ。ただ強力な魔物が生贄の場合、多少その数は減るそうな。

「なんでそう思う」
「襲撃のデータをお願いして見せてもらったことがあります。ここ1年間のこちらの被害は徐々に減っていますよね。襲撃が人為的なものならあまりにも無策じゃないですか。とても人的被害や街の壊滅が目的とは思えません」

 そういったデータは騎士団でちゃんと保管されており、実際ヘルクス子爵にお願いして見せてもらったことがある。

「ふむ、確かにこちらの被害は減少傾向にある。だがそれは部隊の練度が向こうの予想以上に増したからではないのか?」

 軍部としてはそう思いたいか。確かに人的被害が目的ではないとわかれば緊張感も無くなるかもしれない。あまりいい傾向とは言えないかも。

「そうだぞ。それは我々に対する侮辱と取られても文句は言えん。謝りたまえ」
「そうですね。口が過ぎました。申し訳ございません」

 いかついおっさん(失礼)に言われ、私は素直に頭を下げた。ここで自分の意見を通す意味はない。肝心なのは2年後に起きる魔人との戦いだからね。

「素直でよろしい。頻発する襲撃の背後が見えたことに免じ今回は水に流そう。今後もこの街のために頑張ってくれたまえ」
「はい、寛大な処置感謝します」

 そうか、下手すると不興を買う恐れもあったわけか。これからは良く考えて発言しないと。

「ところでテアよ。お前、本当に10歳なのか? 平民の10歳にしてはちと賢すぎる」
「間違いなく10歳でございます」

 身体は子供、頭脳は大人。
 転生者テアちゃん!


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...