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第6章 赤い羽根で舞い降りる
第一部 エピローグ
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原初の復活から二ヶ月。私はルーセル辺境伯に呼ばれ、領主邸の応接室にいた。私の目の前にはクッキーと紅茶が置かれており、ひょいとクッキーを一つ口に入れる。
「テア、今日来てもらったのは他でもない。お前の今後についてだ」
「私の今後、ですか?」
あー、そういやこの後のことなーんも考えてなかったかも。レオン様とはデートしてもらえたから仲良くはなれたと思いたい!
「そうだ。原初は確かに復活こそしたが、それですぐに世界情勢に影響が出ているわけじゃない。しかしいずれ我々人類はあの原初と戦わねばならん。そのためにお前の力を貸して欲しい」
「つまりその時のために今から力をつけろ、ということですね」
まぁ確かにあんな化け物ほっとくわけにはいかないよね。倒そうってんなら少なくとも聖女であるヒロインと協力するのは大前提だろう。
「話が早いな。そこでお前にはレオンと一緒に王都に行ってもらう。レオンは王都の中等学園に通わせることにしたからな。で、お前は初等部に通ってもらおうと思う」
「初等部で何を学ぶのでしょう」
うーん、初等部レベルの魔法はとっくに使えるからなー。戦力増強だったら学校に通うより冒険者かも。
「貴族教育だな。魔法の基礎も学べるがお前には不要だろう」
「貴族教育ですか? 私は平民なんですけど」
なんで貴族教育受けにゃならんのだ。戦力増強にはならないと思うけど。
「お前レオンに惚れてるだろ。辺境伯家が平民の嫁をもらうと思うか?」
「う、そ、それは……」
父親自らにそう言われるとさすがに絶望しかない。思わず半泣きになりそうだったがグッと堪えた。
「あるわけないだろ? だから力を貸す対価としてユベルドー伯爵家に養子に入れてやろう。レオンの婚約者候補としてな。悪い話ではないだろ?」
「い、いいんですかぁっ!? 当主がそのために骨を折るってほぼ婚約決定みたいなもんじゃないですかぁっ! 受けます! この話喜んでお引き受けいたしますお義父様」
うおおお!
伯爵家なら辺境伯家に嫁いでも問題ないじゃん。しかもレオン様の婚約者候補ですって?
これに勝るご褒美はこの世に存在しないレベルで嬉しい!
私は思わず立ち上がり、せっかちにもエリオット辺境伯をお義父様呼びしてしまう。だってそれくらい嬉しかったんだもん。
「お義父様は気が早いな。まぁ器量は良いから悪い気はせんが。ちなみに他に婚約者候補はいない。レオンもまんざらではない様子にだったしな」
辺境伯がふふっ、と楽しそうに笑う。どうやら脈アリらしい。つまり、ラブラブチャンス到来!?
「それと、ユベルドー伯爵家にはレオンと同じ歳の女性と歳上の兄が2人いるんだが、特に女性の方が優秀でな。ディアーヌというんだが……」
「ディアーヌって聖女様じゃないですかぁっ! おおお、そんな素敵な方が私のギリのお姉さんになるわけですね?」
「聖女? 確かに彼女は優秀で神聖魔法も使えるが、どういうことだ?」
あ、しまった聖女の認定を受けるのは17歳になってからだっけ。それまでは神聖魔法と相性のいい優秀な生徒っていう扱いだったような。聖女候補の一人ではあったはずだけど。
「女の勘?」
ゲームの世界だからとかそんなん言えるわけない。うーん、どうごまかそう。
「会ったことあるのか?」
「ないです。王都には行ったことありませんし」
「そうか。まぁ聞かないでおいてやる。その代わり励めよ?」
優しくも追求はなかった。そして励めという辺境伯様も口元を緩めている。
「はいお義父様!」
「気が早い」
調子に乗ってもう一度お義父様呼び。そんな私を辺境伯様は微笑んで見てくれていた。とても優しい眼差しで。
* * *
「今日からここが君の家だ。わからないことや困ったことがあれば執事のセバスチャンを頼るといい」
大きな家の前で馬車が止まると、ユベルドー伯爵がその家を指差し教えてくれた。ユベルドー伯爵は四十代ながらも顔のシワが少なく、整った顔立ちの素敵なおじさまという印象だった。
「はい、お父様。これからお世話になります」
私はペコリと頭を下げる。そして再び馬車が走り出し門をくぐった。そしてユベルドー伯爵、いやお父様の手を取り馬車を降りる。従者の方が扉を開けると入口の両端にズラリとメイドさんが並んでいた。
「おかえりなさいませご主人様!」
そして一糸乱れぬ動きで一斉に頭を下げて主人の帰りを迎え入れる。そのメイドさん達の間を進んだ先には2人の男性と1人の女性が待っていた。もちろん3人とも美男美女なのは言うまでもない。
「待っていたわ、私はディアーヌ。テア、あなたのお姉ちゃんよ」
「はうっ!」
そして3人の前まで辿り着くと、私が自己紹介を始めるよりも先にディアーヌが私を抱き締めた。ふくふくで柔かくていい匂いがする。同年代の男性なら即死すること請け合いだ。
「凄く可愛い子だね。僕は長男のシルヴァンだ。よろしく」
「僕は次男のイザークだ。是非お兄ちゃんと呼んでくれ」
2人はディアーヌの抱擁に埋もれる私に自己紹介をする。抱きしめられてるせいで顔見えないんですけど。
「ディアーヌ、嬉しいのはわかるがそろそろ離してあげなさい」
「はいお父様」
お父様に言われ、ようやくディアーヌが抱擁を解く。いや、これはこれでなかなか至福の時間でしたけどね。
「今日からお世話になりますテアです。ユベルドー伯爵家に恥じない人間になれるよう精一杯努めさせていただきますのでどうかよろしくお願いします」
私は買ってもらったばかりの可愛らしい服でカーテシーで挨拶をした。
まさか聖女であるディアーヌの家に養子に入ることになるとは思わなかったけどね。もう大きくシナリオは変わってしまったけど、元のゲーム知識が活かせないわけじゃない。
ここまで来たらやるっきゃないのだ!
第一部 完
「テア、今日来てもらったのは他でもない。お前の今後についてだ」
「私の今後、ですか?」
あー、そういやこの後のことなーんも考えてなかったかも。レオン様とはデートしてもらえたから仲良くはなれたと思いたい!
「そうだ。原初は確かに復活こそしたが、それですぐに世界情勢に影響が出ているわけじゃない。しかしいずれ我々人類はあの原初と戦わねばならん。そのためにお前の力を貸して欲しい」
「つまりその時のために今から力をつけろ、ということですね」
まぁ確かにあんな化け物ほっとくわけにはいかないよね。倒そうってんなら少なくとも聖女であるヒロインと協力するのは大前提だろう。
「話が早いな。そこでお前にはレオンと一緒に王都に行ってもらう。レオンは王都の中等学園に通わせることにしたからな。で、お前は初等部に通ってもらおうと思う」
「初等部で何を学ぶのでしょう」
うーん、初等部レベルの魔法はとっくに使えるからなー。戦力増強だったら学校に通うより冒険者かも。
「貴族教育だな。魔法の基礎も学べるがお前には不要だろう」
「貴族教育ですか? 私は平民なんですけど」
なんで貴族教育受けにゃならんのだ。戦力増強にはならないと思うけど。
「お前レオンに惚れてるだろ。辺境伯家が平民の嫁をもらうと思うか?」
「う、そ、それは……」
父親自らにそう言われるとさすがに絶望しかない。思わず半泣きになりそうだったがグッと堪えた。
「あるわけないだろ? だから力を貸す対価としてユベルドー伯爵家に養子に入れてやろう。レオンの婚約者候補としてな。悪い話ではないだろ?」
「い、いいんですかぁっ!? 当主がそのために骨を折るってほぼ婚約決定みたいなもんじゃないですかぁっ! 受けます! この話喜んでお引き受けいたしますお義父様」
うおおお!
伯爵家なら辺境伯家に嫁いでも問題ないじゃん。しかもレオン様の婚約者候補ですって?
これに勝るご褒美はこの世に存在しないレベルで嬉しい!
私は思わず立ち上がり、せっかちにもエリオット辺境伯をお義父様呼びしてしまう。だってそれくらい嬉しかったんだもん。
「お義父様は気が早いな。まぁ器量は良いから悪い気はせんが。ちなみに他に婚約者候補はいない。レオンもまんざらではない様子にだったしな」
辺境伯がふふっ、と楽しそうに笑う。どうやら脈アリらしい。つまり、ラブラブチャンス到来!?
「それと、ユベルドー伯爵家にはレオンと同じ歳の女性と歳上の兄が2人いるんだが、特に女性の方が優秀でな。ディアーヌというんだが……」
「ディアーヌって聖女様じゃないですかぁっ! おおお、そんな素敵な方が私のギリのお姉さんになるわけですね?」
「聖女? 確かに彼女は優秀で神聖魔法も使えるが、どういうことだ?」
あ、しまった聖女の認定を受けるのは17歳になってからだっけ。それまでは神聖魔法と相性のいい優秀な生徒っていう扱いだったような。聖女候補の一人ではあったはずだけど。
「女の勘?」
ゲームの世界だからとかそんなん言えるわけない。うーん、どうごまかそう。
「会ったことあるのか?」
「ないです。王都には行ったことありませんし」
「そうか。まぁ聞かないでおいてやる。その代わり励めよ?」
優しくも追求はなかった。そして励めという辺境伯様も口元を緩めている。
「はいお義父様!」
「気が早い」
調子に乗ってもう一度お義父様呼び。そんな私を辺境伯様は微笑んで見てくれていた。とても優しい眼差しで。
* * *
「今日からここが君の家だ。わからないことや困ったことがあれば執事のセバスチャンを頼るといい」
大きな家の前で馬車が止まると、ユベルドー伯爵がその家を指差し教えてくれた。ユベルドー伯爵は四十代ながらも顔のシワが少なく、整った顔立ちの素敵なおじさまという印象だった。
「はい、お父様。これからお世話になります」
私はペコリと頭を下げる。そして再び馬車が走り出し門をくぐった。そしてユベルドー伯爵、いやお父様の手を取り馬車を降りる。従者の方が扉を開けると入口の両端にズラリとメイドさんが並んでいた。
「おかえりなさいませご主人様!」
そして一糸乱れぬ動きで一斉に頭を下げて主人の帰りを迎え入れる。そのメイドさん達の間を進んだ先には2人の男性と1人の女性が待っていた。もちろん3人とも美男美女なのは言うまでもない。
「待っていたわ、私はディアーヌ。テア、あなたのお姉ちゃんよ」
「はうっ!」
そして3人の前まで辿り着くと、私が自己紹介を始めるよりも先にディアーヌが私を抱き締めた。ふくふくで柔かくていい匂いがする。同年代の男性なら即死すること請け合いだ。
「凄く可愛い子だね。僕は長男のシルヴァンだ。よろしく」
「僕は次男のイザークだ。是非お兄ちゃんと呼んでくれ」
2人はディアーヌの抱擁に埋もれる私に自己紹介をする。抱きしめられてるせいで顔見えないんですけど。
「ディアーヌ、嬉しいのはわかるがそろそろ離してあげなさい」
「はいお父様」
お父様に言われ、ようやくディアーヌが抱擁を解く。いや、これはこれでなかなか至福の時間でしたけどね。
「今日からお世話になりますテアです。ユベルドー伯爵家に恥じない人間になれるよう精一杯努めさせていただきますのでどうかよろしくお願いします」
私は買ってもらったばかりの可愛らしい服でカーテシーで挨拶をした。
まさか聖女であるディアーヌの家に養子に入ることになるとは思わなかったけどね。もう大きくシナリオは変わってしまったけど、元のゲーム知識が活かせないわけじゃない。
ここまで来たらやるっきゃないのだ!
第一部 完
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