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うつけ村編
49 許せない
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49 許せない
朝霧は『うつけ村』に行くと言って出て行った。あと3日となってしまったが、前回よりも早い段階で知れたのが幸いなのか、早めに調べることができると言っていた。
僕は朝霧の部屋を出る気にはならなかった。 何となく人には会いたくない。 朝霧に礼だなんだとは言ったが、やはり実際は狙われているのは自分なのだと知って、向かっていける程の精神力が僕には無い。
この世界がかなり今まで住んでいた世界とは違いすぎて、何だかおかしくなりそうだ。
魔法や能力、奴隷、そして人を売り物にするオークション……そんなの見たことも聞いたこともない。
本当に次起こる何かにその奴隷となっていた人達が関係していて……前回のように、化け物になって出てきて……、勝手に操られて、人を喰らうのか朝霧たちによってとどめを刺されるのか……。 結末はどちらにしろ最悪だ。
勿論、人間側……国としては倒せた方が良いのだろうけど、本当にそれで良いのだろうか……。 全てを擦り付けてそれで終わりにしようとしているのでは無いだろうか、なんて考え始めてしまう。
1人になるとどうしても、様々なことが想像される。
ふらりと立ち上がり、朝霧の資料の紙束が多くある机の前に立つ。勝手に触ってはいけないような気もするが、どうにも気になってしまう。
何度か頭を過ぎるのは、前回のH大学での事件で、化け物と化した、取り込まれた人の声だ。
『コロシタクナイ、タスケテクレ』
と、あんな化け物の中から辛そうで本当に助けを求める声が聞こえてきてしまう。
悪くないのに、ただあの不気味な男がそうさせているだけなのに……。
……今回でも、その声が聞こえてくるような状況になったらどうしよう。 もっと多くの化け物となった人がいて、そんな人が沢山いたら僕は普通でいられるのだろうか。
助ける方法が殺すしかないのか、痛みを与えるしかないのかと思ってしまう。
朝霧の机の上にあったファイルに『うつけ村』と書かれたものがあった。丁寧に紙が1枚1枚分けられている。
ペラペラと捲ると、昔のうつけ村の様子が白黒の写真で出てきた。
外見は本当にただの村だ。 少し貧相な人たちが多いような気もするが、家もあるし、畑や田んぼが多い、という感じだった。
何枚か捲ると、付箋が貼られた紙がある。そこにあるのは、例のオークションの様子。
少しぶれている写真。 手錠、足枷、首にすら鎖が繋がれている人たちが並んでいる。 一番前の人間と後ろの人間だけが、小綺麗な格好をしていて、他はほとんど骨のような痩せこけた体で、服もボロボロだった。
少し僕は「ひっ」と小さく悲鳴を上げた。 本当にこんなことがあったのか、と。
そして、中にいるのは床に座布団を引いて、そこには似合わない綺麗なスーツやドレスを着た人間たち、いわゆる金持ちのような人間ばかり。
数十人がそこにいて、前には先程の連れられた人間が横並びにされている。
オークションの様子はほとんど写真がなかった。 本当に何とか撮った、程度の物なのだろう。 それでも、かなり酷いことをしているのは分かる。
次に出てきたのは、人の名前や性別が載った名簿のようなもの。 ズラリと名前が載っている。
全部の一番最後に『焼死』と書かれている。
村で起こった大火事。 その時に亡くなった人間たちの名前……つまり、村人だった人たちの名前だ。確かに小さな村というから、街にいる人間に比べたらかなり名前は少ないのだと思う。
きっと、この大火事による被害は、裏であんなことがあったのに気づかないフリをしていた村人とへ復讐のようなものなのだろう。
最も恨んでいるのは、このオークションの参加者でもそれを知っていた村人にも恨みがあるに違いない。それをこの時に復讐した、としているんだ。
なんで、この時に一緒に殺さなかったのだろうか。 どうして大火事の焼死ではダメだったのだろうか。
もう見るのは止めよう、とファイルから目を離そうとした瞬間に朝霧の殴り書きのようなもので書いたメモが残っていた。
『戸籍無し、死体なし』
……本当に全員が、この声の主に、あの不気味な男に連れていかれてしまったのだろうか。 死体なし、ということは連れて行かれた……もしくは、オークションで買われたか……どちらを予測しても最悪だ。
僕は確かに声の主やあの男のやることは間違っていると思うし、恨みを本人たちの形を変えてまでなんとかしようとする、それを許そうとは思えない。
…………だが、それと同時にこのオークションなんてものをやっていた人間たちも同じくらい許せない存在なのだと思った。
朝霧は『うつけ村』に行くと言って出て行った。あと3日となってしまったが、前回よりも早い段階で知れたのが幸いなのか、早めに調べることができると言っていた。
僕は朝霧の部屋を出る気にはならなかった。 何となく人には会いたくない。 朝霧に礼だなんだとは言ったが、やはり実際は狙われているのは自分なのだと知って、向かっていける程の精神力が僕には無い。
この世界がかなり今まで住んでいた世界とは違いすぎて、何だかおかしくなりそうだ。
魔法や能力、奴隷、そして人を売り物にするオークション……そんなの見たことも聞いたこともない。
本当に次起こる何かにその奴隷となっていた人達が関係していて……前回のように、化け物になって出てきて……、勝手に操られて、人を喰らうのか朝霧たちによってとどめを刺されるのか……。 結末はどちらにしろ最悪だ。
勿論、人間側……国としては倒せた方が良いのだろうけど、本当にそれで良いのだろうか……。 全てを擦り付けてそれで終わりにしようとしているのでは無いだろうか、なんて考え始めてしまう。
1人になるとどうしても、様々なことが想像される。
ふらりと立ち上がり、朝霧の資料の紙束が多くある机の前に立つ。勝手に触ってはいけないような気もするが、どうにも気になってしまう。
何度か頭を過ぎるのは、前回のH大学での事件で、化け物と化した、取り込まれた人の声だ。
『コロシタクナイ、タスケテクレ』
と、あんな化け物の中から辛そうで本当に助けを求める声が聞こえてきてしまう。
悪くないのに、ただあの不気味な男がそうさせているだけなのに……。
……今回でも、その声が聞こえてくるような状況になったらどうしよう。 もっと多くの化け物となった人がいて、そんな人が沢山いたら僕は普通でいられるのだろうか。
助ける方法が殺すしかないのか、痛みを与えるしかないのかと思ってしまう。
朝霧の机の上にあったファイルに『うつけ村』と書かれたものがあった。丁寧に紙が1枚1枚分けられている。
ペラペラと捲ると、昔のうつけ村の様子が白黒の写真で出てきた。
外見は本当にただの村だ。 少し貧相な人たちが多いような気もするが、家もあるし、畑や田んぼが多い、という感じだった。
何枚か捲ると、付箋が貼られた紙がある。そこにあるのは、例のオークションの様子。
少しぶれている写真。 手錠、足枷、首にすら鎖が繋がれている人たちが並んでいる。 一番前の人間と後ろの人間だけが、小綺麗な格好をしていて、他はほとんど骨のような痩せこけた体で、服もボロボロだった。
少し僕は「ひっ」と小さく悲鳴を上げた。 本当にこんなことがあったのか、と。
そして、中にいるのは床に座布団を引いて、そこには似合わない綺麗なスーツやドレスを着た人間たち、いわゆる金持ちのような人間ばかり。
数十人がそこにいて、前には先程の連れられた人間が横並びにされている。
オークションの様子はほとんど写真がなかった。 本当に何とか撮った、程度の物なのだろう。 それでも、かなり酷いことをしているのは分かる。
次に出てきたのは、人の名前や性別が載った名簿のようなもの。 ズラリと名前が載っている。
全部の一番最後に『焼死』と書かれている。
村で起こった大火事。 その時に亡くなった人間たちの名前……つまり、村人だった人たちの名前だ。確かに小さな村というから、街にいる人間に比べたらかなり名前は少ないのだと思う。
きっと、この大火事による被害は、裏であんなことがあったのに気づかないフリをしていた村人とへ復讐のようなものなのだろう。
最も恨んでいるのは、このオークションの参加者でもそれを知っていた村人にも恨みがあるに違いない。それをこの時に復讐した、としているんだ。
なんで、この時に一緒に殺さなかったのだろうか。 どうして大火事の焼死ではダメだったのだろうか。
もう見るのは止めよう、とファイルから目を離そうとした瞬間に朝霧の殴り書きのようなもので書いたメモが残っていた。
『戸籍無し、死体なし』
……本当に全員が、この声の主に、あの不気味な男に連れていかれてしまったのだろうか。 死体なし、ということは連れて行かれた……もしくは、オークションで買われたか……どちらを予測しても最悪だ。
僕は確かに声の主やあの男のやることは間違っていると思うし、恨みを本人たちの形を変えてまでなんとかしようとする、それを許そうとは思えない。
…………だが、それと同時にこのオークションなんてものをやっていた人間たちも同じくらい許せない存在なのだと思った。
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