心からの愛してる

マツユキ

文字の大きさ
21 / 45

21

しおりを挟む
あの日から、結良は光に会う事も無く、溜まっていた書類も、処理を済ませ、何とか延期になっていた行事を、執り行える所まで、こぎつける事が出来た

竜元や結良だけでなく、反省し死にもの狂いで、処理していた役員達が頑張りの賜物でもある

延期となっていた文化祭の開催日が決まり、各クラスの出し物や、それに必要な食材などの備品の発注、掛かった経費の処理なども全て終わり、後は開催日を待つだけとなった

処理が必要な書類はまだあるが、一先ずはゆっくりと出来る時間が採れた結良は、人気の無い中庭のベンチに座っていた

「…ふぅ…」

心地よい風が、結良を労わる様に過ぎていく

光の襲来が来るようになってからというもの、心に平穏は無く、いつも怯えていた。自分はこんなにも臆病で弱かったのかと、自己嫌悪に陥る事も

しかし、何故だか分からないが、光の襲来がパタリと止んでから、心は平穏を取り戻しつつある。このまま、穏やかで、いつも通りの日々が過ぎていくのを、結良は心から願っていた

「結良、一人で行くなと言っただろう?」

そう言って結良の隣に腰かける、竜元

「ほら。食べるぞ。お前は、もう少し太らないとな」

「か、会長。すみません…少し外の空気を吸いたくて」

「あぁ。ここ数日は、立て込んでいたからな。ほら」

そう言って、竜元は持っていた弁当の1つを、結良に渡した

「え?僕の分も、あるんですか?」

「当然だろ?お前は放っておくと、何も口にしないからな」

「あははは…」

集中すると、周りが見えなくなってしまう結良は、竜元の言葉に何も返せない

受け取った弁当の蓋を開けると、明らかにプロが作った、美味しそうなおかずが、綺麗に盛られていた

「…凄い。美味しそうですね」

「うちの料理人が作ったんだ。当然だ。それに、栄養バランスもしっかりと考えて、作ってくれているんだ。残さず、食べるんだぞ?」

「ふふ、はい」

ゆっくりと、時間をかけて弁当を食べていく。優しい味付けのおかずは、本当に美味しくて、小食である結良も、食が進んで、あっという間に食べてしまった

「美味しくて、箸が止まりませんでした」

「そうだろう?食堂の食事も美味いが、栄養が偏ってしまうからな。だから、たまに来てもらっているんだ」

「え?食事を作りに、ですか?」

「あぁ。俺はたまにでいいと言ったんだがな。嬉々として造りに来てる」

「会長の寮室に、お邪魔していた時は、いなかったから。全然気づきませんでした」

「あの時は、お前の事を考えて、遠慮してもらっていた」

「そうだったんですね…何か、申し訳ない事をしました」

「フッ、何故そうなる。俺が、そうしたかったんだ。謝る必要などない」

それでも納得のいかない様な顔をする結良に、「まったく」と言いながら、弁当を受け取る

「―――本当に、お前は頑固だよ」

そう言って、軽く結良の頭に拳を当てた
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

人並みに嫉妬くらいします

米奏よぞら
BL
流されやすい攻め×激重受け 高校時代に学校一のモテ男から告白されて付き合ったはいいものの、交際四年目に彼の束縛の強さに我慢の限界がきてしまった主人公のお話です。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

ポメった幼馴染をモフる話

鑽孔さんこう
BL
ポメガバースBLです! 大学生の幼馴染2人は恋人同士で同じ家に住んでいる。ある金曜日の夜、バイト帰りで疲れ切ったまま寒空の下家路につき、愛しの我が家へ着いた頃には体は冷え切っていた。家の中では恋人の居川仁が帰りを待ってくれているはずだが、家の外から人の気配は感じられない。聞きそびれていた用事でもあったか、と思考を巡らせながら家の扉を開けるとそこには…!※12時投稿。2025.3.11完結しました。追加で投稿中。

契約満了につき

makase
BL
仮初めの恋人として契約を結んだ二人の、最後の夜。

先輩のことが好きなのに、

未希かずは(Miki)
BL
生徒会長・鷹取要(たかとりかなめ)に憧れる上川陽汰(かみかわはるた)。密かに募る想いが通じて無事、恋人に。二人だけの秘密の恋は甘くて幸せ。だけど、少しずつ要との距離が開いていく。 何で? 先輩は僕のこと嫌いになったの?   切なさと純粋さが交錯する、青春の恋物語。 《美形✕平凡》のすれ違いの恋になります。 要(高3)生徒会長。スパダリだけど……。 陽汰(高2)書記。泣き虫だけど一生懸命。 夏目秋良(高2)副会長。陽汰の幼馴染。 5/30日に少しだけ順番を変えたりしました。内容は変わっていませんが、読み途中の方にはご迷惑をおかけしました。

ラベンダーに想いを乗せて

光海 流星
BL
付き合っていた彼氏から突然の別れを告げられ ショックなうえにいじめられて精神的に追い詰められる 数年後まさかの再会をし、そしていじめられた真相を知った時

【本編完結】才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。

ホマレ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。 その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。 胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。 それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。 運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。

姉の男友達に恋をした僕(番外編更新)

turarin
BL
侯爵家嫡男のポールは姉のユリアが大好き。身体が弱くて小さかったポールは、文武両道で、美しくて優しい一つ年上の姉に、ずっと憧れている。 徐々に体も丈夫になり、少しずつ自分に自信を持てるようになった頃、姉が同級生を家に連れて来た。公爵家の次男マークである。 彼も姉同様、何でも出来て、その上性格までいい、美しい男だ。 一目彼を見た時からポールは彼に惹かれた。初恋だった。 ただマークの傍にいたくて、勉強も頑張り、生徒会に入った。一緒にいる時間が増える。マークもまんざらでもない様子で、ポールを構い倒す。ポールは嬉しくてしかたない。 その様子を苛立たし気に見ているのがポールと同級の親友アンドルー。学力でも剣でも実力が拮抗する2人は一緒に行動することが多い。 そんなある日、転入して来た男爵令嬢にアンドルーがしつこくつきまとわれる。その姿がポールの心に激しい怒りを巻き起こす。自分の心に沸き上がる激しい気持に驚くポール。 時が経ち、マークは遂にユリアにプロポーズをする。ユリアの答えは? ポールが気になって仕方ないアンドルー。実は、ユリアにもポールにも両方に気持が向いているマーク。初恋のマークと、いつも傍にいてくれるアンドルー。ポールが本当に幸せになるにはどちらを選ぶ? 読んでくださった方ありがとうございます😊 ♥もすごく嬉しいです。 不定期ですが番外編更新していきます!

処理中です...