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第四章 『罪深い水瓶の底から』 大木槌を持った異形の殺人鬼が封鎖されたデパート内で勘太郎達に迫る。狂人・悪魔の水瓶との推理対決です!
4-15.本性を見せ付ける梅塚幸子の悪意
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15
「うわぁぁ! もう、もうこんな事はやめて下さい。お子さんの方は俺と羊野で必ず探しだして助けて見せますから!」
そんな勘太郎の必死の呼びかけを無視するかのように悪魔の水瓶は、その両手に持っている大木槌を振り上げながら目の前にいる勘太郎に迫る。
手に持つ懐中電灯の明かりだけが頼りなので暗闇から迫り来る悪魔の水瓶だけに注意が行き、後ろに下がった羊野や何処かに隠れていると思われる梅塚幸子の姿が全く見えない。そんな周りの様子を全く確認する余裕のない勘太郎は暗闇が広がる空間で懐中電灯の光を悪魔の水瓶のマスクに向けながら何とか必死の抵抗をするが、なぜか余り効き目が無い用だ。
確かに鬼気迫る勢いで襲ってくる悪魔の水瓶の猛攻は油断ならない物があったが、その動きはかなり遅く体が疲弊しているのか息も絶え絶えのようだ。
その顔には大きな水瓶のマスクを被っているのでその表情は全く見えず、何を考えているのかは全く分からない。だがそれでもその切れのない動きや震え具合から察するに、どうやらかなり疲れている物と軽く想像出来る。
明らかに疲れが見られる悪魔の水瓶は手に持つ大木槌を勢いよく振り上げるとそのまま渾身の力を込めて振り下ろすが、その攻撃を咄嗟に避けた勘太郎はすかさず彼女との間合いを空ける。その素早いフットワークの動きに大きく狙いが外れた大木槌の一撃は見事に空を切り、その後ろに設置してあるお菓子が並んでいる駄菓子屋の店棚を粉々に破壊する。
勘太郎はそんな悪魔の水瓶の最後の悪あがきというべき攻撃を必死で避けながら彼女に話しかける。
「あなたはもしかして……海月光子さんですか。もしそうなら返事をして下さい。この下の五階フロアーで水谷里子さんが見たと言う、悪魔の水瓶が連れていたお子さんとは、あなたの息子さんでもある海月リク君なのではないのですか。恐らく狂人ゲームが始まってから直ぐに六階フロアーから順に各階を回って、罪のない人達をその大木槌で叩き殺していたのは、悪魔の水瓶に姿を変えて殺人鬼となった梅塚幸子さんの方だったのではないのですか。その彼女にあなたはお子さんを何処かに連れさらわれて、人質にされている。でも一体全体そんなあなたは、何故このデパート内にいるのですか? 一体なぜだ!」
その勘太郎の必死の呼びかけにも当然悪魔の水瓶は応えない。ただただ「ポポポポーッ」と言う鳩のような小さな鳴き声と激しい息づかいが聞こえるだけだ。
「う、海月光子さん。あなたはやはり……海月光子さんですよね。こんな事はもうやめましょう。こんな事をしてもあなたのお子さんが無事に帰ってくると言う保証は何処にもないんですよ。犯人の脅しに屈して、この狂った計画に加担しないで下さい!」
そうは言った物の、羊野の推測道理にこの悪魔の水瓶の正体が海月光子さんなら今勘太郎が言っている言葉に心を揺さぶられる物がもしかしたらあるのだろうが、全くの人違いだったら物凄い的外れな事を言っていると言う事になる。
そんな想像と審議に不安を抱きながら半信半疑になっていた勘太郎だったが、この目の前にいる水瓶人間の殺意を何とかして抑え、鎮圧する事が出来れば彼女の正体が暴かれ新たな展開に進む事が出来るだろう。
勘太郎は十分な間合いを取りながら悪魔の水瓶を睨みつける。
「仕方が無い……あれをだすか……」
勘太郎はいつか訪れるかも知れないこんな状況を想定しながら、四階フロアーを去る時にその場からくすねて来たある物を必死に探る。
後ろの腰ベルト付近に隠してあるその品物は、悪魔の水瓶を確実に怯ませ戦闘不能にするには十分な物だった。
ある物を素早く取り出すために後ろの腰ベルト付近をさりげなく触っていた勘太郎は、手の指でさりげなく確認しながら、やがて訪れるその最大のチャンスを探る。
くそぉぉ、恐怖の余りに……足が竦む。心が折れそうになる。だが逃げちゃ駄目だ! 逃げちゃ駄目だ! 逃げちゃ駄目だ! 逃げちゃ駄目だ! くそ~俺はどこのアニメの主人公だよ!
勘太郎は悪魔の水瓶が振り下ろす大木槌の攻撃を何とか避けながら横たわる死体のある方へと大きく飛び跳ねるが、後ろへと飛び跳ねた勘太郎の背後から何かの気配と影が行き成り現れる。
勘太郎の背後に現れたのは紺のスーツを着た男性に扮した梅塚幸子、本人である。梅塚幸子は沢山の死体が転がるその中の一体の死体の振りをしながら勘太郎が近づき、いつか背後を見せるそのチャンスをただじ~と待っていたのだ。
見事に勘太郎の背後を取ることに成功した梅塚幸子は、横たわる隣の死体に隠し持っていた大木槌を手に取ると、その大木槌を振り上げながら勘太郎に迫る。
「ぎゃははははははははっ! 私の邪魔をする奴は例え誰であろうと許す訳にはいかない。だからお前は今ここで大人しく死ねぇぇぇ。黒鉄の探偵ぇぇぇぇ!」
その迫り来る相手の顔を見た時、勘太郎の顔は余りの恐怖に思わず凍り付く。目の前で襲い来る梅塚幸子の顔は今までに見たいつもの顔ではなく、凶器にとち狂った恐ろしい顔をしていたからだ。その顔の部分でつり上がった目の眼球は鬼のように血走り、ヨダレを垂らしながら不気味な声で狂乱の表情を見せる。その姿はまるで子供を奪われた事に激しく狂った恐ろしい鬼のようだ。
そんな彼女の思わぬ奇襲に全く身動きができない勘太郎は、大きな大木槌を持ち上げながら現れた梅塚幸子に思わず絶句する。
そんな勘太郎の様子を直ぐ近くで見ていた関根孝は、持っていた懐中電灯の光を梅塚幸子の目に当てながら大きな声で叫ぶ。
「く、黒鉄の探偵さん……う、後ろだ。あ、危ない!」
咄嗟にでた関根孝の言葉に我に返った勘太郎ははっとしながら後ろへ飛び退けようと素早く動くが、一~二秒遅れた事によって梅塚幸子の持つ大木槌が恐怖に歪む勘太郎の顔に向けて理不尽にも振り下ろされそうになる。
「あははははは、あははははははははっはっ! 私の復讐による……正義の制裁の邪魔をするのなら、今この場で殺す。この大木槌で……餅搗きのように叩き殺す! その罪深い高慢ちきな頭をたたき割って私の復讐を完成させてみせるわ!」
そう叫びながら殺意に満ちた一撃が勘太郎の頭に直撃しそうになるが、そんな勘太郎の真横から勢いに満ちた強烈な蹴りが飛ぶ。
そのいきなりの勢いある蹴りの力によって思わず反対側へと吹き飛ばされた勘太郎は、床に這いつくばりながらも直ぐに体の体勢を変えると、自分を蹴り飛ばした人物の顔をマジマジと見る。
「痛い。いててて。一体誰だ。俺の横っ腹を蹴り飛ばしたのは。流石に痛いわ!」
勢いよく横へと倒れた勘太郎が直ぐさま体を引き起こすと、そこにはさも当然のように勘太郎を助けた羊野瞑子の姿があった。
梅塚幸子は血走った怒りの目を羊野瞑子に向けながら、その手に持つ大木槌を荒々しく構える。その姿はなんだか異様で、その異常な殺意と狂気が勘太郎にも十分に伝わる程だ。
そんな異常な悪意に全く臆する事の無い羊野は、その被ってある白い羊のマスクを梅塚幸子に向けながら不気味に話しかける。
「あらあら、こんな所に隠れていたのですか。あなたが殺した他の人達の死体の中に隠れて私達を襲う機会を密かに伺っていたみたいでしたけど、あなたの考えはもう既に分かっていましたわ。だからこそ黒鉄さんと関根孝さんを囮にして、少し離れた所から事の成り行きを黙って見守っていたのですよ。フフフフ、恐らくは黒鉄さんと関根孝さんが持つ懐中電灯の明かりを頼りに、後ろから一撃のもとにその相手の後頭部を叩き割るつもりだったのでしょうが、私はこの羊のマスクに搭載されている暗視装置のお陰で暗闇の中でも自由に動けますからね。あなたが他の死体に紛れて人を襲う事を選択した時点でこの私の姿を見つけることは出来なかったと言う事です。もしもあなたがあの悪魔の水瓶役を海月光子さんに任せるのではなく、貴方自身が悪魔の水瓶のマスクを被っていたのなら私の接近に気づく事も出来たのでしょうが、どうやら役割に無理が生じたみたいですわね」
「白い羊の女……確か羊野瞑子だったかしら。あと少しでこの黒服の探偵の頭をかち割る事が出来たのに、邪魔してくれてるんじゃねえよ! このカスがぁぁぁぁぁ!」
「なぜ、黒鉄さんを真っ先に襲ったのですか? 先ず襲うのなら西条ケミカル化学会社の専務の役職でもある、関根孝さんの方が先じゃないのですか」
「この黒服の探偵は私の計画の全てを邪魔してくれたからだよ。この日のためにいろいろと計画し準備をしていたのに、悉く邪魔しやがって。本当はもっと数多くの人間を沢山殺せたのに、本当にむかつく野郎だぜ!」
その梅塚幸子の発言に勘太郎がすかさず反論をする。
「何を言っているんだ、梅塚幸子さん。あなたの目的は西条ケミカル化学会社の重要な役職にある人達に復讐をする事ではないのですか?」
「きゃはははははー、確かに本来の目的はそうだが、それだけではない。私が数多くの罪のない人達を殺す事によって西条ケミカル化学会社で働く関係者達にその罪の意識と後悔をできるだけ多く植え付けながら殺す事に意味があるんだよ。罪の意識とその絶望的な恐怖にさいなまれながら死んでいけばいいと思ってな。そう思って囮役の水瓶人間もどきの陰に隠れながら一人でも多くの人を殺し回っているんだが、そんな計画も黒鉄の探偵に見事に阻まれた。海月光子と言う囮を使って注意を引きつけながら、人が死に至るようにいろいろと画策したのに……途中までは上手く行っていたのに……目の前にいるへっぽこ探偵と白い羊の女が現れてから状況が一変した。水瓶人間に扮した海月光子には、出来るだけ多くの人間を精神的にも肉体的にも追い込んでから一人一人を分断させて貰いたかったのに、いつもそこにお前らが現れて邪魔をしてくれたよな。私の計画では水瓶人間に追い込まれて逃げ惑う人のその背後から大木槌で頭をかち割ってやろうと思っていたんだが、後半は中々人を殺す機会が減ってしまった。これも全ては白い羊の女と黒服の探偵のせいだ!」
「はあ~、こいつ何だか面倒くさいですわね。黒鉄さん、こいつ今すぐに殺していいですか」
「いや、言い訳がないだろう。もう少し待てよ。俺も梅塚幸子さんには少し話があるからさぁ」
そんな恨み言を言う梅塚幸子さんを見つめながら勘太郎は淡々と話を切りだす。
「あんたの素性や昔のことはもう既に知り合いの警察の関係者に調べて貰っているから、その足取りはもうつかめているよ。羊野の話では、五年前に起きたあの川の反乱の堤防の決壊事故で不幸にも流されて亡くなった子供達の遺族の一人と言う事ですね。つまりあなたの正体はその亡くなった一人の子供の母親と言う事です。そうですよね、梅塚幸子さん。確かにその不幸な事故でたった一人のお子さんを亡くされた事には深くお悔やみと同情はしますが、だからといって人を殺していいと言う事にはならない。しかも恨みを向けている西条ケミカル化学会社の関係者達だけでは飽き足らず、なんの関係もないただの一般の人達まで巻き込んで無情にも殺しにかかるとは流石に許されない事です。その余りの悲しみと人を恨む怨念が強すぎてついに見境がつかなくなってしまったのですか? いずれにしてもです。もう貴方にこのまま人殺しをさせる訳にはいきません。しかもなんの関係も無い海月光子さんとそのお子さんまでもを巻き込んで、無理矢理に水瓶人間役を強要させている。恐らくは海月さんのお子さんを人質にでも取って、海月光子さんを無理やりこの計画に加担するようにと彼女を脅迫したんだろうけど。その本当の目的は、後で全ての罪を海月光子さんに着せて、宛も彼女が自分から自殺をしたかのように見せかけて殺害し。その全ての罪から自分だけが逃れると言う計画だな。あなたのこの自虐的な無謀な計画になぜあの壊れた天秤が乗ったのかは分からないが、もうこれ以上はあなたの好きにさせておく訳には行かないと言う事です。そんな訳で何処かに監禁し閉じ込められている西条社長と海月さんのお子さんの海月リク君の居場所を是が非でも吐いて貰いますよ」
そう言いながら近づく勘太郎に、梅塚幸子は手に持つ大木槌を豪快に振り回しながら勘太郎と羊野を牽制する。
「ちくしょう、ちくしょう、あのクソガキは海月光子を縛り付ける為の人質に……西条社長は関根孝を引き寄せる囮として生かしていたのに、また計算が狂ってしまったわ。狂人ゲームが始まった当初は沢山の人を面白いくらいに殺せたのに!」
「つまり……木戸警備員と長瀬警備員の証言にもあった、二階のフロアーで二人を襲ったのは、水瓶人間に扮した梅塚幸子さん……あなただった訳だ」
「きゃはははは、まあそう言う事だな。二階の女子トイレに隠れていたと言うのは勿論嘘だよ。狂人ゲームが始まって各階の入り口が完全に封鎖したのと同時に屋上から順番に各階の下へと降りてきて1時間の内に罪のない人達を殺しに殺して回ったんだよ。勿論私はこのデパート内に呼びつけた西条社長率いる西条ケミカル化学会社の関係者達の顔は全て覚えているからその人達を重点的に殺して回ったが、でも直ぐに彼らを殺してしまったらその死にゆく恐怖を奴らに十分に味わらせる事が出来ないでしょ。だからこそなんの関係もない人達をワザと彼らの目の前で殺して見せて、その絶望的な恐怖を視覚でたっぷりと味合わせてから、西条ケミカル化学会社の関係者達を殺す事にしたんだよ。私の息子が苦しんだその恐怖と悲しみを彼らにも是非とも味わって貰いたかったからな!」
「そんな事のために、何も知らない人達は無残にも殺されていったのか。許せない、こんな身勝手な殺人はもう絶対に許す事は出来ないぞ。梅塚幸子さん、あなたの精神状態はどうやらかなり異常のようだ。今すぐに貴方を拘束させて貰うぜ!」
「はははは、出来る物ならやって見ろよ、黒服の探偵ぇぇぇ! 悪魔の水瓶よ何を後ろで突っ立ているんだ。早くこいつらを殺さないとあなたのお子さんの命は無い物と思えよ。あんたの働き具合によっては、あのクソガキは惨めにも苦痛にさいなまれながら死ぬことになるんだからな! きゃはははは、いい気味。子供を失ったこの深い悲しみと絶望の思いをあなたも味わうといいわ。さあ、早くしないと私の仲間があなたのお子さんを殺す事になるわよ! もしかしたらもう間に合わないかも……。くくくく……!」
その梅塚幸子の非常な言葉を聞いた悪魔の水瓶は「ポポポポポポポポポポポポーッ!」と謎の奇声を上げながら勘太郎に襲いかかろうとするが、その動きを関根孝が大きな声で止める。
「海月光子さん、落ち着いて下さい。彼女の言葉に惑わされては駄目だ! 大丈夫ですよ、今あなたのお子さんは長瀬警備員と木戸警備員が血眼になって各階を必死に探していますから、見つかるのは時間の問題だ。だからどうか安心して下さい!」
勿論関根孝のついた言葉は真っ赤な嘘なのだが、その言葉に反応した悪魔の水瓶はその動きを止める。
「一体何をしているの。私の言うことを聞かないと本当にあなたのお子さんは、私の子供と同じように水を鱈腹飲んで溺れて溺死してしまうのだけれど、それでもいいのかしら。まあ私はどっちでもいいけどね!」
そんな無慈悲な梅塚幸子の言葉に勘太郎は恐怖を覚えながらも思わずくってかかる。
「梅塚幸子さん……あなたはなぜそこまでして人を憎み貶める事が出来るのですか。彼女は直接あの事故には特に関わってはいないし、子供を失った母親の苦しみや悲しみはあなたが一番よく知っているはずです。なのになぜそんな酷いことができるんだ!」
「黙れ、黙れ、黙れ、お前に私の苦しみの何が分かると言うんだ。その怒りと悲しみを当然知っているからこそ今私はこんな事をしているのよ! この五年間の間……いつも途絶える事無く、あの子の悲痛な声が私の耳に聞こえて来るのよ。お母さん……お母さん……暗いよ……苦しいよ……痛いよ……助けて……助けて……昼夜を訪わずその息子の声が途絶えること無く、私の耳にいつまでも聞こえてくるのよ。そうこの五年間ずっ~とよ。でもある時からその声が変わったの……お母さん……あいつらを殺して……あいつらを苦しめて……あいつらをできるだけ多く地獄に送って……僕が寂しくないように……という言葉にね。だから私はあの闇の組織に人の殺害の依頼を頼んだのよ!」
「あの一週間前に起きた別荘地での十二人殺しの事件の事ですね」
「そうよ、本当はあの別荘にいた十四人全ての人間を殺す予定だったのに、あの悪魔の水瓶とか言う殺し屋は約束を守らなかったのよ。だから今度こそその母子を確実に殺してと言ったら行き成りこの依頼を降りるとか言いだしやがって……本当に根性のないふざけた奴だったよ。あの罪人の親子に情けなんか掛けてんじゃねえよ!」
「でもそんなあなたに、もう一人の狂人が声を掛けて来たのではありませんか。そうあの円卓の星座の創設者にしてこの狂人ゲームと言うルールを作った、狂人・壊れた天秤がです!」
そう言い出したのは話を黙って聞いていた羊野瞑子である。そんな羊野の質問に応えるかのように梅塚幸子は羊野と勘太郎、そして一番後ろにいる関根孝を激しくにらみつけながら今までに起きた出来事を淡々と語る。
「ひゃひゃひゃ、そうよ、あの悪魔の水瓶がこの親子を見逃したから私がわざわざ海月リク君を誘拐して、わざわざ病室に行ってその事を梅塚幸子に言ってやったのよ。『子供の命を助けたいなら、明日の昼の十二時に屋上で待つ』とか行ってね。この計画をその壊れた天秤とか言う奴に話したら是非ともその計画に協力させてくれとか言ってきて、資金提供やその計画に使う様々な人や物資までただで貸してくれたわ。本当に変わった爺さんよね。後はこのデパートにわざわざ来た海月光子を脅して水瓶人間の姿にさせて、同じく悪魔の水瓶に扮した私と協力して、各階のフロアーに降りて、目に付く人達を手当たり次第に殺し回って行ったわ。まあ、彼女は人を殺せないみたいだったから、私が率先して人を全て殺し回っていたけどね。でもよく私が何気なく付けた水中眼鏡の件だけで、私が闇の依頼人だと確信が持てたわね」
「フフフ、一度ボロを出してしまえば、後は玩具の積み木のようにその罪と証拠は下からバラバラに壊れていくのですよ」
「だけど私を疑りだしたのはそれだけでは当然ないわよね」
その梅塚幸子の言葉に、羊野は何やらうきうきしながらその疑問を返す。
「二つ目は緑川さんが水瓶人間の襲撃により右腕に受けた切り傷です。私が悪魔の水瓶に投げつけた包丁は彼女の右腕をかすめながらその衣服ごと切り裂いて、その肌に切り傷を残したみたいですが、緑川さんの右腕にあった切り傷は切ったと言うよりはナイフの刃が縦に突き刺さったような傷でしたから緑川さんが悪魔の水瓶では無い事は直ぐに分かりましたわ」
「やはり緑川は悪魔の水瓶ではなかったか。なら、その事が分かっていたならなぜもっと早くその事を教えてくれなかったんだよ。あらぬ疑いを掛けて緑川の奴を荷物倉庫に閉じ込めてしまったじゃないか」
「ほほほほ、どうやら梅塚幸子さんは是が非でも緑川さんを犯人に仕立て上げて生き残った皆さんを疑心暗鬼にさせて回りを攪乱させたいようでしたから、その罠に敢えて掛かった振りをして犯人の動向を追ってみたと言う訳ですわ。まああの迫真の演技とも言うべき死んだふりを見せ付けられてから貴方のことは疑っていましたからね。あなたが口から吐き続けた液体が何なのかを匂いを嗅いだり、他の汚染水と比較したりして。あなたの素性を警察の知り合いに頼んで調べて貰っていたのですよ。そして、この一階のデパート内にある防犯カメラの記録画像をチェックする監視室内で私は、今日一日あなたと出会った人を重点的に探し出していたのですよ」
「ああ、お前が行き成り別行動をして一階に消えて行ったのは、監視カメラの記録の映像をチェックする為だったのか」
「まあ、そんな所ですわ。話を元に戻します。そして十一時丁度に嫌がる海月リク君を無理やり連れてデパート内に入って来た、梅塚幸子さん……あなたの姿と。その後、十二時丁度に凄く不安な顔をしながらデパート内に入って来た海月光子さんの姿が人が混雑し入り乱れる中に、その姿がしっかりと映っていましたわ。そして水谷里子さんが5階フロアーで見たと言う六歳くらいの子供が悪魔の水瓶に手を引かれて何処かに行ったと言う話を聞いて、その子供が海月リク君だと言う可能性を推理した私は直ぐさま警察の知り合いに電話を入れて、昨日まで海月光子さんが入院していた病院に誰かが彼女に見舞いに来たかを調べて貰っていたのですよ。勿論偽名を使って接触を図っていたかも知れませんから、病院内に設置してある防犯カメラの画像から海月光子さんに接触した人の画像を私のスマホに送って貰ったのですよ」
「そして、その見舞い人の中に梅塚幸子さんの姿もあったと言う訳か。彼女は海月光子さんとは友達でも勿論知り合いでも無いからな。特に面識がない梅塚幸子さんが、海月光子さんの病室を訪れるのは非常に可笑しいと言う事か。だから梅塚幸子さんが闇の依頼人で、その彼女に操られている悪魔の水瓶は海月光子さんだと軽く想像が出来たと言う訳か」
「まあ、そんなとこですわ。あの悪魔の水瓶に扮した海月光子さんの正体にどういう訳か、あの甕島佳子さんは気付いていたみたいですから、なぜその事を盲目でもある彼女が知っていたのかは理解に苦しみますね。しかもそんな甕島佳子さんは悪魔の水瓶に扮した海月光子さんに対し何かを話してその戦いを一時的に退けたそうですが、一体何を話ていた事やら?」
「なら、狂人ゲームの開始と共に、子供を人質に海月光子さんを脅した梅塚幸子さんは、海月光子さんと共に悪魔の水瓶の姿に扮して屋上の最上階から各階ごとに人々をあの大木槌で叩き殺して行ったのか。そして二階フロアーで木戸警備員と長瀬警備員を一階フロアーに追い返してから、今度はその仮装を脱いで逃げ惑う被害者の一人になって俺と羊野が現れるのを静かに待っていたと言う事か。恐らくあんたにとっても、この狂人ゲームの対戦相手でもある俺と羊野はまだその正体もよく分からない未知の存在だったはずだ。だからこそあんたは一先ずは様子を見るために敢えて被害者の一人を装って俺達の動向を観察していたと言う事か。そして隙を見て海月光子さんに電話で的確な指示と脅しの言葉を使い分けながら、悪魔の水瓶に扮した海月光子さんを動かしていた。そう言う事だな」
「ええ、そう言う事ですわ。黒鉄さんが三階フロアーで初めて水瓶人間と対峙した時と、四階で甕島佳子さんが水瓶人間を五階に追い返したあの悪魔の水瓶は先ず間違いなく海月光子さん、ご本人でしょう」
「なら三度目に五階フロアーで俺と甕島佳子さんを襲ったあの水瓶人間はもしかして……」
「ええ、今目の前にいる梅塚幸子さんご本人に、まず間違いありませんわ」
「じゃ、あの時 、甕島佳子さんがあの暗闇の中で何処かに引きずられて行ったという事は……?」
「恐らく甕島佳子さんはあの水瓶人間の正体が海月光子さんだと気付いていたのではないでしょうか。だからこそ、敢えて自分を襲った水瓶人間には手を出さなかった。そうでなきゃあの暗闇の中でも自由に動けるあの馬鹿女が後れを取るはずがありませんからね」
「お前は甕島佳子さんの事をけなしているのか認めているのか、どっちなんだよ!」
「ホホホ、とにかくです。なぜ甕島佳子さんが海月光子さんの事を知っているのか。そこの所を後で彼女にはいろいろと聞いてみないといけませんわね」
「その事なんだが、甕島佳子さんの話では、どうやら目の不自由な彼女は人の殺気や殺意を体全体で感じとって、誰よりも的確に素早く動く事が出来る能力を持っているらしいんだ。だから、何やら心に大きな迷いのある海月光子さんと遭遇した時も、その敵意が無い事を自ら感じ取って敢えて手を抜いてやっていたんじゃないだろうか。そのあやふやな彼女の心の中を見抜いたからこそ、この水瓶人間は本当の犯人では無いと佳子さんは気付いたんだよ。梅塚幸子さんの事は面識がないだろうから恐らくは知らないはずだ」
「うう~ん、果たしてそうでしょうか? 私は最初から知っていたように思えるのですが」
「まあ、その話はまた後にしようぜ。どうやら会話の待ちぼうけを食らっている梅塚幸子さんと海月光子さんが待ちきれないようだ」
「フフフフ、どうやらそうみたいですわね。ではそろそろこの長い戦いに決着を付けましょうか」
そのいかした二人の言葉に黙って聞いていた梅塚幸子が顔を真っ赤にしながら怒りで狂いまくる。
「私を捕まえるだとう。な、舐めやがって、舐めやがって、舐めやがってぇぇぇぇっ、こちらには二人の人質がいるんだぞ。ちくしょう、やれる物ならやってみろよ。あの痛ましい事故で死んでいった私の息子の為にも、私は一人でも多くの人間を殺さないといけないんだ! そうしないと私の子供が……あの子が……本当に……報われない。うううううううう……きゃはははは、そうだ、あの子は人の……人々の死を心から望んでいるんだ。だったら私は一人の母親として、あの子があの世でも寂しくないように、一人でも多くの人間を地獄に送ってやらないと。そうだ、そうだよ。きゃはははははははは!」
「梅塚幸子さん……あなたは……もう……」
本当に狂ってしまっているんだな~と言いかけた勘太郎は、咄嗟に自分の口を噤む。その言葉を本人に向けて言うのは何だか恐ろしく、そして物悲しく哀れだと思ったからだ。
そんな勘太郎とは対照的に羊野はそんな梅塚幸子に白い羊の顔を向けながら、二双の打ち刃物の包丁を両太股に装備してある長いロングスカートから素早く抜き放つと、手の平の中でその包丁をまるで曲芸のように華麗に回しながら素早く構える。
「感傷に浸っている余裕はありませんわよ。心が既に壊れていて、その精神に深刻な異常がある梅塚幸子さんの方は私がお相手をしますから、黒鉄さんの方は早く向こうの方を何とかしてあげて下さい。またいつものように小賢しい卑怯な手でも考えているのでしょ!」
「小賢しい卑怯な手とはなんだ。せめて奇策と呼べよ、奇策と!」
勘太郎は目の前で大木槌を構える海月光子に注意を向けながら、着ている黒のダークスーツの上着の袖に手を掛けるのだった。
「うわぁぁ! もう、もうこんな事はやめて下さい。お子さんの方は俺と羊野で必ず探しだして助けて見せますから!」
そんな勘太郎の必死の呼びかけを無視するかのように悪魔の水瓶は、その両手に持っている大木槌を振り上げながら目の前にいる勘太郎に迫る。
手に持つ懐中電灯の明かりだけが頼りなので暗闇から迫り来る悪魔の水瓶だけに注意が行き、後ろに下がった羊野や何処かに隠れていると思われる梅塚幸子の姿が全く見えない。そんな周りの様子を全く確認する余裕のない勘太郎は暗闇が広がる空間で懐中電灯の光を悪魔の水瓶のマスクに向けながら何とか必死の抵抗をするが、なぜか余り効き目が無い用だ。
確かに鬼気迫る勢いで襲ってくる悪魔の水瓶の猛攻は油断ならない物があったが、その動きはかなり遅く体が疲弊しているのか息も絶え絶えのようだ。
その顔には大きな水瓶のマスクを被っているのでその表情は全く見えず、何を考えているのかは全く分からない。だがそれでもその切れのない動きや震え具合から察するに、どうやらかなり疲れている物と軽く想像出来る。
明らかに疲れが見られる悪魔の水瓶は手に持つ大木槌を勢いよく振り上げるとそのまま渾身の力を込めて振り下ろすが、その攻撃を咄嗟に避けた勘太郎はすかさず彼女との間合いを空ける。その素早いフットワークの動きに大きく狙いが外れた大木槌の一撃は見事に空を切り、その後ろに設置してあるお菓子が並んでいる駄菓子屋の店棚を粉々に破壊する。
勘太郎はそんな悪魔の水瓶の最後の悪あがきというべき攻撃を必死で避けながら彼女に話しかける。
「あなたはもしかして……海月光子さんですか。もしそうなら返事をして下さい。この下の五階フロアーで水谷里子さんが見たと言う、悪魔の水瓶が連れていたお子さんとは、あなたの息子さんでもある海月リク君なのではないのですか。恐らく狂人ゲームが始まってから直ぐに六階フロアーから順に各階を回って、罪のない人達をその大木槌で叩き殺していたのは、悪魔の水瓶に姿を変えて殺人鬼となった梅塚幸子さんの方だったのではないのですか。その彼女にあなたはお子さんを何処かに連れさらわれて、人質にされている。でも一体全体そんなあなたは、何故このデパート内にいるのですか? 一体なぜだ!」
その勘太郎の必死の呼びかけにも当然悪魔の水瓶は応えない。ただただ「ポポポポーッ」と言う鳩のような小さな鳴き声と激しい息づかいが聞こえるだけだ。
「う、海月光子さん。あなたはやはり……海月光子さんですよね。こんな事はもうやめましょう。こんな事をしてもあなたのお子さんが無事に帰ってくると言う保証は何処にもないんですよ。犯人の脅しに屈して、この狂った計画に加担しないで下さい!」
そうは言った物の、羊野の推測道理にこの悪魔の水瓶の正体が海月光子さんなら今勘太郎が言っている言葉に心を揺さぶられる物がもしかしたらあるのだろうが、全くの人違いだったら物凄い的外れな事を言っていると言う事になる。
そんな想像と審議に不安を抱きながら半信半疑になっていた勘太郎だったが、この目の前にいる水瓶人間の殺意を何とかして抑え、鎮圧する事が出来れば彼女の正体が暴かれ新たな展開に進む事が出来るだろう。
勘太郎は十分な間合いを取りながら悪魔の水瓶を睨みつける。
「仕方が無い……あれをだすか……」
勘太郎はいつか訪れるかも知れないこんな状況を想定しながら、四階フロアーを去る時にその場からくすねて来たある物を必死に探る。
後ろの腰ベルト付近に隠してあるその品物は、悪魔の水瓶を確実に怯ませ戦闘不能にするには十分な物だった。
ある物を素早く取り出すために後ろの腰ベルト付近をさりげなく触っていた勘太郎は、手の指でさりげなく確認しながら、やがて訪れるその最大のチャンスを探る。
くそぉぉ、恐怖の余りに……足が竦む。心が折れそうになる。だが逃げちゃ駄目だ! 逃げちゃ駄目だ! 逃げちゃ駄目だ! 逃げちゃ駄目だ! くそ~俺はどこのアニメの主人公だよ!
勘太郎は悪魔の水瓶が振り下ろす大木槌の攻撃を何とか避けながら横たわる死体のある方へと大きく飛び跳ねるが、後ろへと飛び跳ねた勘太郎の背後から何かの気配と影が行き成り現れる。
勘太郎の背後に現れたのは紺のスーツを着た男性に扮した梅塚幸子、本人である。梅塚幸子は沢山の死体が転がるその中の一体の死体の振りをしながら勘太郎が近づき、いつか背後を見せるそのチャンスをただじ~と待っていたのだ。
見事に勘太郎の背後を取ることに成功した梅塚幸子は、横たわる隣の死体に隠し持っていた大木槌を手に取ると、その大木槌を振り上げながら勘太郎に迫る。
「ぎゃははははははははっ! 私の邪魔をする奴は例え誰であろうと許す訳にはいかない。だからお前は今ここで大人しく死ねぇぇぇ。黒鉄の探偵ぇぇぇぇ!」
その迫り来る相手の顔を見た時、勘太郎の顔は余りの恐怖に思わず凍り付く。目の前で襲い来る梅塚幸子の顔は今までに見たいつもの顔ではなく、凶器にとち狂った恐ろしい顔をしていたからだ。その顔の部分でつり上がった目の眼球は鬼のように血走り、ヨダレを垂らしながら不気味な声で狂乱の表情を見せる。その姿はまるで子供を奪われた事に激しく狂った恐ろしい鬼のようだ。
そんな彼女の思わぬ奇襲に全く身動きができない勘太郎は、大きな大木槌を持ち上げながら現れた梅塚幸子に思わず絶句する。
そんな勘太郎の様子を直ぐ近くで見ていた関根孝は、持っていた懐中電灯の光を梅塚幸子の目に当てながら大きな声で叫ぶ。
「く、黒鉄の探偵さん……う、後ろだ。あ、危ない!」
咄嗟にでた関根孝の言葉に我に返った勘太郎ははっとしながら後ろへ飛び退けようと素早く動くが、一~二秒遅れた事によって梅塚幸子の持つ大木槌が恐怖に歪む勘太郎の顔に向けて理不尽にも振り下ろされそうになる。
「あははははは、あははははははははっはっ! 私の復讐による……正義の制裁の邪魔をするのなら、今この場で殺す。この大木槌で……餅搗きのように叩き殺す! その罪深い高慢ちきな頭をたたき割って私の復讐を完成させてみせるわ!」
そう叫びながら殺意に満ちた一撃が勘太郎の頭に直撃しそうになるが、そんな勘太郎の真横から勢いに満ちた強烈な蹴りが飛ぶ。
そのいきなりの勢いある蹴りの力によって思わず反対側へと吹き飛ばされた勘太郎は、床に這いつくばりながらも直ぐに体の体勢を変えると、自分を蹴り飛ばした人物の顔をマジマジと見る。
「痛い。いててて。一体誰だ。俺の横っ腹を蹴り飛ばしたのは。流石に痛いわ!」
勢いよく横へと倒れた勘太郎が直ぐさま体を引き起こすと、そこにはさも当然のように勘太郎を助けた羊野瞑子の姿があった。
梅塚幸子は血走った怒りの目を羊野瞑子に向けながら、その手に持つ大木槌を荒々しく構える。その姿はなんだか異様で、その異常な殺意と狂気が勘太郎にも十分に伝わる程だ。
そんな異常な悪意に全く臆する事の無い羊野は、その被ってある白い羊のマスクを梅塚幸子に向けながら不気味に話しかける。
「あらあら、こんな所に隠れていたのですか。あなたが殺した他の人達の死体の中に隠れて私達を襲う機会を密かに伺っていたみたいでしたけど、あなたの考えはもう既に分かっていましたわ。だからこそ黒鉄さんと関根孝さんを囮にして、少し離れた所から事の成り行きを黙って見守っていたのですよ。フフフフ、恐らくは黒鉄さんと関根孝さんが持つ懐中電灯の明かりを頼りに、後ろから一撃のもとにその相手の後頭部を叩き割るつもりだったのでしょうが、私はこの羊のマスクに搭載されている暗視装置のお陰で暗闇の中でも自由に動けますからね。あなたが他の死体に紛れて人を襲う事を選択した時点でこの私の姿を見つけることは出来なかったと言う事です。もしもあなたがあの悪魔の水瓶役を海月光子さんに任せるのではなく、貴方自身が悪魔の水瓶のマスクを被っていたのなら私の接近に気づく事も出来たのでしょうが、どうやら役割に無理が生じたみたいですわね」
「白い羊の女……確か羊野瞑子だったかしら。あと少しでこの黒服の探偵の頭をかち割る事が出来たのに、邪魔してくれてるんじゃねえよ! このカスがぁぁぁぁぁ!」
「なぜ、黒鉄さんを真っ先に襲ったのですか? 先ず襲うのなら西条ケミカル化学会社の専務の役職でもある、関根孝さんの方が先じゃないのですか」
「この黒服の探偵は私の計画の全てを邪魔してくれたからだよ。この日のためにいろいろと計画し準備をしていたのに、悉く邪魔しやがって。本当はもっと数多くの人間を沢山殺せたのに、本当にむかつく野郎だぜ!」
その梅塚幸子の発言に勘太郎がすかさず反論をする。
「何を言っているんだ、梅塚幸子さん。あなたの目的は西条ケミカル化学会社の重要な役職にある人達に復讐をする事ではないのですか?」
「きゃはははははー、確かに本来の目的はそうだが、それだけではない。私が数多くの罪のない人達を殺す事によって西条ケミカル化学会社で働く関係者達にその罪の意識と後悔をできるだけ多く植え付けながら殺す事に意味があるんだよ。罪の意識とその絶望的な恐怖にさいなまれながら死んでいけばいいと思ってな。そう思って囮役の水瓶人間もどきの陰に隠れながら一人でも多くの人を殺し回っているんだが、そんな計画も黒鉄の探偵に見事に阻まれた。海月光子と言う囮を使って注意を引きつけながら、人が死に至るようにいろいろと画策したのに……途中までは上手く行っていたのに……目の前にいるへっぽこ探偵と白い羊の女が現れてから状況が一変した。水瓶人間に扮した海月光子には、出来るだけ多くの人間を精神的にも肉体的にも追い込んでから一人一人を分断させて貰いたかったのに、いつもそこにお前らが現れて邪魔をしてくれたよな。私の計画では水瓶人間に追い込まれて逃げ惑う人のその背後から大木槌で頭をかち割ってやろうと思っていたんだが、後半は中々人を殺す機会が減ってしまった。これも全ては白い羊の女と黒服の探偵のせいだ!」
「はあ~、こいつ何だか面倒くさいですわね。黒鉄さん、こいつ今すぐに殺していいですか」
「いや、言い訳がないだろう。もう少し待てよ。俺も梅塚幸子さんには少し話があるからさぁ」
そんな恨み言を言う梅塚幸子さんを見つめながら勘太郎は淡々と話を切りだす。
「あんたの素性や昔のことはもう既に知り合いの警察の関係者に調べて貰っているから、その足取りはもうつかめているよ。羊野の話では、五年前に起きたあの川の反乱の堤防の決壊事故で不幸にも流されて亡くなった子供達の遺族の一人と言う事ですね。つまりあなたの正体はその亡くなった一人の子供の母親と言う事です。そうですよね、梅塚幸子さん。確かにその不幸な事故でたった一人のお子さんを亡くされた事には深くお悔やみと同情はしますが、だからといって人を殺していいと言う事にはならない。しかも恨みを向けている西条ケミカル化学会社の関係者達だけでは飽き足らず、なんの関係もないただの一般の人達まで巻き込んで無情にも殺しにかかるとは流石に許されない事です。その余りの悲しみと人を恨む怨念が強すぎてついに見境がつかなくなってしまったのですか? いずれにしてもです。もう貴方にこのまま人殺しをさせる訳にはいきません。しかもなんの関係も無い海月光子さんとそのお子さんまでもを巻き込んで、無理矢理に水瓶人間役を強要させている。恐らくは海月さんのお子さんを人質にでも取って、海月光子さんを無理やりこの計画に加担するようにと彼女を脅迫したんだろうけど。その本当の目的は、後で全ての罪を海月光子さんに着せて、宛も彼女が自分から自殺をしたかのように見せかけて殺害し。その全ての罪から自分だけが逃れると言う計画だな。あなたのこの自虐的な無謀な計画になぜあの壊れた天秤が乗ったのかは分からないが、もうこれ以上はあなたの好きにさせておく訳には行かないと言う事です。そんな訳で何処かに監禁し閉じ込められている西条社長と海月さんのお子さんの海月リク君の居場所を是が非でも吐いて貰いますよ」
そう言いながら近づく勘太郎に、梅塚幸子は手に持つ大木槌を豪快に振り回しながら勘太郎と羊野を牽制する。
「ちくしょう、ちくしょう、あのクソガキは海月光子を縛り付ける為の人質に……西条社長は関根孝を引き寄せる囮として生かしていたのに、また計算が狂ってしまったわ。狂人ゲームが始まった当初は沢山の人を面白いくらいに殺せたのに!」
「つまり……木戸警備員と長瀬警備員の証言にもあった、二階のフロアーで二人を襲ったのは、水瓶人間に扮した梅塚幸子さん……あなただった訳だ」
「きゃはははは、まあそう言う事だな。二階の女子トイレに隠れていたと言うのは勿論嘘だよ。狂人ゲームが始まって各階の入り口が完全に封鎖したのと同時に屋上から順番に各階の下へと降りてきて1時間の内に罪のない人達を殺しに殺して回ったんだよ。勿論私はこのデパート内に呼びつけた西条社長率いる西条ケミカル化学会社の関係者達の顔は全て覚えているからその人達を重点的に殺して回ったが、でも直ぐに彼らを殺してしまったらその死にゆく恐怖を奴らに十分に味わらせる事が出来ないでしょ。だからこそなんの関係もない人達をワザと彼らの目の前で殺して見せて、その絶望的な恐怖を視覚でたっぷりと味合わせてから、西条ケミカル化学会社の関係者達を殺す事にしたんだよ。私の息子が苦しんだその恐怖と悲しみを彼らにも是非とも味わって貰いたかったからな!」
「そんな事のために、何も知らない人達は無残にも殺されていったのか。許せない、こんな身勝手な殺人はもう絶対に許す事は出来ないぞ。梅塚幸子さん、あなたの精神状態はどうやらかなり異常のようだ。今すぐに貴方を拘束させて貰うぜ!」
「はははは、出来る物ならやって見ろよ、黒服の探偵ぇぇぇ! 悪魔の水瓶よ何を後ろで突っ立ているんだ。早くこいつらを殺さないとあなたのお子さんの命は無い物と思えよ。あんたの働き具合によっては、あのクソガキは惨めにも苦痛にさいなまれながら死ぬことになるんだからな! きゃはははは、いい気味。子供を失ったこの深い悲しみと絶望の思いをあなたも味わうといいわ。さあ、早くしないと私の仲間があなたのお子さんを殺す事になるわよ! もしかしたらもう間に合わないかも……。くくくく……!」
その梅塚幸子の非常な言葉を聞いた悪魔の水瓶は「ポポポポポポポポポポポポーッ!」と謎の奇声を上げながら勘太郎に襲いかかろうとするが、その動きを関根孝が大きな声で止める。
「海月光子さん、落ち着いて下さい。彼女の言葉に惑わされては駄目だ! 大丈夫ですよ、今あなたのお子さんは長瀬警備員と木戸警備員が血眼になって各階を必死に探していますから、見つかるのは時間の問題だ。だからどうか安心して下さい!」
勿論関根孝のついた言葉は真っ赤な嘘なのだが、その言葉に反応した悪魔の水瓶はその動きを止める。
「一体何をしているの。私の言うことを聞かないと本当にあなたのお子さんは、私の子供と同じように水を鱈腹飲んで溺れて溺死してしまうのだけれど、それでもいいのかしら。まあ私はどっちでもいいけどね!」
そんな無慈悲な梅塚幸子の言葉に勘太郎は恐怖を覚えながらも思わずくってかかる。
「梅塚幸子さん……あなたはなぜそこまでして人を憎み貶める事が出来るのですか。彼女は直接あの事故には特に関わってはいないし、子供を失った母親の苦しみや悲しみはあなたが一番よく知っているはずです。なのになぜそんな酷いことができるんだ!」
「黙れ、黙れ、黙れ、お前に私の苦しみの何が分かると言うんだ。その怒りと悲しみを当然知っているからこそ今私はこんな事をしているのよ! この五年間の間……いつも途絶える事無く、あの子の悲痛な声が私の耳に聞こえて来るのよ。お母さん……お母さん……暗いよ……苦しいよ……痛いよ……助けて……助けて……昼夜を訪わずその息子の声が途絶えること無く、私の耳にいつまでも聞こえてくるのよ。そうこの五年間ずっ~とよ。でもある時からその声が変わったの……お母さん……あいつらを殺して……あいつらを苦しめて……あいつらをできるだけ多く地獄に送って……僕が寂しくないように……という言葉にね。だから私はあの闇の組織に人の殺害の依頼を頼んだのよ!」
「あの一週間前に起きた別荘地での十二人殺しの事件の事ですね」
「そうよ、本当はあの別荘にいた十四人全ての人間を殺す予定だったのに、あの悪魔の水瓶とか言う殺し屋は約束を守らなかったのよ。だから今度こそその母子を確実に殺してと言ったら行き成りこの依頼を降りるとか言いだしやがって……本当に根性のないふざけた奴だったよ。あの罪人の親子に情けなんか掛けてんじゃねえよ!」
「でもそんなあなたに、もう一人の狂人が声を掛けて来たのではありませんか。そうあの円卓の星座の創設者にしてこの狂人ゲームと言うルールを作った、狂人・壊れた天秤がです!」
そう言い出したのは話を黙って聞いていた羊野瞑子である。そんな羊野の質問に応えるかのように梅塚幸子は羊野と勘太郎、そして一番後ろにいる関根孝を激しくにらみつけながら今までに起きた出来事を淡々と語る。
「ひゃひゃひゃ、そうよ、あの悪魔の水瓶がこの親子を見逃したから私がわざわざ海月リク君を誘拐して、わざわざ病室に行ってその事を梅塚幸子に言ってやったのよ。『子供の命を助けたいなら、明日の昼の十二時に屋上で待つ』とか行ってね。この計画をその壊れた天秤とか言う奴に話したら是非ともその計画に協力させてくれとか言ってきて、資金提供やその計画に使う様々な人や物資までただで貸してくれたわ。本当に変わった爺さんよね。後はこのデパートにわざわざ来た海月光子を脅して水瓶人間の姿にさせて、同じく悪魔の水瓶に扮した私と協力して、各階のフロアーに降りて、目に付く人達を手当たり次第に殺し回って行ったわ。まあ、彼女は人を殺せないみたいだったから、私が率先して人を全て殺し回っていたけどね。でもよく私が何気なく付けた水中眼鏡の件だけで、私が闇の依頼人だと確信が持てたわね」
「フフフ、一度ボロを出してしまえば、後は玩具の積み木のようにその罪と証拠は下からバラバラに壊れていくのですよ」
「だけど私を疑りだしたのはそれだけでは当然ないわよね」
その梅塚幸子の言葉に、羊野は何やらうきうきしながらその疑問を返す。
「二つ目は緑川さんが水瓶人間の襲撃により右腕に受けた切り傷です。私が悪魔の水瓶に投げつけた包丁は彼女の右腕をかすめながらその衣服ごと切り裂いて、その肌に切り傷を残したみたいですが、緑川さんの右腕にあった切り傷は切ったと言うよりはナイフの刃が縦に突き刺さったような傷でしたから緑川さんが悪魔の水瓶では無い事は直ぐに分かりましたわ」
「やはり緑川は悪魔の水瓶ではなかったか。なら、その事が分かっていたならなぜもっと早くその事を教えてくれなかったんだよ。あらぬ疑いを掛けて緑川の奴を荷物倉庫に閉じ込めてしまったじゃないか」
「ほほほほ、どうやら梅塚幸子さんは是が非でも緑川さんを犯人に仕立て上げて生き残った皆さんを疑心暗鬼にさせて回りを攪乱させたいようでしたから、その罠に敢えて掛かった振りをして犯人の動向を追ってみたと言う訳ですわ。まああの迫真の演技とも言うべき死んだふりを見せ付けられてから貴方のことは疑っていましたからね。あなたが口から吐き続けた液体が何なのかを匂いを嗅いだり、他の汚染水と比較したりして。あなたの素性を警察の知り合いに頼んで調べて貰っていたのですよ。そして、この一階のデパート内にある防犯カメラの記録画像をチェックする監視室内で私は、今日一日あなたと出会った人を重点的に探し出していたのですよ」
「ああ、お前が行き成り別行動をして一階に消えて行ったのは、監視カメラの記録の映像をチェックする為だったのか」
「まあ、そんな所ですわ。話を元に戻します。そして十一時丁度に嫌がる海月リク君を無理やり連れてデパート内に入って来た、梅塚幸子さん……あなたの姿と。その後、十二時丁度に凄く不安な顔をしながらデパート内に入って来た海月光子さんの姿が人が混雑し入り乱れる中に、その姿がしっかりと映っていましたわ。そして水谷里子さんが5階フロアーで見たと言う六歳くらいの子供が悪魔の水瓶に手を引かれて何処かに行ったと言う話を聞いて、その子供が海月リク君だと言う可能性を推理した私は直ぐさま警察の知り合いに電話を入れて、昨日まで海月光子さんが入院していた病院に誰かが彼女に見舞いに来たかを調べて貰っていたのですよ。勿論偽名を使って接触を図っていたかも知れませんから、病院内に設置してある防犯カメラの画像から海月光子さんに接触した人の画像を私のスマホに送って貰ったのですよ」
「そして、その見舞い人の中に梅塚幸子さんの姿もあったと言う訳か。彼女は海月光子さんとは友達でも勿論知り合いでも無いからな。特に面識がない梅塚幸子さんが、海月光子さんの病室を訪れるのは非常に可笑しいと言う事か。だから梅塚幸子さんが闇の依頼人で、その彼女に操られている悪魔の水瓶は海月光子さんだと軽く想像が出来たと言う訳か」
「まあ、そんなとこですわ。あの悪魔の水瓶に扮した海月光子さんの正体にどういう訳か、あの甕島佳子さんは気付いていたみたいですから、なぜその事を盲目でもある彼女が知っていたのかは理解に苦しみますね。しかもそんな甕島佳子さんは悪魔の水瓶に扮した海月光子さんに対し何かを話してその戦いを一時的に退けたそうですが、一体何を話ていた事やら?」
「なら、狂人ゲームの開始と共に、子供を人質に海月光子さんを脅した梅塚幸子さんは、海月光子さんと共に悪魔の水瓶の姿に扮して屋上の最上階から各階ごとに人々をあの大木槌で叩き殺して行ったのか。そして二階フロアーで木戸警備員と長瀬警備員を一階フロアーに追い返してから、今度はその仮装を脱いで逃げ惑う被害者の一人になって俺と羊野が現れるのを静かに待っていたと言う事か。恐らくあんたにとっても、この狂人ゲームの対戦相手でもある俺と羊野はまだその正体もよく分からない未知の存在だったはずだ。だからこそあんたは一先ずは様子を見るために敢えて被害者の一人を装って俺達の動向を観察していたと言う事か。そして隙を見て海月光子さんに電話で的確な指示と脅しの言葉を使い分けながら、悪魔の水瓶に扮した海月光子さんを動かしていた。そう言う事だな」
「ええ、そう言う事ですわ。黒鉄さんが三階フロアーで初めて水瓶人間と対峙した時と、四階で甕島佳子さんが水瓶人間を五階に追い返したあの悪魔の水瓶は先ず間違いなく海月光子さん、ご本人でしょう」
「なら三度目に五階フロアーで俺と甕島佳子さんを襲ったあの水瓶人間はもしかして……」
「ええ、今目の前にいる梅塚幸子さんご本人に、まず間違いありませんわ」
「じゃ、あの時 、甕島佳子さんがあの暗闇の中で何処かに引きずられて行ったという事は……?」
「恐らく甕島佳子さんはあの水瓶人間の正体が海月光子さんだと気付いていたのではないでしょうか。だからこそ、敢えて自分を襲った水瓶人間には手を出さなかった。そうでなきゃあの暗闇の中でも自由に動けるあの馬鹿女が後れを取るはずがありませんからね」
「お前は甕島佳子さんの事をけなしているのか認めているのか、どっちなんだよ!」
「ホホホ、とにかくです。なぜ甕島佳子さんが海月光子さんの事を知っているのか。そこの所を後で彼女にはいろいろと聞いてみないといけませんわね」
「その事なんだが、甕島佳子さんの話では、どうやら目の不自由な彼女は人の殺気や殺意を体全体で感じとって、誰よりも的確に素早く動く事が出来る能力を持っているらしいんだ。だから、何やら心に大きな迷いのある海月光子さんと遭遇した時も、その敵意が無い事を自ら感じ取って敢えて手を抜いてやっていたんじゃないだろうか。そのあやふやな彼女の心の中を見抜いたからこそ、この水瓶人間は本当の犯人では無いと佳子さんは気付いたんだよ。梅塚幸子さんの事は面識がないだろうから恐らくは知らないはずだ」
「うう~ん、果たしてそうでしょうか? 私は最初から知っていたように思えるのですが」
「まあ、その話はまた後にしようぜ。どうやら会話の待ちぼうけを食らっている梅塚幸子さんと海月光子さんが待ちきれないようだ」
「フフフフ、どうやらそうみたいですわね。ではそろそろこの長い戦いに決着を付けましょうか」
そのいかした二人の言葉に黙って聞いていた梅塚幸子が顔を真っ赤にしながら怒りで狂いまくる。
「私を捕まえるだとう。な、舐めやがって、舐めやがって、舐めやがってぇぇぇぇっ、こちらには二人の人質がいるんだぞ。ちくしょう、やれる物ならやってみろよ。あの痛ましい事故で死んでいった私の息子の為にも、私は一人でも多くの人間を殺さないといけないんだ! そうしないと私の子供が……あの子が……本当に……報われない。うううううううう……きゃはははは、そうだ、あの子は人の……人々の死を心から望んでいるんだ。だったら私は一人の母親として、あの子があの世でも寂しくないように、一人でも多くの人間を地獄に送ってやらないと。そうだ、そうだよ。きゃはははははははは!」
「梅塚幸子さん……あなたは……もう……」
本当に狂ってしまっているんだな~と言いかけた勘太郎は、咄嗟に自分の口を噤む。その言葉を本人に向けて言うのは何だか恐ろしく、そして物悲しく哀れだと思ったからだ。
そんな勘太郎とは対照的に羊野はそんな梅塚幸子に白い羊の顔を向けながら、二双の打ち刃物の包丁を両太股に装備してある長いロングスカートから素早く抜き放つと、手の平の中でその包丁をまるで曲芸のように華麗に回しながら素早く構える。
「感傷に浸っている余裕はありませんわよ。心が既に壊れていて、その精神に深刻な異常がある梅塚幸子さんの方は私がお相手をしますから、黒鉄さんの方は早く向こうの方を何とかしてあげて下さい。またいつものように小賢しい卑怯な手でも考えているのでしょ!」
「小賢しい卑怯な手とはなんだ。せめて奇策と呼べよ、奇策と!」
勘太郎は目の前で大木槌を構える海月光子に注意を向けながら、着ている黒のダークスーツの上着の袖に手を掛けるのだった。
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