俺の彼女記録

黒沢ハコ

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俺の彼女の癖

無自覚って怖いわぁ

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「さむっ......」
彼女は、ブルリと震える。
12月。
今年は暖かい方だが、ふく風は冷たく、
俺たちの肌を刺す。
「おう......」
上下フル装備の彼女に対し、
俺は、ジャンパーだけという、
見るからに寒そうな格好をしていた。
「もう、クリスマスなんだね」
あちこちから聞こえてくるクリスマスソングを、
彼女はうっとりとした感じで聞いている。
友達はよく、
「リア充爆発しろ」
とかいっているけど、こういうのもいいと思った。
みんなが幸せで、誰かがとなりにいる感じ。
それだけで、なんだか暖かく感じた。
「あ、肉まん食べよ、肉まん!」
コンビニに入って、
彼女は子供のようにそういった。
といっても、肉まんを食べるのは俺で、
彼女はあんまん。
甘いものに目がないのは相変わらずらしい。
彼女は、美味しそうにあんまんを食べ終わると
「さむーい」
と、また言った。
冷え性って大変だなぁ~。
そんなことを思いながら、俺は肉まんを食べる。
猫舌のせいで、
なかなか食べ終わらない。
「フフン♪」
彼女は、嬉しそうに笑った。
俺は、肉まんを落としそうになる。
彼女は、俺の空いている左手に右手で握り、
俺のポケットに手を突っ込んできた。
「あったかーい」
これ、ただただ暖を取りたかっただけなのか......
そうとわかったら、なんとなく、
寂しく思った。
だけど......
なんだか嬉しくなって、俺はその手を握り返した。
その手をまた、彼女が握り返してくる。
あ"あ"~......
「無自覚って怖いなぁ」
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