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彼の正体と過去と現在
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昼休みの屋上。
彼が、いつものように私の作ったお弁当で食欲を満たし、いつものようにチェックのズボンの下の、ボクサーパンツを徐にずり下げた。
そして、既にやや角度のついた状態のものを、膝立ちで待つ私の口元に運ぶ。
「口、開けて」
乱れた呼吸が溢れて、興奮していることがバレないよう、息を止めて閉じていた唇を開いた。
「歯、立てんなよ」
言われる前から下の歯に舌を被せ、慎重に含む。
熱い肉の塊が口いっぱいに広がった。
「ふ…ぅ…」
途切れ途切れに鼻から息が漏れる。
「唇で吸って…手と舌も使って」
言うとおりにすると、私の頭を掴んでいる手の力が徐々に強くなり、軽く腰が前後に動き出す。
「ハ…ッ、ああ、イイ。下半身溶けそう」
私も。
自分の唾液と口に含んでいるものから出てくる分泌物が口の中で混ざり合って、溶けそうだ。
先端に、熱が集まっていくのが舌から伝わってくる。
あと少し。
あと少しの我慢。
というところで、腰を引いて、口を空っぽにされる。
「やっぱ挿れていい?」
まずいと思った時はもう遅くて。
あっけなくコンクリートに押し倒され、暴かれた秘部は恥ずかしいくらいに濡れている。
いつもなら、即挿入。
の、はずなのに。
今日はー
羞恥で顔を覆っていた手を離せば、私に乗っかっているのは黒いスーツ姿の高嶺氏でー
「舐めてるだけでこんなになってんのに、『キスもまだ』とか言っての?超笑える」
自分の悲鳴で目が覚めた。
心臓の音が、ドキドキを通り越して、頭までガンガンと鳴り響いている。
夢だ。
夢で良かった。
ただし、湿った下着と、ジクジクと疼く下腹部の感触だけは現実で。
「気持ち悪い…」
伸びをしてからベッドを降りて、バスルームへ向かう。
張り付いていたショーツを下ろすと、糸を引くほど濡れていた。
「最悪…」
あの頃の夢なんて、もう何年も見ていなかったのに。
再会した途端あんな…
あんなはしたない夢を見るなんて。
自意識過剰にも程がある。
あまりの変貌ぶりに、未だに実感が沸かないけど、「高嶺氏=高嶺くん」なのは事実のようだ。
だからと言って、高嶺くんが私に気づいているかどうかは分からない。
ちょっと強引に専属担当にされたというだけで、やはり私に気づいている素振りはなかった。
私が私だから指名されたとは考え難い。
そもそも、私のことを覚えているかどうかすら怪しいのだ。
だって、私は高嶺くんにとって、ただの下僕でしかなかったのだから。
シャワーを浴び終え、いつもより丁寧にスキンケアとメイクを施していく。
少しでもあの頃の自分と遠くなるように。
決して高嶺くんに良く思われたいという気持ちからじゃない。
これは仕事だ。
だから、待ち合わせ場所で会ってすぐに言われた
「こんばんは、静花さん。今日もすごく綺麗ですね」
なんて言葉にときめいたりしない。
綺麗だなんて、当時は一度も言われたことないけど。
「こんばんは。高嶺さんも、今日のスーツすごく素敵ですね。よくお似合いです」
ニコリと優雅に微笑み、褒め返す。
「…ああ、なるほど。漠然と全体を褒めるんじゃなくて、ポイントで褒めた方が効果的なんですね」
さすが弁護士。
何も説明しなくてもこちらの意図を汲むのが上手い。
そもそも、のっけから私のことを褒められる時点で、Love Birdsのレッスンなんて必要ないと思うんだけど。
そんなことを考えていたら、高嶺くんの手がスッと伸びてきて、人差し指が私の顎を軽く持ち上げた。
彼が、いつものように私の作ったお弁当で食欲を満たし、いつものようにチェックのズボンの下の、ボクサーパンツを徐にずり下げた。
そして、既にやや角度のついた状態のものを、膝立ちで待つ私の口元に運ぶ。
「口、開けて」
乱れた呼吸が溢れて、興奮していることがバレないよう、息を止めて閉じていた唇を開いた。
「歯、立てんなよ」
言われる前から下の歯に舌を被せ、慎重に含む。
熱い肉の塊が口いっぱいに広がった。
「ふ…ぅ…」
途切れ途切れに鼻から息が漏れる。
「唇で吸って…手と舌も使って」
言うとおりにすると、私の頭を掴んでいる手の力が徐々に強くなり、軽く腰が前後に動き出す。
「ハ…ッ、ああ、イイ。下半身溶けそう」
私も。
自分の唾液と口に含んでいるものから出てくる分泌物が口の中で混ざり合って、溶けそうだ。
先端に、熱が集まっていくのが舌から伝わってくる。
あと少し。
あと少しの我慢。
というところで、腰を引いて、口を空っぽにされる。
「やっぱ挿れていい?」
まずいと思った時はもう遅くて。
あっけなくコンクリートに押し倒され、暴かれた秘部は恥ずかしいくらいに濡れている。
いつもなら、即挿入。
の、はずなのに。
今日はー
羞恥で顔を覆っていた手を離せば、私に乗っかっているのは黒いスーツ姿の高嶺氏でー
「舐めてるだけでこんなになってんのに、『キスもまだ』とか言っての?超笑える」
自分の悲鳴で目が覚めた。
心臓の音が、ドキドキを通り越して、頭までガンガンと鳴り響いている。
夢だ。
夢で良かった。
ただし、湿った下着と、ジクジクと疼く下腹部の感触だけは現実で。
「気持ち悪い…」
伸びをしてからベッドを降りて、バスルームへ向かう。
張り付いていたショーツを下ろすと、糸を引くほど濡れていた。
「最悪…」
あの頃の夢なんて、もう何年も見ていなかったのに。
再会した途端あんな…
あんなはしたない夢を見るなんて。
自意識過剰にも程がある。
あまりの変貌ぶりに、未だに実感が沸かないけど、「高嶺氏=高嶺くん」なのは事実のようだ。
だからと言って、高嶺くんが私に気づいているかどうかは分からない。
ちょっと強引に専属担当にされたというだけで、やはり私に気づいている素振りはなかった。
私が私だから指名されたとは考え難い。
そもそも、私のことを覚えているかどうかすら怪しいのだ。
だって、私は高嶺くんにとって、ただの下僕でしかなかったのだから。
シャワーを浴び終え、いつもより丁寧にスキンケアとメイクを施していく。
少しでもあの頃の自分と遠くなるように。
決して高嶺くんに良く思われたいという気持ちからじゃない。
これは仕事だ。
だから、待ち合わせ場所で会ってすぐに言われた
「こんばんは、静花さん。今日もすごく綺麗ですね」
なんて言葉にときめいたりしない。
綺麗だなんて、当時は一度も言われたことないけど。
「こんばんは。高嶺さんも、今日のスーツすごく素敵ですね。よくお似合いです」
ニコリと優雅に微笑み、褒め返す。
「…ああ、なるほど。漠然と全体を褒めるんじゃなくて、ポイントで褒めた方が効果的なんですね」
さすが弁護士。
何も説明しなくてもこちらの意図を汲むのが上手い。
そもそも、のっけから私のことを褒められる時点で、Love Birdsのレッスンなんて必要ないと思うんだけど。
そんなことを考えていたら、高嶺くんの手がスッと伸びてきて、人差し指が私の顎を軽く持ち上げた。
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