恋に堕ちたあの日から、私は先輩の檻の中

宮谷りく

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遥side

拘愛

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そんな俺の欲望なんて知るはずもない美子は、


新歓のあと、あっさりと俺を家にあげた。


「スリッパあるので、使ってくださ……っ」


言いかけた美子の腕を、掴む。


閉まったドアの音が背後に響くのと同時に、彼女の背を壁に押しつける。


――ずっと抑えていた衝動が、ここで一気に溢れた。


(……警戒心、なさすぎだろ)


思い返す。


さっきの新歓。


居酒屋のざわめきの中で、美子は一瞬で注目を集めていた。


「え、あの子ヤバくね? 可愛すぎ」

「彼氏いんのかな?」

「マジで狙おうかな……」


隣のテーブルから聞こえてきたそんな声に、
俺はグラスを持つ手の中で、舌打ちをこらえた。


(……お前らなんかが触れていい子じゃない)


彼女自身は無自覚なのかもしれないが、あの頃の無垢さに、今はほんの少し大人の色気が混じっていて――それが余計に男たちの欲望を煽っていた。


その笑顔一つで簡単に「狙おう」と思わせてしまう。


(……ホント、危なっかしい)


しかも、警戒心なんてゼロ。


さっきだって、男に「送ろうか」と言われて、断れずに頷こうとしていた。


もし俺が割り込まなかったら、そのまま別の男と帰っていたかもしれない。


(……許せるわけない)


だから、こうして強引にでも手に入れるしかなかった。


「……っ」


壁に押し付けられ、驚きに目を見開く美子。


その瞳に揺れる戸惑いすら、俺の独占欲をさらに煽る。


言葉を飲み込む間もなく、唇を塞いだ。


柔らかい唇の感触に、何度も夢見た光景が一気に現実になる。


もう、止められるはずがない。


キスの合間に息を荒くする美子を見て、胸の奥が満たされていく。


――あの新歓で、他の男の視線を一身に浴びていた子が、今こうして俺の腕の中で乱れている。


(そうだ……この子は、俺のものだ)


嫉妬も苛立ちも、欲望も。
全部、ひとつに溶け合っていく。


そして俺は、そのまま玄関から彼女を抱き上げ、ベッドへと運んだ。


「俺ね、ずっとこの時を待ってたんだよ」


覆いかぶさるように見下ろすと、美子は驚いた顔で俺を見上げる。


「美子ちゃんに、こうやって触れる日を」


囁きながら首筋に唇を落とすと、彼女の身体はびくりと震えた。


服の下に忍ばせた指先が熱を拾い上げるたび、甘い声が零れる。


彼女の腰が小さく跳ねるたびに、俺の中の欲望が牙を剥いた。


布越しに確かめた瞬間、湿った熱が指に伝わる。


「そんなに、触ってないのに……もうこんなに濡れてるんだ?」


冷ややかな声が自然と漏れた。


指を入れると、彼女の身体はすんなり俺の指を受け入れる。


(あー……)


やっぱり経験済み――そう思った途端、抑えきれない嫉妬が胸を締めつける。


服を剥ぎ、あらわになった美子の身体に、息が詰まった。


――驚くほど綺麗だった。


透きとおるように白く、柔らかそうで、指先ひとつで壊れてしまいそうなくらい儚いのに、どこか妖艶さを秘めている。


鎖骨から胸の起伏へと流れる線は滑らかで、腰のくびれは女の形そのもので。


俺が知らない間に、こんなにも“女”になっていた美子。


他の女の肌は、どうしても気持ち悪くて長く触れられなかったのに。


やっぱり、美子だけは違った。


もっと、ずっと、永遠に触れていたい。


その事実が、余計に俺を狂わせた。


「ねぇ、美子ちゃん。何人の男に、この身体を触らせた?」


答えられずに震える姿が、また堪らなく愛しい。


美子が、息を荒げながら甘い声を上げるたび、頭の中は、この姿を別の男が…と想像し、嫉妬と独占欲で真っ白になる。


――だから、何度も名前を呼ばせた。


俺以外のことなんて考えられなくなるように。


「……名前で呼んで。美子」


「あぁっ……! ん……は、るか……さんっ……」


震える声で縋るように俺を呼ぶその響きが、全身を痺れさせる。


「もっと」


懇願するようにせがみ、何度も腰を打ちつけ、奥まで貫く。


彼女の声が高く跳ね、涙をにじませながら告白が零れた。


「ぁっ、遥さ……すき……です……っ、ずっと……ぁ……遥さん、だけを……んあぁっ……」


その瞬間、心の底から満たされるのを感じた。


どんなに他の女に抱きつかれても、何も残らなかった俺が、
美子のその一言で、全身が熱で満たされていく。


「……俺もだよ、美子」


後ろから強く抱きしめ、逃げ場を与えずに全てを重ね合わせた。


荒い呼吸がようやく静まっていく中――腕の中で震える美子の体温だけが、俺の全身を支配していた。


どれだけ抱きしめても足りない。


「美子ちゃん……」


名前を呼ぶ声が掠れる。


「……ん。……は、い……」


返ってきた疲れ果てた小さな声が、たまらなく愛おしい。


「もう、これからは……俺だけの美子ちゃんだから。絶対、他の男に触れさせないでね」


言葉と同時に、さらに強く抱きしめた。苦しいくらい、力強く。


「っ……」


耳元で零れる吐息と、小さな震え。力なく頷くその仕草。


それが俺の心をますます熱くさせた。



――やっと、手に入れた。


ずっと欲しくて、待ち続けて、
狂おしいほど焦がれた存在が、今はもう、俺だけのもの。


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