3年F組クラス転移 帝国VS28人のユニークスキル~召喚された高校生は人類の危機に団結チートで国を相手に無双する~

代々木夜々一

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14-2話 沼田睦美 「照明のスキル」

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「これで、お肉があれば完璧なんだけどな」

 ぼそりと友松さんがつぶやいた。

「娘たちの要望に応えよう」

 とつぜんの声に振り返ると、トカゲの戦士ジャムさんだった。手には射止めた野鳥を何匹も持っている。

「そこの山に鳥が多くてな」
「ジャムパパ! 最高!」

 友松さんが抱きついた。彼女の肝っ玉は太い。

「あちらで捌いてこよう」

 それを見た喜多さんが、意を決したようにナイフを置いた。

「私、教わります!」

 みんなが「えー!」とおどろく。

「そうね。この世界だと、やんないといけないことだし。うちも行くわ」

 友松さんも行くみたい。

「あやちゃんは鍋見てて欲しい」
「なるほ。オケオケ。じゃあ、ジャムパパまた今度!」

 喜多さんほか二名がジャムさんと消える。私は恐ろしくて、手を挙げられなかった。

 でも、頑張って野菜は剥こう! そう思ったけど、自分の剥いた野菜をみて、気分が凹む。

 皮が、分厚い。はぁ、やくたたずだわ。

「ちょっと、トイレ行ってくる」

 友松さんがナイフを置いた。

「ランタン借りれないかなぁ」

 そう言って周りをキョロキョロする。

 日が暮れてきた。暗い所で用を足すのは、私も怖い。

「野宿してる時のほうが、ある意味、楽よね。ちょっと離れれば見えなくなるから」

 ああ、それは言える。ここだと、人の目から隠れるには、かなり離れて草むらに入らないと。

「友松さん、秘密にしといてね」

 私は人参のヘタを手に取った。

「ピカール!」

 人参のヘタが光りだす。

「なにこれ?」
「なにって、私のスキル」
「嘘でしょ! むっちゃん、なんで言わないの!」
「えっ? あまりに無駄すぎて」
「無駄? これが?」
「えっ? だって火があれば灯りはできるし」

 私はとにかく、暗いと寝れない。スキルを考えた時も、まっさきにそれが浮かんだ。ところが、灯りなんて火があればどうにでもなる。

 貴重な一人一個のスキルを無駄にした。今となって考えれば、私も掃除にしとけば良かった。友松さんの負担を軽くできる。

「むっちゃん! みんなに……」

 そこまで言って、友松さんは考えた。

「待って。どうせなら、おどろかせたい」
「友松さん、トイレは?」
「それどころじゃないわ。もう引っ込んじゃった」

 友松さんは、それっきり、その話はしなかった。何をするんだろう? オバケの真似するとか? みんなに知られたくないなぁ。

 喜多さんたちが帰ってきて、いよいよ料理が進む。

 野菜ゴロゴロの異世界カレーは、ほんとにカレーの匂い!

 匂いだけで、お腹が空いてきた。

 さばいた鳥は、ぶつぎりにして鍋で焼く。

 スパイスは量が少ないので、最後に振りかけるらしい。

 広場にみんなが集まった。

「料理班、ありがとう」

 姫野さんが言った。

「そのうち男子にも料理してもらうからね」
「ううん。いいの。慣れてる人でやったほうが早いから」

 喜多さんは微笑んだ。それは彼女の優しさだが、考えようによっては辛辣だ。へたくそは邪魔だと。反省、料理の練習しよっと!

「じゃあ、晩ごはんに……」
「ヒメ、ちょっと待って!」

 友松さんが、待ったをかけた。私の横に来る。手には木桶を持っていた。

「ちょっと女子にプレゼントがあるの。並んでくれる?」

 女子のみんなが首を傾げながら、友松さんの前に並んだ。

 一番は料理の達人、喜多さん。友松さんが、木桶から拳ほどの石を取り出す。

「じゃあ、むっちゃん、お願い」

 うわー、そういうことか。笑われちゃうな。石を手に取った。

「ピカール!」

 石が光った。

「えっ!」

 喜多さんが、それを見て固まった。

 それからプルプル震えて、頭上に掲げた。

「いやったー!」

 ざわめきは波のように広がった。私も私も、とせがまれる。

 みんなに一つずつ石を渡し、光らせた。

「ええと、寝る時にまぶしかったら、布をかけてね」
「えー! 要らないよ」
「むっちゃん、これ、時間はどれぐらいもつ?」
「たぶん、8時間ぐらい」
「うわー! 最高!」

 すごい喜んでくれてる。私、すごい思い違いをしてたみたいだ。
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