静かに壊れていく日常

井浦

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第1話:深夜1時のインターホン

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その夜も、いつも通りだった。

テレビを消して、歯を磨き、髪をゆるくまとめ直す。
鏡に映った自分の顔に、少しだけ疲れが滲んでいるのを見て、深く息をついた。

カーテンの隙間から、隣のマンションの灯りがぼんやりと漏れていた。

ちょうど、スマホの時計が1時00分を指したとき。

ピンポーン。

インターホンが鳴った。

一瞬、寝ぼけて聞き間違えたのかと思った。
けれど、確かにもう一度鳴る。

ピンポーン。

こんな時間に来客なんてありえない。
そっと玄関まで歩き、モニターをのぞく。

画面には、誰もいなかった。

背筋がすっと冷たくなる。
録画ボタンを押して履歴を確認しても、「来客なし」の表示。

怖くなって、チェーンをかけたままドアを少しだけ開けてみた。

廊下の奥まで、しんと静まり返っている。

……そのとき。

後ろで、またピンポーンと鳴った。

玄関の外ではない。
部屋の中からだ。

誰も押していないはずなのに、モニターから音が鳴っていた。

ドアを閉めて鍵をかけると、再びモニターを覗き込む。

やはり画面には誰もいない。

すると、音が次第に早くなっていった。

ピンポンピンポンピンポンピンポン──

頭が痛くなるほど鳴り響き、もう耐えられなくて
反射的に画面を叩いた。

音は止まった。

故障かなと思って、モニターのボタンを何個か適当に押してみた。

すると、先ほどの履歴が表示された。

画面の奥から──
見知らぬ男が、じっとこちらを見ていた。
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