平和の為のリベリオン

某勇者

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1.始まり

1-0 昔の話

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あるところに、1人で暮らしている女性がいた。
名前はミア。
ミアは村の中で唯一、『魔物が操られた』と主張していた。
その為、『魔物が裏切った』と主張する他の村民や村長によって、村八分にされていた。
いや、村八分どころではない。
ミアは村から追い出されているのと同じだった。
話しかけても無視され、事故が起きても知らん顔。
そんな冷たすぎる対応をされながらも、ミアは必死に生きていた。
お店のアルバイトでお金を稼ぎ、最低限の費用で日々を暮らしていた。
そんなある日、アルバイトから戻ってきたミアは、村人が自分の家から急いで逃げていく姿を目撃した。
村人は手には何も持っていなかった。
何かの悪戯かと思い、扉を開けると……
メタルスライムが家の中にいた。
メタルスライムは、魔物の中でも異質。
王都周辺にいるゴブリンやオーク、下手すればスライムよりも体力が低い。
しかし、その鋼の体のせいで極端に傷を与えにくく、魔法も一切通じない為、魔法使いの天敵とされている。
そのかわり、倒せば大量の経験値を得ることができる為、倒せればかなりラッキーである。
だが、そのことを魔物も自覚しているのか、あと少しというところまで体力を削ると、ものすごいスピードで逃げ出す。
逃げやすさには個体差があり、出会っただけで逃げ出す個体もいれば、全く逃げない個体もいる。
基本的にはパーティで囲み、一斉に攻撃を加えることで、逃げられるまえに倒し切るのが主流である。
そんな危険な魔物が家にいた。
恐らく村人が家に入れたのだろう。
ミアは恐怖で叫んだが、その叫び声に反応して、メタルスライムが部屋の奥へと逃げていった。
不思議に思い、ミアはメタルスライムを追った。
その先には、部屋の隅で震えているメタルスライムがいた。
どうやら、相当怖がりなメタルスライムらしい。
ミアがメタルスライムに手を伸ばすと、メタルスライムは恐る恐る、その手に乗った。
その時から、ミアとメタルスライムの暮らしが始まった。
ミアは変わらず、以前と同じ生活をしていた。
違う点と言えば、家でメタルスライムと戯れていることぐらいだ。
ミアはメタルスライムをメタちゃんと呼び、可愛がっていた。
メタルスライムも、最初こそ恐怖心があったが、今ではミアと幸せそうに過ごしている。
ミアとメタちゃんはまるで夫婦のような仲になり、家族同然の暮らしをしていた。
幸せな日々は一瞬で過ぎていき、一緒に過ごして半年を迎えた。
ミアはメタルスライムとの子を孕んでいた。
人間と魔物の子どもなど、前例にないことだった。
それでもミアは子作りすることを決めていた。
ミアは不安だったのだ。
病や争いで、この幸せが消えてしまう。
ミアはそんな予感を感じた。
だから、ミアは子作りをした。
メタちゃんとの愛の結晶を残したかったから。
そしてそこからさらに半年程経ったある日。
子が産まれた。
産まれたはメタルスライムの姿形だった。
そう、産まれた瞬間は。
少し時間が経ったその時、産まれたメタルスライムの姿形が少しずつ変化して、人間へと変化した。
姿形は16歳あたりだと思われる。
メタルスライムは混乱していた。
「あ…れ?自分は…何?」
その子は喋れた。
それから落ち着き、ゆっくりと考えたり、動き始めたりした。
そしたら、わかったことがいくつかあった。
まず、産まれた子はメタちゃんの記憶を持っていた。
いや、『持っていた』というより、『引き継いだ』の方が正しいかもしれない。
そして、産まれた子は自由に姿形を変えられた。
スライムになることもできれば、人間の見た目になることもできた。
さらに、服を着た見た目にもなれるし、腕から先をカッターのようにすることもできた。
本当に、何でもできた。
産まれてから1時間程経って、メタルスライムはようやく落ち着きを取り戻した。
産まれたメタルスライムは『レス』と名付けられた…わけではなかった。
レス自身がつけた名前だった。
『ネームレス』からネームレスの意味である『名無し』を適用して、『ネーム』が消えて『レス』になったという。
ミアとメタちゃん、そしてレスの3人は、家族として変わらず過ごしていた。
レスは様々なことを学びながら、ミアと同じ店のアルバイトでお金を稼ぐ。
相変わらず苦しい生活だけど、それでも家族は幸せだった。
レスは食事が不要だったけど、一緒にご飯を食べた。
何故か?それは楽しかったから。
一緒にご飯を食べながら話し合うその時間が楽しかったからだった。
ミアに不安はもうなかった。
このままみんなで仲良く暮らせる。
そう確信していた。
そして、それはメタちゃんとレスも同じだった。
……あの日が来るまでは。
その日はミアが体調を崩し、レス1人でアルバイトに出かけていた。
レスはすでにたくさん学び、たくさん働いていた為、テキパキと働いていた。
そして休憩時間。ミアが体調を崩している為、自分が代わりに続けて働く旨を店長に話していると、ニュースが流れた。
「こんにちは。ニュースゼロの時間です。今日も気になる話題を取り上げていきます。」
ニュースゼロの速報は意外とタメになる話題も多いから、よく聞いていた。
「速報です。ターフ村とその周辺が、魔物の侵攻で破壊されました。」
その速報にレスは凍りついた。
ターフ村はミアの住んでいた村。
聞くまでもなく店長から許可をもらったレスは、全速力で帰った。
家に帰るとそこは…更地になっていた。
ミアは見るも無惨な姿で倒れていて、ミアがメタちゃんに着けていたブローチが地面に落ちていた。
この状況が示すこと、それは…
家族を魔物に奪われたこと。
レスは地面に膝をつき、泣き始めた。
生まれて初めて泣いた。
そのまま十分程は泣き続けただろうか。
やっと泣き止んだレスは店へと戻り、業務を再開しようとしたが、店長に心を見透かされ、休暇をもらうことになった。
その夜、レスは宿屋で悩んでいた。
もちろん、今後についてだ。
家族を失ったレスは、生きる意味を見失いそうになっていた。
レスは考えた。
今からできて、ミアとメタちゃんの為にできる方法を。
しかし、考えてもなかなか思いつかず、本当にどうするべきか迷っていた…その時、ニュースゼロの放送が始まった。
レスはニュースゼロを聞くことにした。
何かいい情報はないかを探す為に。
「…続いてのニュースです。魔王ギームとのコンタクトに失敗しました。これで6度目の失敗です。」
レスは何故か、そのニュースに違和感を感じた。
自分にとっては初めて聞いた魔王の名前。
けど、その名前に聞き覚えがあった。
レスは魔王ギームとの記憶を探す。
メタちゃんから引き継いだ記憶の中から。
他人の…いや、他の生物の記憶を見ていると、自分とその生物の境界線が曖昧になり、自分が自分の皮を被ったその生物になってしまうのではないかと感じる程、嫌悪感があった。
だから普段は見ないようにしていたが、今は気にしている場合では無かった。
気持ち悪い感覚の中、隅々まで記憶を見る。
なかなか見つからなかったが、記憶を整理していくことで、少しずつ感覚にもなれつつあった。
そして、やっと見つけた。
が、それはとても衝撃的な光景だった。
まともに見れる自信はないものの、手がかりの為に一生懸命見た結果、いくつか手がかりがあった。
まず、魔王ギームはすでに死んでいる。
部下の1体であるバヌドに殺された。
そして、ギームから奪った魔王の力で魔王バヌドとなり、モンスターを全員洗脳して、人間と戦わせている。
唯一、魔王の洗脳すらも防いだメタルモンスター達も、見せしめとして数匹を酷いむごい方法で殺されて、従わざるを得ない状況になっていた。
この手がかりをまとめると、『バヌドが魔王ギームを殺して魔王となり、魔王ギームのフリをして、洗脳やら見せしめで殺すやらで無理矢理魔物を従わせ、人類を滅ぼそうとしている。』ということ。
その事実を知ったレスに、ある1つの考えが頭をよぎった。
それは、魔王討伐。
魔王バヌドを討伐し、自分が新しい魔王になれば、この惨劇に終止符を打てる。
しかしどうしても恐怖心があり、なかなか踏ん切りがつかない…なんてことは、全く無かった。
考えが浮かんだ瞬間、決心をした。
そうと決まれば、準備が必要だ。
とは言っても、やるべきことは少ない。
アルバイトを辞めることと、ミアとメタちゃんに挨拶をしにいくくらいだ。
翌日の朝一に、レスは店長に伝えた。
店長は止めることもなく、退職金を渡した。
昨日の様子と今日の様子から、魔王討伐に向かうことはバレていたらしい。
「頑張れよ。」
簡単だけど思いのこもったその言葉を胸に、レスは店を後にした。
冒険出発前に最後にやること。
俺は墓場に行き、ミアの墓の前で、ミアとメタちゃんに一言。
「行ってきます。」
その一言で踏ん切りがついたレスは、冒険へと旅立った。
ミアの墓に、一輪の花を残して。


これは、人と魔物の子の物語。

魔王討伐を目指す者、レス。

人々の目に映る彼の姿は…

人か………

魔物か………







今はまだ誰も、知る術はない。







あとがき
第1章0話ということで、
物語が始まるまでのあらすじっぽい文を
書かせていただきました。
他の作品を見てる人の中でも
ごく一部の人向けに言わせていただきますと、
この物語は他の物語との繋がりは一切ありません。
あるとすれば、たった一点だけ。
宣伝の形となりますが、全く同じ時間に投稿した、私の作品の他の話としかないです。
もしよろしければコメントを書いてくださると、
私が喜びながら返信しますし、参考になります!
私をお気に入り登録していただければ、
新しい作品や近況ボードの追加時に、
通知でお知らせすることができます!
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!
では次のお話を、首を長くしてお待ちください!
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