転生した先のBLゲームの学園で私は何をすればいい?

赤蜻蛉

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起・キャラ紹介

ラファエルの場合

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はてさて、ようやくきました生徒会攻略相手探索3人目は、生徒会副会長『ラファエル=レインバース』。

初対面で俺のケガをあっという間に魔法で治した、回復魔法のスペシャリスト。

その実力は過去最高と言われ、本人が話していたように心臓が止まってさえいなければどんなケガ・病気も治癒可能なチートキャラ。

まさにベボ◯ズンしまくり!!
ただ、だからこそ彼のその万能能力欲しさに色んな組織から狙われてるとか、ものすごいビックなお偉いさんがバックにいて守られてるだの、どこまでが噂で本当なのかわからないがたくさん飛びかっている。

家柄だけで言えば、生徒会の中では珍しい庶民よりの中流階級の出だ。

他生徒からは憧れというよりも、みんなの太陽という感じでクラスの中心でいつも眩しい笑顔を元気に振りまき、魔法なしであっても十分周りの人を癒している。

背は小柄で瞬時にくるくるよく動き変わる人懐こい表情も、魅力的な男女問わずに人気者なまさに愛すべきわんこキャラだ。

今回、遠目からとはいえラファエル先輩を見ていて、年上ということをすっかり頭から忘れてこんな弟がいたら、と本気で考えてしまった。

ちなみに、いらぬ情報かもしれないが俺は1人兄弟である。


「うーーーん、わんこキャラならどっちでもありかな?」


これはもちろん、受け攻めの話である。

わんこキャラの攻めは王道だし、その逆も全然ありよりのありだ。
ハニエル君が魅せる、『雄』が目覚める貴重なルートかもしれない。


「基本は明るく元気なわんこ属性として、問題は他にも属性があるか?なんだよな」


これまでのキャラが皆、単純な属性だけでない付属品があったところを見ると、少なくとも生徒会メンバーはメインの攻略相手だし裏がいくつかあっても全然おかしくない。

へ?今俺は何をしてるのかって?

現在は昼休みで、昼食をラジエルとチャミエルと一緒に食べたあと2人は偶然出くわした先生からほぼ強制的にお手伝いを頼まれ、気に入ってる屋上で1人日向ぼっこ中です。

授業中に、授業と関係ない本に夢中だったラジエルと授業そっちのけでメイクに夢中だった2人へのささやかなペナルティだろう。

そんなことが学園内で2人に対してできるのは、魔法の歴史学担当で教師の中でもかなり古参で性格も一筋縄ではいかない、見た目は優しい雰囲気のおじいちゃんだが中身はかなりの曲者なカマエル先生だけだ。

すぐに終わらせて戻るから!!と2人ともかなり焦ってたから、こうしてのんびりしてればすぐに戻ってくるだろう。

日向ぼっこをしながら何をしているのかといえば、柵によりかかりながら下で空間に制御魔法がかかっている為、強力な魔法は使えない縛りはあるものの魔法対決が簡単にできる練習場で、今まさにたくさんのクラスメイトに応援されながらバトル中のラファエル先輩を見ていた。

身軽で素早いラファエル先輩に対して、相手はかなり大柄で力任せの男子生徒。

魔法で出した魔法のカナヅチ?だろうか、それをブンブン振り回すものの、かすりもしない。

制御かかってるとはいえ、アレが体に当たったら相当痛いんじゃないだろうか?


「キャーーー!!ラファエル先輩かっこいーー!!」

「ラファエル行っけーーーー!!!」


対してラファエルとはいえば、攻撃魔法はほとんど使わず、風のように軽やかに攻撃を避けながら相手が思わず姿勢を崩すように、誘導するかのようにわざとそう動いているような気がしなくもない。

見るからに身体をひねりすぎて倒れそうになってるし、息もきれはじめている。

もしかして、自滅を狙ってる?


「やっぱり人を癒すのが得意な人だから、自分から攻撃をするのは苦手なのかな?」


それならやっぱり『受』側だろうか?


「あはは~~違うよ!ただ、あいつに使う魔力がもったいないじゃん?」

「そうなんだ・・・・って、えぇぇーーーーーッ!!??」


今、まさにここからだいぶ離れた地上で、クラスメイト達に勝利の胴上げをされていたはずの、ラファエル先輩が屋上に飾られている大きな翼が広げられた大天使の銅像の上にちょこんと座り込んでいた。


「な、な、な、な、な、なんでっ!?」


ロードと目があったラファエル先輩が満面の笑みを浮かべて、銅像から大きくジャンプしてロードの真ん前に飛んでくる。


「へっへ~~!こっちの方がおもしろそうだからって、分身おいてこっちにきたんだけど、君ぼくのこと最近ずっと見てたよね?」

「!?」


ずずいっと、かなりの至近距離まで近づかれて思わず言葉を飲み込んだ。


「あ、あの・・・・・せ、先日のお礼が言いたくて」


これは嘘ではない。

助けてもらってからなんとかお礼が言いたかったものの、他の生徒会メンバーと同じく全く近づくこともできなかったのだ。

あの美容室でお世話になって以来、なぜかガブリエル先輩とはよく目が合うようになり、その度に心臓に悪い超絶美しい笑顔で眼差しだけで殺しにこられるのだが、未だにちゃんと会えず首元のチョーカーはそのままである。


「あぁ!あの時のっ!」


よかった。いくら地味顔で存在感があまりない方とは、あの事件のおかげでなんとか記憶の片隅においてもらえてたらしい。


「浮遊魔法なんて割と初級なのに、窓から地面に向かって自分からうっかり落ちるなんて、どんなバカがこんなアホなことするのかな~~~って思ってたんだけど、君さえない見た目の割にけっこうおもしろいんだね!」

「!!??」


き、きつい!!!!

満面笑顔で、毒矢をたくさん飛ばしてきたぞ!!


「あっれ~?その首輪!」

「ちょ、チョーカーです!!」


BL的には首輪の方が萌えるけど、自分がつけるならチョーカーしかあり得ない。


「それ、普通じゃないね?」


上目遣いでこちらを無邪気に見上げて来ながら、ラファエル先輩がロードの首元を指差す。


「こ、これはガブ・・・・・・いや、街で偶然見つけて」

「ふ~~~~~ん。ずいぶん凶悪な魔力が込められてるけど、君って頭だけじゃなくて趣味もわ、おもしろいんだね!」

「!?」


今、趣味悪いって言いかけたよな?

いやその前にも、さりげなくディスられたし。

見た目は完璧な可愛いワンコ属性なのに実はって、それも腐男子的には大歓迎・大好物です!!

ただ、本性現すの早すぎやしませんかね?

いやその本性が知りたくて、色々調べているわけですが。


あと凶悪な魔力ってなんだろう?
魔除けだって話してたから、毒をもって毒を制する的な感じなのか?


「それより、最近ぼくのことをあちこちで探ってるみたいだけど♪」

「へ?」



どんっ!!



「うわっ!!」


考え事をしてたから両肩を強く押されて踏ん張ることもできずあっという間に床に倒され、すかさずラファエル先輩がロードのお腹の辺りに跨って体重を乗せて座り込む。


「!!??」


き、き、き、騎◯位ーーーーーーーッ!!??


い、いや押し倒されたーーーーーーーー!!!

これ、受け攻めどっちパターンっ!?

いや、もはやそれはどっちでもいい!!


神様ッ!!!

あんっっなに、星にも願って心底お願いしたじゃありませんかっ!!!!

BLイベント起こすなら、俺を出演者じゃなくて傍観者にして下さい!!って。


「ら、ラファエル先輩っ!?」

「オレだけじゃない。他の生徒会のメンバーのことも影でこそこそ詮索してたよな?しかも、ウリエルが預かった国宝級の古代種の卵の孵化にも偶然遭遇し、あのガブリエルから特別なプレゼントまでされてる。オレのこともあちこち調べまわって・・・・・何もんだ?お前」

「!?」


ま、まずいっ!!!

何か大きな誤解をしてらっしゃる!!


しかもやっぱり、ガブリエル先輩からのだってバレてるし。

顔は変わらずの無邪気な満面笑顔だけど、瞳が全く笑ってないのがよくわかる。

確かに、ただの一般庶民であり地味な普通の平凡生徒にしては、破格のイベントフラグを起こしているような感じもするが。

これは偶然が偶然を呼んだだけで、フラグは何もたってないから安心してください!

フラグを立てる役割は俺じゃなくて、ハ二エル君です!

別に俺は本当に怪しいものでも何もない、ただの腐男子です!!

俺はより素晴らしいBL妄想をする為、より快適で幸せな腐男子スクールライフを楽しむ為に知りたいと思っただけなんです。


「いや!俺はただの一般的な生徒で、調べてたのは先輩達のファンだからですっ!!」


これも、嘘ではない。


「そっか~~!!オレらのファンなのかぁ~♪それなら、このラファエル様が特別に握手してやるよ!」

「あ、ありがとうございます」


ニッコリと、他生徒が癒されてやまない眩しい太陽スマイルを浮かべると、ラファエル先輩がオレの両手を自らつかんでその上から自分の手を重ねる。

よかった!すぐに信じてくれて。

あともう1人、一番の難攻不落な会長が残ってるがしばらくは怪しまれないよう静かにしていよう。


「あ、あれ?」


先ほどラファエル先輩がつかんだ両手が手首から全く動かないことに違和感を感じてそこへ目を向けてみれば、そこには光の輪がぴったりと手首を拘束しておりピクリとも動かせられない。


「ら、ラファエル先輩?!こ、これは一体?」


背中がぞわぞわと悪寒が走り、顔からは冷や汗が流れ落ちる。


「あははっ!ごめんな~!聞いたところで、素直にはいそーですかって、簡単には答えないよな~~?」

「え?」

「あと、次はこっち!」

「!?」


手の拘束だけでなく、ロードの目元はラファエル先輩のネクタイであっという間に目線を塞がれた。

身動きが取れない上に、目からの情報も奪われロードの冷や汗が一気に吹き出す。



め、目隠し&拘束プレイだとっ!!??


嫌いじゃないどころか、設定によってはそれはそれで好物の1つだ!

でも、それはそばで見て萌える側ならばの話であって、自分がされても萌えるどころか何をされるのか分からない恐怖しかない。

そうか。
受けのリアルな気持ちはこんな感じなのか。


「せ、先輩!!俺、本当になんでもない普通の人間なんです!!な、なんにもあやしいことなんかありません!!」

「みんな、初めはそう言うんだよな~~♪まぁ、お前がどこの国のスパイなのかはこれから身体にじっくり聞いてやるから、楽しみにしてくれよな!」

「!!??」





チェンジィィーーーーーーーーッ!!!

 




か、身体に聞くっ!!

そのシチュエーションだけなら俺の大好物だから、今すぐされる相手をチェンジして下さい!!

そうだ!ラジエルとチャミエルッ!

もうすぐ2人が屋上に帰って来る頃だから、このピンチの事態からは救われるはずだ。


「あれれ~~??もしかして、お友達が助けに来るとか考えてるのかな?残念だけど、ボクお手製のスペシャルな結界を入り口に張ってあるから誰も入って来れないんだな~~~これが!」

「!!??」



え?何だこれ?

もしかして、俺ってばうっかりバッドエンドのフラグをたてたのか?

いやいやいやいや、まだ俺全然BL堪能してないから!

本格BL展開に入る、ハニエル君が登場するまでは何があっても死ねない!!


「とりあえず、痛みと快楽とどっちが良いかはお前に選ばせてやるけど、どっちが希望かな?」

「!?」


しつこいようですが、『見る側』ならどっちも有りですっ!!


「いや、俺はどっちも・・・・・・ッ!!」


なしです!!


「うん!めんどうくさいから、どっちもやっちゃうか!」

「!?」


ラファエル先輩の明るい笑い声と同時に、先輩の両手が首元にかかる。


く、首絞めっ!?


「痛っ!!」

「へ?」


だが、そのとたんにラファエル先輩のうめき声が上がり、手がすぐさま首から離れた。


「ちぇっ!やっぱりこの首輪が邪魔だな~~」

「首輪じゃなくて、チョーカーです!」


目隠し&手首拘束に首輪までセットになったら、もうそちらの世界にこんにちはしてしまうことになる!!

「ハハッ!ま、少しぐらいケガしても、あとからボクが治せばいいしね。ちょっと痛いだろうけどがまんしてな!」

「!!??」


それ、絶対ちょっとどころじゃないやつですよね!?

痛いっていうか、半殺しにされるっ!!!


「・・・・・・・・・ピイ」

「うーーーん、首輪に近くない足元狙えば大丈夫かな?」

「近くも遠くも、痛いのは遠慮します!ラファエル先輩、本当に俺は調べても埃以外何にも出てこないただの平凡な生徒なんです!!」


どうにかしてこの場から逃げ出したいが、両手を塞がれている上に、腰をしっかり体重がかけられてる為に動けない。

他の生徒会面子に比べたら小柄で細身なはずなのに、ビクともしないなんて。


うん、明日から本気で筋トレやろう。


「ピイィィィっ!!」

「へ?」

「うわっ!?な、何だコレっ!?わあぁっ!!」

「ら、ラファエル先輩!?こ、この声ってまさかっ!?」


聞き覚えのある鳥の鳴き声が近くで大きく鳴り響いたと同時に、目隠ししている上からでも眩しいほどの光がその場に溢れた。


ぱさっ。


「ピイッ!!」

「へ、ヘレス!!」


光が消えると同時に目隠ししていたネクタイが外され、手の拘束をしていた光が消える。


「ピイィィィっ!!」


視界がクリアーになって、真っ先に目の前に現れたのは愛らしいベイビーバード。

またまた生徒会特別室から脱走してきた『ヘレスベレグ』のベイビーは全身で再会を喜び、夢中でふわふわの体をロードのほおに擦り付けていた。


「よしよし。君が助けてくれたんだね、ありがとう」

「ピイ♪」


って、助かったのはありがたいがこのままではまた別のピンチがやってきてしまう!!

早々に生徒会室への向かわなければ。


「ピイ、ピイ!」

「ん?どうした?」


ヘレスがこっちを見ろ!とばかりに、ロードを誘導する。


「!!??」


そして、そこにはーーーーーーーー。



「か、か、か、可愛いーーーーーーーー!!!」

「くぅ~ん」


ロードの足元で、コテンと体を横に倒して気を失っているのか何やら苦しそうな様子のその子は、地毛が白く緑がかった模様がついた犬?オオカミ?のもはや見た目はぬいぐるみにしか思えない外見だった。

犬なら絶対にシベリアンハスキーだろう。


「あれ?君はいったいどこから?それに、ラファエル先輩はどこに行ったんだろう?」


キョロキョロ周りを見渡してみてもラファエル先輩の姿はない。

登場も突然だったが、去り際も突然なのか。

とりあえず次回会った時には、スパイ疑惑は必ず解かなくては。


「クゥ~~ン」

「おっと!君大丈夫?どこから紛れ込んじゃったんだろう?」

「ピイ!」


気を失って意識がないワンコ(オオカミかも)の赤ちゃんを抱き上げると、その背中を優しく撫でてみる。

うん!!
なんだこれ?すごい気持ちいい!!


ちなみに、ヘレスは俺の頭の上だ。

どうやらやっぱりそこがお気に入りらしい。






その後、入り口の結界が解けたらしくラジエルとチャミエルが勢いよく飛び込んできたのと、ヘレスを迎えにきたウリエルがほぼ同時に屋上へと集合した。

それからすぐ、昼休み終了のチャイムが鳴り出したことでバタバタの中でヘレスをウリエル先輩に預け、わんちゃん(オオカミ?)もそのまま一緒に預けて次の授業の準備へと向かう。


「久しぶりにお前のその姿を見たが、何かやらかしたのか?」


ウリエルは、屋上の入り口の中へと消えていったロード達へと視線を向けながら呟く。


「クゥ~~ン」

「・・・・・・・・」


よほどの衝撃を受けたのか、未だに目覚める様子はない。

ヘレスを早々に魔法で送り返すと、その子犬?子オオカミ?を両手で抱えながら静かにウリエルは屋上の入り口へと向かった。







「ーーーーーーーー命拾いしたね」


その後ろ姿を、屋上の入り口からは死角となる位置より赤髪の青年が紅い瞳に鋭い眼差しを宿らせて見つめている。

その手の中には、今まさに投げようとしていた小形のナイフが握られれていた。
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