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承・個人恋愛?ルートへ
ウリエルルートへ
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その日から、俺は逃げた。
メイン攻略相手の生徒会メンバーが関わると否が応でもBLが始まってしまう為、俺が逃げるしか回避策がないからだ。
だがあんなにも全力で逃げたのに、俺はまたしてもラファエル先輩の魔法で召喚された食虫植物に捕まっていた。
触手のように自由自在に伸びるツタとツル?とでこちらの手足を捕まえて離さない。
しかも、お約束とばかりにこの触手がヌルヌルの液まみれで大変気持ちが悪い。
これ、洗剤でちゃんと落ちるのか?
一緒に逃げていたラジエルはさすがというべきか、まだ捕まってはおらずに現在進行形で食虫植物と戦闘中。
そこだけ何やらカッコいいアクションRPG仕様でなんだかとても羨ましい。
ヌルヌルでベタベタ仕様になるのは可愛いor美人ヒロインか、可愛いBL主人公でいいじゃないか。
何で単なる冴えないモブが、こんなに無駄にヌルヌルしてんの?
うぅ・・・・これがハニエル君なら萌えで白飯が何杯だって食べられるってのに!!
あ、そうだ。
ラジエルは洗濯もわりと得意だったから、後でお願いして一緒に洗ってもらおう。
「も、もうやめて下さいラファエル先輩!俺はただの庶民だって、何度も言ってるじゃないですか!!」
「初めはみんなそうやって言うんだよな~~♪」
うん、知ってる。
そうやってあっさり殺されてる、異世界系のヤンデレ系BLとかで出てきたモブキャラはいくらでもいた。
「初めから最後まで、俺は人畜無害な一般人です!!」
「あははっ!無害かどうかはこれから俺がゆっっっっくり暴いてやるから、覚悟しとけよ♪」
「!!??」
ひいいぃぃぃっ!!!
全然目が笑ってらっしゃらない!!
瞳孔開いてるーーーーーーーー!!
しかも、その手に持ってるのは何ですか!?
「あ、あ、赤い・・・・・ロウソク?」
「うーーーん、お前熱いのと冷たいの、どっちが希望だ~~?」
「!!??」
ど、どっちも見るのなら許容範囲だけど、受けるのは断固拒否でお願いします!!
って、こんなにヌルヌルさせておいて、まさかのそこは全くいじらずに新たにSM始めるんですか!?
なんてもったいないネタ使いするんだ、このS S王子様は!!
「めんどうくさいから、どっちもやっちゃうか!」
ギャァァーーーーー!!!
選択肢をわざわざ聞いてきたくせに、対応があまりにも雑すぎる!!
誰か助けて!!
ラジエル!チャミエル!!
お父さん、お母さん!!
神様仏様大仏様~~!!!
「ピイィィィーーーーーーーー!!!」
なんと、伝説の鳥様が助けに来た!!
「へ、ヘレス!!」
「くそっ!またきやがったっ!!」
なぜかは知らないが、ラファエル先輩はこの伝説の幼鳥がとても苦手なようで時々ピンチになるとどこからともなく現れる、我らがヒーロー、レジェンド・オブ・バード!!
「ピイ!ピイ!」
「・・・・・やっぱり、そこが君の定位置なわけね」
ご機嫌なレジェンド・オブ・バードはロードの頭の上にしっかりと座り込んでいる。
しかもこのレジェンド。
日に日にだんだん着実に重くなってきているのを実感して、このまま行くと首の骨がいつか痛めるか最悪折れてしまうんじゃないかと密かにヒヤヒヤしているのだが、一向に定位置を変えるつもりはないらしい。
どかしてもどかしても、定位置に戻ってきてしまうのだ。
ラファエル先輩はヘレスの登場とともに、風のような素早さでその場を後にしてしまい姿はもうどこにも見られない。
そういえば、あの時出会ったワンちゃんはアレからどうしているだろうか?
頻繁に脱走するヘレスと違って、その後は全く姿を見ていない。
そしてこんなにラファエル先輩に対して効果絶大なら、常に頭の巣に雛を乗せておけばいいとか思うじゃないですか。
いや、それができれば俺もすごいありがたいんだけどこのベイビー在るところには必ず。
「全く、脱走するたびに新しく張ったばかりの結界を易々と破ってしまうのは、いい加減やめてもらいたいものだ」
「・・・・・・ぎゃっ!!」
ふわりと、両耳に暖かい温もりが触れたと同時に低音ボイスが間近で響く。
プラスα、ロードの背中にぞくっと寒気が走った。
「う、ウリエル先輩!毎回毎回、突然背後に来て真っ先に俺の耳に触れるのはやめてください!!」
「ん?あぁ、すまない。どうも無意識に指が動いてしまって」
全く悪いと思ってないだろう、普段と何ら変わらない真顔のまま言葉とは裏腹にウリエル先輩の指はロードの耳を好き勝手に触れ続ける。
「あっ・・・・だ、だから!これ・・・・や、やめっ、んんっ!!」
「ーーーーーーーー」
ゴッドハンド・ウリエル先輩のテクニカルな指使いにいつも通り変な声が出そうになり、ロードとしては両手で必死に口を塞いで襲ってくる快感に耐えるしかない。
しかも今回はあの植物触手のせいで、耳元も無駄にヌルヌル効果がプラスされている為、ピチャピチャと卑猥な音効果までオプションでついている。
どうぞこんなスペシャル出血大サービスは、本命まで取っておいてください!!
けど、ただ耳を触られているだけなのに何でこんなにも気持ちがいいのだろう。
「せ、せんぱ・・・・・ッ!!」
「ーーーーーーーー」
ウリエル先輩の表情は今も変わらない。
ロードだけが毎回顔を真っ赤にしながら襲ってくる快感にひたすらに耐え、自由に好き放題触れて満足したウリエル先輩が自分からロードの耳を解放してくれることをただ待つことしかできない。
「・・・・・・・足りない」
「んんっ、へっ?」
唐突に、襲いくる快感の波から解放される。
「気にするな、何でもない。今度はもっと強力な結界魔法をかけてみよう」
「お、お願いします」
「ピイィィーーーーーッ!!」
ヘレスを両手で抱えると、そのままウリエル先輩は生徒会室へと静かに帰って行った。
「・・・・・もう、頼むから勘弁してくれ」
「あ!無事だったかロードって、腰が抜けてるけど大丈夫か?」
「ラジエル、頼むから俺の耳を敵から守ってくれ!!」
「はぁ?」
こんなことがこの先もずっと続いていたら、俺の方がおかしくなってしまいそうだ。
ほら、BL漫画でよくあるじゃないか!
主人公がキスとかベロチューとかその先のここではピーーとか音声入っちゃうから詳しく言えない、2人で一緒にやるアレやコレの快楽の虜になって深みにハマってあれよあれよと抜け出せなくなっていくあのアルアル大辞典展開が!!
うん、割と沼にハマった途中からはそういうのばっかり読んでたし、腐男子になってからの今も変わらず大好きだけど自分自身がメス化する姿に萌えるような趣味はない。
鏡見ながらやればいいって?
実はもう試し済みで、ものの数十秒で虚しくなって萎えた。
やっぱり俺は、BLを見てる側で思いっきり萌えてる方がいい。
「ってか、お前なんでそんなにドロドロ?部屋帰ったらまず風呂だな!大事な勇者様の体は隅から隅まで俺がキレイにしてやるよ!」
「サンキュー。あーーあ、これがハニエル君なら風呂場でもヌルヌルドロドロできるってのに」
「風呂場でヌルヌルって、入浴剤でも入れるのか?」
「ヌルヌルといったらローショ・・・・いやっ、な、何でもないっ!!」
耳あてとか、防御力どうだっけ?
次の日からとりあえず、ただの耳あてやら帽子付きの耳あてやらを登下校時色々被ってみることにした。
「ーーーーーーーー足りない」
「何が足りないんだ、ウリエル?」
「いや、こちらの話だ」
生徒会室にて、ウリエルは書類を手早く処理しながら小さなため息をつく。
理想的な肌触りと形を持つ夢のような耳に出会え、定期的に思う存分触れられているというのにウリエルの気持ちはなぜか満足し足りない。
先日の濡れた状態は乾いている時よりもいい感じだったが、それでもまだ何かが足りない気がしてならない。
「ミカエル」
「なんだ?」
「手で触れてもダメなら、お前ならどうする?」
「なんの話だ?手でダメなら、手以外でも触れてみればいいんじゃないのか?」
「!!??」
バサバサバサッ!!
ウリエルが手で持っていた書類がテーブルの上で散乱する。
「おい、大丈夫か?」
「あぁ。的確なアドバイス、感謝する」
散らばった書類をさっさと集めると、ウリエルはそのまま生徒会室を足早に出て行った。
放課後いつも通りラファエル先輩の攻撃から逃げていたロードは、旧校舎付近で突然腕を背後から引かれた。
「あれ、ロード?おい、ロードどこ行った?」
先を走っていたラジエルが振り返った時には、その姿がどこにもない。
「ぷはっ!!う、ウリエル先輩!?あ、あの、ヘレスは今日はまだ来てないですけど?」
今の状況は、ウリエル先輩がロードの背後から腕を回して羽交い締めにしています。
つい先ほどまでは口を塞がれていたが、ようやく解放されたというわけです。
とりあえず、これだけは言いたい。
ウリエル先輩の顔が非常に近い。
「今回は君にお願いがあって来た」
「お、俺にお願いッ!?」
とっさに両手を耳あてのついた両耳に当てて防ぐが、その両手の上からウリエルの手が重なる。
今日の耳あてはシンプルで重みが少ない、つけ心地もわりといいやつだ。
ただ一つ問題なのは、冬ではない為に耳あてはとても暑いということ。
「君の耳に、この手以外でも触れさせてほしい」
「は、はいっ!?」
いやいやいやいや、もう手が直接触れてますって!!
あぁっ、やっぱりこの耳あては防御力低かったかっ!!
後ろから外しやすい作りな為、すでにあっさりと外されている。
「少しだけだ、頼む」
「んっ・・・・ゆ、ゆ、ゆびで触らないなら!」
このゴッドハンド快楽地獄から逃れられるなら、もうなんでもいい!!
「感謝する」
「!!??」
ウリエル先輩の指がロードの頰と、お腹に添えられ少しだけホッとした瞬間。
ロードの耳には指とは別のモノがゆっくりと触れた。
「ひいっ!?」
「ーーーーーーーー」
ペチャペチャと湿った感触と、ぬるぬるとした何かが耳の穴やその付近を動き回る。
ま、ま、まさかコレってっ!?
「う、う、う、ウリエル先輩っ!?」
なんと俺の耳が、ウリエル先輩の舌で舐められていた。
まるで耳の形を丁寧に確認するかのように、ゆっくりとなぞるようにして舌がまるで生き物のように動き回る。
耳のラインを舌がなぞるたびに、背中がゾクゾク震えてたまらない。
「あっ・・・・あ、いやっ・・・・せ、先輩っ!!」
「ーーーーーーーー」
なんとか逃げようとするものの、腰と頰からいつのまにか移動していた両腕に回されていたウリエル先輩の腕はしっかりとホールドされておりビクともしない。
まだ指で触れられていた時の方が、最悪限界になりそうな時には先輩の胸元を叩いたり突き飛ばそうとしたりして自分の意思が伝えられたが、両腕をこうもがっちりと封じられてしまったら抵抗もろくにできない。
BL漫画のように耳以外も一緒にいやらしく触れられているわけではないのに、くちゅくちゅと舐められている音がダイレクトに耳の奥に直接届いてとにかくやばい。
いやいやなんでこんなBLによくありがちな『いきなり始まる、現実にはほぼあり得ない流れでの無理矢理エロ展開』がスタートしてんの?
いやいや、おかしいから!!
ほら『可愛いもの好き』っていう、設定も一応あったじゃん?
あれで『ほっこりほのぼのBLイベント』体験でいいじゃないか!
なんで『嫌なのにこの快楽に抗えない!エロエロBLイベント』体験になってんだ!?
え?実況中継はどうしたって?
いやいやこれ全部詳しく状況説明したら、絶対18禁の大きなベルリンの壁に引っかかるって!
ただそれでもあえて言うなら、全身なんかビリビリ電流が走ったような感覚が波のように襲ってきていて、身体のとくに下半身の中央が熱くなってーーーーーーーーうん、これ以上はまずい。
「せ、せんぱ、い・・・・・もう、おれ!」
「かわーーーーーーすまない、つい我を忘れて集中してしまった。協力に感謝する」
「へ?」
まさかの最後まで真顔のまま、まるで何事もなかったかのようにどこから出したのか冷たいおしぼりで舐めていた耳を丁寧に拭いてから静かに立ち去っていく。
おしぼりって、準備良すぎじゃないですかね?
「はぁ~~いったい何がしたいんだ?」
ただの耳フェチなだけなんだろうか?
「ってか、耳って本当にこんなにも感じるもんなんだな」
散々BL漫画で萌えてきたけど、実際どの程度なのとかはよくわからなかった。
恋愛もろくにしてきてないから、もちろん経験もほぼなし。
ほら、お尻や胸だってBL漫画ではあんなに気持ちよさそうに受けがアンアンしてるけど、俺というより『わたし』自身の時から全くリアルな実感はなく逆らえない快感に身悶えてるその姿に萌えていた。
あんなにスルスル抵抗なく初めてで受け入れられたら、あまりにもゆるゆるで本来の用途の時にえらい大変な目にあってしまうじゃないか!
「そうか!やっぱりBLの神は、俺に本物の萌えを与えて下さる為に実地体験をさせてくれているに違いない!受けの感じている快感や心情をリアルにイメージして、その気持ちに共感することで俺に腐男子としての究極の萌えを・・・・・って」
そう思わないと、とてもとてもやってられない。
いつかこの快感の荒波に飲まれ18禁BL沼から抜けだけなくなりそうで、正直今はウリエル先輩がちょっとどころでなく怖い。
「ロード、ここにいたのか!!って、お前顔が真っ赤だけど大丈夫か?」
「・・・・・・・ラジエル、耳ってどうやって鍛えんの?」
「はぁ?」
その日の夜、俺の頭の中はもちろんウリエル先輩のことでいっぱいだった。
俺が体験した超絶な耳攻めをウリエル先輩がハニエル君を相手に、言葉攻めしながら致している妄想をしていたら興奮して中々寝付けなかったのだ。
明日はミカエル先輩を相手にして妄想してみようか?
その頃のウリエル先輩は。
「ウリエル、何かあったのか?」
「ーーーーーー離れない」
「何が離れないんだ?」
「顔が・・・・・いや、何でもない」
「お前、珍しく顔が少し赤いが大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だ」
次の日から伝説の鳥様に関係なくロードに会いに来るウリエル先輩と、その気配を感じるとすぐさま全力で逃げ出すロードの全力疾走追いかけっこが始まった。
それはもう、ラファエル先輩の入る隙がないほど頻繁に。
だがその圧倒的な能力の差的に平民はすぐ鬼に捕まってしまうのだが、それでも毎回懲りずに平民は逃げた。
逃げれば追いかけたくなるのが狩猟本能を持つ男の性であるのだが、なんでこんなにも必死に追いかけているのかウリエルにもよく分からない。
ただ、ずっと頭からソレが離れないのだ。
その意味をウリエル自身がが知るのは、もう少し先のお話。
メイン攻略相手の生徒会メンバーが関わると否が応でもBLが始まってしまう為、俺が逃げるしか回避策がないからだ。
だがあんなにも全力で逃げたのに、俺はまたしてもラファエル先輩の魔法で召喚された食虫植物に捕まっていた。
触手のように自由自在に伸びるツタとツル?とでこちらの手足を捕まえて離さない。
しかも、お約束とばかりにこの触手がヌルヌルの液まみれで大変気持ちが悪い。
これ、洗剤でちゃんと落ちるのか?
一緒に逃げていたラジエルはさすがというべきか、まだ捕まってはおらずに現在進行形で食虫植物と戦闘中。
そこだけ何やらカッコいいアクションRPG仕様でなんだかとても羨ましい。
ヌルヌルでベタベタ仕様になるのは可愛いor美人ヒロインか、可愛いBL主人公でいいじゃないか。
何で単なる冴えないモブが、こんなに無駄にヌルヌルしてんの?
うぅ・・・・これがハニエル君なら萌えで白飯が何杯だって食べられるってのに!!
あ、そうだ。
ラジエルは洗濯もわりと得意だったから、後でお願いして一緒に洗ってもらおう。
「も、もうやめて下さいラファエル先輩!俺はただの庶民だって、何度も言ってるじゃないですか!!」
「初めはみんなそうやって言うんだよな~~♪」
うん、知ってる。
そうやってあっさり殺されてる、異世界系のヤンデレ系BLとかで出てきたモブキャラはいくらでもいた。
「初めから最後まで、俺は人畜無害な一般人です!!」
「あははっ!無害かどうかはこれから俺がゆっっっっくり暴いてやるから、覚悟しとけよ♪」
「!!??」
ひいいぃぃぃっ!!!
全然目が笑ってらっしゃらない!!
瞳孔開いてるーーーーーーーー!!
しかも、その手に持ってるのは何ですか!?
「あ、あ、赤い・・・・・ロウソク?」
「うーーーん、お前熱いのと冷たいの、どっちが希望だ~~?」
「!!??」
ど、どっちも見るのなら許容範囲だけど、受けるのは断固拒否でお願いします!!
って、こんなにヌルヌルさせておいて、まさかのそこは全くいじらずに新たにSM始めるんですか!?
なんてもったいないネタ使いするんだ、このS S王子様は!!
「めんどうくさいから、どっちもやっちゃうか!」
ギャァァーーーーー!!!
選択肢をわざわざ聞いてきたくせに、対応があまりにも雑すぎる!!
誰か助けて!!
ラジエル!チャミエル!!
お父さん、お母さん!!
神様仏様大仏様~~!!!
「ピイィィィーーーーーーーー!!!」
なんと、伝説の鳥様が助けに来た!!
「へ、ヘレス!!」
「くそっ!またきやがったっ!!」
なぜかは知らないが、ラファエル先輩はこの伝説の幼鳥がとても苦手なようで時々ピンチになるとどこからともなく現れる、我らがヒーロー、レジェンド・オブ・バード!!
「ピイ!ピイ!」
「・・・・・やっぱり、そこが君の定位置なわけね」
ご機嫌なレジェンド・オブ・バードはロードの頭の上にしっかりと座り込んでいる。
しかもこのレジェンド。
日に日にだんだん着実に重くなってきているのを実感して、このまま行くと首の骨がいつか痛めるか最悪折れてしまうんじゃないかと密かにヒヤヒヤしているのだが、一向に定位置を変えるつもりはないらしい。
どかしてもどかしても、定位置に戻ってきてしまうのだ。
ラファエル先輩はヘレスの登場とともに、風のような素早さでその場を後にしてしまい姿はもうどこにも見られない。
そういえば、あの時出会ったワンちゃんはアレからどうしているだろうか?
頻繁に脱走するヘレスと違って、その後は全く姿を見ていない。
そしてこんなにラファエル先輩に対して効果絶大なら、常に頭の巣に雛を乗せておけばいいとか思うじゃないですか。
いや、それができれば俺もすごいありがたいんだけどこのベイビー在るところには必ず。
「全く、脱走するたびに新しく張ったばかりの結界を易々と破ってしまうのは、いい加減やめてもらいたいものだ」
「・・・・・・ぎゃっ!!」
ふわりと、両耳に暖かい温もりが触れたと同時に低音ボイスが間近で響く。
プラスα、ロードの背中にぞくっと寒気が走った。
「う、ウリエル先輩!毎回毎回、突然背後に来て真っ先に俺の耳に触れるのはやめてください!!」
「ん?あぁ、すまない。どうも無意識に指が動いてしまって」
全く悪いと思ってないだろう、普段と何ら変わらない真顔のまま言葉とは裏腹にウリエル先輩の指はロードの耳を好き勝手に触れ続ける。
「あっ・・・・だ、だから!これ・・・・や、やめっ、んんっ!!」
「ーーーーーーーー」
ゴッドハンド・ウリエル先輩のテクニカルな指使いにいつも通り変な声が出そうになり、ロードとしては両手で必死に口を塞いで襲ってくる快感に耐えるしかない。
しかも今回はあの植物触手のせいで、耳元も無駄にヌルヌル効果がプラスされている為、ピチャピチャと卑猥な音効果までオプションでついている。
どうぞこんなスペシャル出血大サービスは、本命まで取っておいてください!!
けど、ただ耳を触られているだけなのに何でこんなにも気持ちがいいのだろう。
「せ、せんぱ・・・・・ッ!!」
「ーーーーーーーー」
ウリエル先輩の表情は今も変わらない。
ロードだけが毎回顔を真っ赤にしながら襲ってくる快感にひたすらに耐え、自由に好き放題触れて満足したウリエル先輩が自分からロードの耳を解放してくれることをただ待つことしかできない。
「・・・・・・・足りない」
「んんっ、へっ?」
唐突に、襲いくる快感の波から解放される。
「気にするな、何でもない。今度はもっと強力な結界魔法をかけてみよう」
「お、お願いします」
「ピイィィーーーーーッ!!」
ヘレスを両手で抱えると、そのままウリエル先輩は生徒会室へと静かに帰って行った。
「・・・・・もう、頼むから勘弁してくれ」
「あ!無事だったかロードって、腰が抜けてるけど大丈夫か?」
「ラジエル、頼むから俺の耳を敵から守ってくれ!!」
「はぁ?」
こんなことがこの先もずっと続いていたら、俺の方がおかしくなってしまいそうだ。
ほら、BL漫画でよくあるじゃないか!
主人公がキスとかベロチューとかその先のここではピーーとか音声入っちゃうから詳しく言えない、2人で一緒にやるアレやコレの快楽の虜になって深みにハマってあれよあれよと抜け出せなくなっていくあのアルアル大辞典展開が!!
うん、割と沼にハマった途中からはそういうのばっかり読んでたし、腐男子になってからの今も変わらず大好きだけど自分自身がメス化する姿に萌えるような趣味はない。
鏡見ながらやればいいって?
実はもう試し済みで、ものの数十秒で虚しくなって萎えた。
やっぱり俺は、BLを見てる側で思いっきり萌えてる方がいい。
「ってか、お前なんでそんなにドロドロ?部屋帰ったらまず風呂だな!大事な勇者様の体は隅から隅まで俺がキレイにしてやるよ!」
「サンキュー。あーーあ、これがハニエル君なら風呂場でもヌルヌルドロドロできるってのに」
「風呂場でヌルヌルって、入浴剤でも入れるのか?」
「ヌルヌルといったらローショ・・・・いやっ、な、何でもないっ!!」
耳あてとか、防御力どうだっけ?
次の日からとりあえず、ただの耳あてやら帽子付きの耳あてやらを登下校時色々被ってみることにした。
「ーーーーーーーー足りない」
「何が足りないんだ、ウリエル?」
「いや、こちらの話だ」
生徒会室にて、ウリエルは書類を手早く処理しながら小さなため息をつく。
理想的な肌触りと形を持つ夢のような耳に出会え、定期的に思う存分触れられているというのにウリエルの気持ちはなぜか満足し足りない。
先日の濡れた状態は乾いている時よりもいい感じだったが、それでもまだ何かが足りない気がしてならない。
「ミカエル」
「なんだ?」
「手で触れてもダメなら、お前ならどうする?」
「なんの話だ?手でダメなら、手以外でも触れてみればいいんじゃないのか?」
「!!??」
バサバサバサッ!!
ウリエルが手で持っていた書類がテーブルの上で散乱する。
「おい、大丈夫か?」
「あぁ。的確なアドバイス、感謝する」
散らばった書類をさっさと集めると、ウリエルはそのまま生徒会室を足早に出て行った。
放課後いつも通りラファエル先輩の攻撃から逃げていたロードは、旧校舎付近で突然腕を背後から引かれた。
「あれ、ロード?おい、ロードどこ行った?」
先を走っていたラジエルが振り返った時には、その姿がどこにもない。
「ぷはっ!!う、ウリエル先輩!?あ、あの、ヘレスは今日はまだ来てないですけど?」
今の状況は、ウリエル先輩がロードの背後から腕を回して羽交い締めにしています。
つい先ほどまでは口を塞がれていたが、ようやく解放されたというわけです。
とりあえず、これだけは言いたい。
ウリエル先輩の顔が非常に近い。
「今回は君にお願いがあって来た」
「お、俺にお願いッ!?」
とっさに両手を耳あてのついた両耳に当てて防ぐが、その両手の上からウリエルの手が重なる。
今日の耳あてはシンプルで重みが少ない、つけ心地もわりといいやつだ。
ただ一つ問題なのは、冬ではない為に耳あてはとても暑いということ。
「君の耳に、この手以外でも触れさせてほしい」
「は、はいっ!?」
いやいやいやいや、もう手が直接触れてますって!!
あぁっ、やっぱりこの耳あては防御力低かったかっ!!
後ろから外しやすい作りな為、すでにあっさりと外されている。
「少しだけだ、頼む」
「んっ・・・・ゆ、ゆ、ゆびで触らないなら!」
このゴッドハンド快楽地獄から逃れられるなら、もうなんでもいい!!
「感謝する」
「!!??」
ウリエル先輩の指がロードの頰と、お腹に添えられ少しだけホッとした瞬間。
ロードの耳には指とは別のモノがゆっくりと触れた。
「ひいっ!?」
「ーーーーーーーー」
ペチャペチャと湿った感触と、ぬるぬるとした何かが耳の穴やその付近を動き回る。
ま、ま、まさかコレってっ!?
「う、う、う、ウリエル先輩っ!?」
なんと俺の耳が、ウリエル先輩の舌で舐められていた。
まるで耳の形を丁寧に確認するかのように、ゆっくりとなぞるようにして舌がまるで生き物のように動き回る。
耳のラインを舌がなぞるたびに、背中がゾクゾク震えてたまらない。
「あっ・・・・あ、いやっ・・・・せ、先輩っ!!」
「ーーーーーーーー」
なんとか逃げようとするものの、腰と頰からいつのまにか移動していた両腕に回されていたウリエル先輩の腕はしっかりとホールドされておりビクともしない。
まだ指で触れられていた時の方が、最悪限界になりそうな時には先輩の胸元を叩いたり突き飛ばそうとしたりして自分の意思が伝えられたが、両腕をこうもがっちりと封じられてしまったら抵抗もろくにできない。
BL漫画のように耳以外も一緒にいやらしく触れられているわけではないのに、くちゅくちゅと舐められている音がダイレクトに耳の奥に直接届いてとにかくやばい。
いやいやなんでこんなBLによくありがちな『いきなり始まる、現実にはほぼあり得ない流れでの無理矢理エロ展開』がスタートしてんの?
いやいや、おかしいから!!
ほら『可愛いもの好き』っていう、設定も一応あったじゃん?
あれで『ほっこりほのぼのBLイベント』体験でいいじゃないか!
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え?実況中継はどうしたって?
いやいやこれ全部詳しく状況説明したら、絶対18禁の大きなベルリンの壁に引っかかるって!
ただそれでもあえて言うなら、全身なんかビリビリ電流が走ったような感覚が波のように襲ってきていて、身体のとくに下半身の中央が熱くなってーーーーーーーーうん、これ以上はまずい。
「せ、せんぱ、い・・・・・もう、おれ!」
「かわーーーーーーすまない、つい我を忘れて集中してしまった。協力に感謝する」
「へ?」
まさかの最後まで真顔のまま、まるで何事もなかったかのようにどこから出したのか冷たいおしぼりで舐めていた耳を丁寧に拭いてから静かに立ち去っていく。
おしぼりって、準備良すぎじゃないですかね?
「はぁ~~いったい何がしたいんだ?」
ただの耳フェチなだけなんだろうか?
「ってか、耳って本当にこんなにも感じるもんなんだな」
散々BL漫画で萌えてきたけど、実際どの程度なのとかはよくわからなかった。
恋愛もろくにしてきてないから、もちろん経験もほぼなし。
ほら、お尻や胸だってBL漫画ではあんなに気持ちよさそうに受けがアンアンしてるけど、俺というより『わたし』自身の時から全くリアルな実感はなく逆らえない快感に身悶えてるその姿に萌えていた。
あんなにスルスル抵抗なく初めてで受け入れられたら、あまりにもゆるゆるで本来の用途の時にえらい大変な目にあってしまうじゃないか!
「そうか!やっぱりBLの神は、俺に本物の萌えを与えて下さる為に実地体験をさせてくれているに違いない!受けの感じている快感や心情をリアルにイメージして、その気持ちに共感することで俺に腐男子としての究極の萌えを・・・・・って」
そう思わないと、とてもとてもやってられない。
いつかこの快感の荒波に飲まれ18禁BL沼から抜けだけなくなりそうで、正直今はウリエル先輩がちょっとどころでなく怖い。
「ロード、ここにいたのか!!って、お前顔が真っ赤だけど大丈夫か?」
「・・・・・・・ラジエル、耳ってどうやって鍛えんの?」
「はぁ?」
その日の夜、俺の頭の中はもちろんウリエル先輩のことでいっぱいだった。
俺が体験した超絶な耳攻めをウリエル先輩がハニエル君を相手に、言葉攻めしながら致している妄想をしていたら興奮して中々寝付けなかったのだ。
明日はミカエル先輩を相手にして妄想してみようか?
その頃のウリエル先輩は。
「ウリエル、何かあったのか?」
「ーーーーーー離れない」
「何が離れないんだ?」
「顔が・・・・・いや、何でもない」
「お前、珍しく顔が少し赤いが大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だ」
次の日から伝説の鳥様に関係なくロードに会いに来るウリエル先輩と、その気配を感じるとすぐさま全力で逃げ出すロードの全力疾走追いかけっこが始まった。
それはもう、ラファエル先輩の入る隙がないほど頻繁に。
だがその圧倒的な能力の差的に平民はすぐ鬼に捕まってしまうのだが、それでも毎回懲りずに平民は逃げた。
逃げれば追いかけたくなるのが狩猟本能を持つ男の性であるのだが、なんでこんなにも必死に追いかけているのかウリエルにもよく分からない。
ただ、ずっと頭からソレが離れないのだ。
その意味をウリエル自身がが知るのは、もう少し先のお話。
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お金がもう無かった。前までは転生した時に小さな巾着に入っていた銀貨を使っていたが、2年も銀貨を使うと流石に1、2枚あるか無いか位になってしまった。
そうして色々な仕事を探した時に見つけた仕事は本屋でのバイト。
その本屋の店長は金髪の超イケメン!琥珀にも優しく接してくれ、琥珀も店長に明るく接していたが、ある日、琥珀は店長の秘密を知ることになり…
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【完結】悪役令息の従者に転職しました
* ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
透夜×ロロァのお話です。
本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけを更新するかもです。
『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も
『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑)
大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑)
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
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